カボスクラブ

消化器・小児外科勉強会Case and Evidence Based Surgery(通称:カボスクラブ)の活動報告

食道手術術後管理(11月16日 担当:柴田先生)

2015年11月16日 | カボス
周術期の術後管理が特に難しい、食道癌手術の術後管理について勉強しました。

20年前、僕たちが研修医だったころ。
食道癌の患者を受け持つのは苦痛でした。朝晩のブロンコ、頸部吻合ではリーク部の管理、どうしても食事が出来ない患者さん、・・。

翻って今日の食道患者さんの術後管理はずいぶんシンプルになったと思います。
一方で、今でも肺炎や気管虚血を来した患者さんなどを見ていると、やはり食道癌の術後管理は一歩間違えると致命的である、とも思います。
それではその、「一歩間違える」とはどのような状況で、どのように管理すれば間違えが少なくて済むのでしょうか?

今日は、食道外科専門医の柴田先生に教えて頂きました。




















ヘルニア(11月12日 担当:當寺ヶ盛先生)

2015年11月13日 | カボス
ヘルニアについて勉強しました。

消化器外科医になって、一番最初に執刀した手術は、ヘルニアだった。
消化器外科医になって、一番早く独り立ちした手術も、ヘルニアだった。
消化器外科医になって、一番多く執刀した手術も、ヘルニアだった。

おそらく、今の研修医や若手医師たちの世代は、そういう消化器外科医時代を過ごすのでしょう。



ん?


この文章、どこかで書いたような気がしますが・・。

まずはスライドです。





































當寺ヶ盛先生には、解剖や用語など、大変な内容をよくまとめてお話頂きました。
以下、Disucussionの内容です。

Q1. メッシュは固定するか?何ヶ所、どこに固定するか?(by 相場ちゃん)
みんなで議論しましたが、2-4ヶ所の固定をしていました。最も多かったのは3ヶ所固定する人でした。
2ヶ所:Cooper靭帯、内鼠径輪の外側
3ヶ所:上記2ヶ所+腹直筋(または腹横筋腱膜)
4ヶ所:上記全て
固定用タッカーを打ち込んではいけない場所は腸骨恥骨靭帯(IP)より下方で、この部位への固定はJSESの技術認定試験でも「落第地雷」とされています。

以上より、標準は3ヶ所固定とすることとしました。次の手術からは、「だいたいこの辺」ではなく、「ここ!」と決めて点で固定用タッカーを打ち込みましょう!


Q2.メッシュ全体の固定場所は?(by 原ちゃん)
→スライドの絵の位置よりもう少し下が良いのでは?(理由:大腿ヘルニアの予防のため)


Q3.全ての症例にTEP可能か?(by折ちゃん)
→Contraindicationなし!
現状では前立腺癌術後の症例ではMesh-Plug法を第一選択としていたが、当院でのロボット手術の普及に伴い再検討する必要があるため、次回の症例からはTEPでトライしてみることとなった。
嵌頓症例では、可能な限り還納を試みて待機手術を行うことを基本方針とすることを再確認した。


他にもさまざまな議論があり、スタンフォード大学の「白熱教室」なみの盛り上がりでした。

まめ知識
最後の用語のスライドにもあるように、鼠径ヘルニアの「鼠径」は鼠という漢字を使います。鼠=睾丸であり、睾丸が通った小径(こみち)という意味で鼠径部と名付けられたという説が有力です。