カボスクラブ

消化器・小児外科勉強会Case and Evidence Based Surgery(通称:カボスクラブ)の活動報告

大腸癌肝転移Up-to-date2015

2015年10月21日 | モーニングレクチャー
大腸癌肝転移の治療方針って、臨床試験も多いし、わかり難いよね?
なんて思っていませんか?

乳癌のSt. Gallen(ザンクトガレン)のように、世界共通のコンセンサス会議のようなものがあれば、苦労しないのですが、、。
今のところ、いろんな情報をまとめて、自分たちの臨床現場の状況と相談しながらアップデートして行くしか無さそうです。

3年ぶりにアップデートが必要と感じたのは、われわれが参加していた全国規模の臨床試験が終了したり中止になったりして、このままでは治療方針が決まらない症例が出て来たことと、「手術できたかも?」と思われる症例が見過ごされてしまったケースが出てきてしまったからです。
大腸癌肝転移の治療の中心は「肝切除」です。どうか根治が目指せる患者さんの、希望の光を損なわないように。


















肝切除後の補助化学療法については、現在JCOG0603試験が日本国内で進んでおり、この最終結果が注目されています。当院からも5名の患者さんから同意を得ることができ、登録しました。
現実的に感じているのは、「肝切除量の多い(残肝の少ない)手術ではFOLFOXの完遂は難しい」ということです。大腸癌の術後補助化学療法として広く使用されているUFT/LVならどうか?最近東京大学のグループから示されたUFT300mg/m2のレジメンでも完遂率は54.9%と,低い結果だったそうです。完遂可能なレジメンは?その薬剤投与量は?
???????

医学の世界は、まだまだわかっていないことで溢れていますね。



ラパコレ(10月19日 担当:岩下)

2015年10月19日 | カボス
ラパコレについて勉強しました。

消化器外科医になって、一番最初に執刀した手術は、ラパコレだった。
消化器外科医になって、一番早く独り立ちした手術も、ラパコレだった。
消化器外科医になって、一番多く執刀した手術も、ラパコレだった。

おそらく、今の研修医や若手医師たちの世代は、そういう消化器外科医時代を過ごすのでしょう。
それほどラパコレはポピュラーで確立された術式だと思います。
すべからく、消化器外科医はラパコレのプロフェッショナルです。僕たちはラパコレのプロなのです。

でも。
卒後20年が経った今でも本当に自分がプロであると言い切れる自信は、まだありません。未だに術中に迷いが生じることもあります。
ラパコレのプロフェッショナルを目指して、いま、もう一度ここでラパコレを考え直してみたい。
そんな思いで、敢えてこのタイトルを選ばせて頂きました。





















手術は、点と点を結んで行く作業です。
曖昧な知識と手技では、点は不明確になり、危険ゾーンへと脚を踏み入れて行く確率が高くなります。

点と点が結ばれて線になった結果、そこには見えなかったトリックが見えて来る楽しさがあります。
ちょうど松本清張の小説のように。

新しい術式に挑む「完全腹腔鏡下マイルズ手術」

2015年10月14日 | モーニングレクチャー
猪股教授から完全腹腔鏡下マイルズ手術の新提案がありました!
最近の腹腔鏡下マイルズ手術は、視野も良く、出血量も少なく、手術時間も短く、お腹の傷も小さく、良いことばかりです。正直いって、もう完成形だと感じていたのは僕だけでしょうか?

しかし。
まだ終わりではなかった、まだ教授は満足していなかった、という事実に驚くとともに、プロフェッショナルという言葉を強く感じたモーニングレクチャーでした。














崎長ライトの新作小説

2015年10月07日 | 論文紹介
皆様、崎長ライトさんをご存知でしょうか?
長崎大学医学部の医療教育開発センターのセンター長(教授)をされていて、当大学にも、マッチングや卒後臨床研修について、全国トップクラスの実績を引っさげて毎年のように特別講演に来て下さっています。

ちなみに。当大学12期生(平成7年卒)で、私の同級生でもあります。
崎長さんは、医学教育の傍ら執筆活動も精力的に取り組んでおり、Cadetto.jp(日経メディカル×D to D 総合メディカル)に連載小説「フルマッチ」を掲載中です。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/novel/fullmatch/201505/541801.html">



この度、下記の短編小説集が発売された、とのことで、「フルマッチ」共々ご一読下さい。
面白いよ。


【小さな世界平和】(電子書籍、299円)が10月4日に発売されました!

崎長ライト(長崎大学 医師 浜田)による長崎を舞台にした初のオムニバス短編小説集。

家族、恋、生と死、在宅医療…、ピースフルな軽く読める3つの物語。
利益の全額は、「研修医獲得活動」及び「風に立つライオン基金」に寄付いたします。
何卒よろしくご協力お願いします。