2014年2月3日。
《南アフリカ~レソト間の国境ゲートの1つ、サニ・パスボーダー。僕はこの国境を抜けてレソトに入ったのだが、とっても些細なトラブルがあった。そして彼はお金を渡さなかった。彼は正しかったのか?それとも払うべきだったのか?》
とっても小さな話です。
とっても小さな人間が問題にするような話です。
でも彼は人間が小っちゃいので、ここで話題にしたいと思います。
昔々・・・ではなく、今ここに藤本正樹(通称・ふじもん)という、とても小さな器の日本人男性がいます。彼は今「放学」と称して、世界を旅しています。エジプトからアフリカ大陸を南下してきた彼は、先日レソトという小さな国に入国をしました。
南アフリカ共和国のアンダーバーグという小さな街からバスに乗り、彼は南アフリカ共和国とレソトの国境の手前にある山の麓まで来ました。ここでバスを乗り換えて、国境ゲートのある山頂まで向かわなければなりません。
山の麓のバスターミナルでお金を支払い、国境まで向かうバスに乗りました。しかしこのバスは定員にならないと発車しません。定員にはあと2人足りなかったため、しばらく待つことになってしまいました。

すると、その場にいたイタリア人6人組がごね始めました。「あと2人はいつ来るんだ?」「何分待てばいいんだ?」と、運転手にしきりに質問していました。
そしてさらに問題となったのが、彼らの荷物です。彼ら旅人はみんな大きな荷物を持っています。通常、大きな荷物は天井に載せたり牽引車に載せたりして運ぶのですが、この小さなミニバスにはそのような設備は有りませんでした。そのため、彼らの荷物が座席を2人分占領してしまったのです。
すると運転手は言いました。「あなた達の荷物で2人乗れないことになるんだから、その分のお金を払ってほしい。」と。当然といえば当然の話ですよね。
彼はそれは嫌だったので、かなりキツキツでしんどいけど大きなバックパックをお腹に抱えていこうと思いました。しかし、イタリア人6人組はそれは嫌だったようで、「大きな荷物を持っているのは旅行者なんだから当たり前だ。それで席が埋まってしまうと言われてもどうしようもない。だからお金を払うのはおかしい。」と、運転手と言い合いをしていました。この理屈も分かりますよね。
つまり、あと2人来ないと出発できない上に、荷物がさらに2人分占領してしまうということで、ちょっとトラブルになってしまったのです。
彼はこの日はそこまで急ぐ必要もなかったので、「This is Africa」の精神で2人来るのを待って、しんどいけど荷物はお腹に抱えていけばいいと思っていました。彼とイタリア人6人組の他にも現地の方が数人いて、彼らももちろんあと2人を待つつもりでいました。現地ではそれは当たり前のことですので。
しかしかなりイライラを積らせていたイタリア人6人組は、「もういい。じゃあ足りない2人分と荷物の2人分、合計4人分のお金を払うから、もう出発しよう。それなら問題ないだろ?」と運転手に言ってお金を渡したのです。旅行者は彼とそのイタリア人6人組だけだったのですが、彼には何も相談はありませんでした。
しかし彼はそれには反対でした。ちょっと待てばあと2人は来るし、荷物だって抱えればいい。もちろん早く楽に行けるのに越したことはないが、そこでいない人の分まで払って先に行きたいとは思っていなかったのです。
運転手としては全員分のお金がもらえれば問題ないので、すぐに出発することになりました。それはそれでいいのですが、彼は「う~ん、どうしよっかなぁ・・・」と考えていました。
彼は次のように思っていました。「きっとこのイタリア人6人組は自分にもお金を請求してくる。しかし俺は彼らの決定には反対の上に、俺の知らないところで勝手に話し合って俺には何も言わずにお金を渡してしまった。これって俺も金を払うのはいかがなものなのかな?」と。
案の定、1人のイタリア人が僕にお金を求めてきました。悩んだ末に、彼は言いました。
「俺はあと2人待てばいいと思っているし、荷物だって抱えていけばいいと思っている。だが、あなた達は自分達6人で話し合ってお金を払うと決めてしまった。そして俺には何も言わずにお金を渡していた。それなのに、俺にお金を払えって言うのはおかしいと思う。だから俺は払わないよ。」と。
すると、イタリア人6人組は何やらイタリア語でベラベラとしゃべり始め、それ以上は何も彼に求めてきませんでした。何を言っているのかはサッパリ分かりませんが、きっと自分の悪口を言っているのだろうと彼は思いました。でも彼は「あいつらが俺の知らないところで勝手に決めて勝手に金を払っちゃったんんだから、俺は知らねぇ。俺は間違ってねぇ。」と信じ、しかし気まずいので空気のように気配を消して座席に座りました。
そしてバスは出発。無事に国境を越え、レソトに入国できたのでした。めでたしめでたし。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。小さな男の小さな物語でした。
彼のとった行動は正しかったのでしょうか?それとも、反対だったとはいえバスは早くに出発できたのだから、お金を支払うべきだったのでしょうか?しかも、彼らが4人分支払ってくれたおかげで荷物スペースもでき、彼はバックパックを抱えなくて済んだのです。いくら「抱えるつもりだった」と言っても、実際には抱えなくて済んでしまったのです。
彼はとっても小さな男なので、このことについてウダウダ考えていました。
「スパッと払えよ!反対だったって言っても、結局は自分も利益を得たんだから!同じ旅人として払うべきだろ!」
それが正しいのか?それとも、
「いや、払う必要はない。自分の知らないところで勝手に反対の決定を下してたんだから。いくら同じ旅人と言ってもそこで合わせる必要はない。NOと言える、迎合されない日本人であれ!」
が正しいのか?
そんな小さなことを考えながら、レソトの夜は更けていったのでした。終わり(笑)。

2014年2月3日。爽やかな川のせせらぎが心地よい、セモンコン村のキャンプサイトにて。

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《南アフリカ~レソト間の国境ゲートの1つ、サニ・パスボーダー。僕はこの国境を抜けてレソトに入ったのだが、とっても些細なトラブルがあった。そして彼はお金を渡さなかった。彼は正しかったのか?それとも払うべきだったのか?》
とっても小さな話です。
とっても小さな人間が問題にするような話です。
でも彼は人間が小っちゃいので、ここで話題にしたいと思います。
昔々・・・ではなく、今ここに藤本正樹(通称・ふじもん)という、とても小さな器の日本人男性がいます。彼は今「放学」と称して、世界を旅しています。エジプトからアフリカ大陸を南下してきた彼は、先日レソトという小さな国に入国をしました。
南アフリカ共和国のアンダーバーグという小さな街からバスに乗り、彼は南アフリカ共和国とレソトの国境の手前にある山の麓まで来ました。ここでバスを乗り換えて、国境ゲートのある山頂まで向かわなければなりません。
山の麓のバスターミナルでお金を支払い、国境まで向かうバスに乗りました。しかしこのバスは定員にならないと発車しません。定員にはあと2人足りなかったため、しばらく待つことになってしまいました。

すると、その場にいたイタリア人6人組がごね始めました。「あと2人はいつ来るんだ?」「何分待てばいいんだ?」と、運転手にしきりに質問していました。
そしてさらに問題となったのが、彼らの荷物です。彼ら旅人はみんな大きな荷物を持っています。通常、大きな荷物は天井に載せたり牽引車に載せたりして運ぶのですが、この小さなミニバスにはそのような設備は有りませんでした。そのため、彼らの荷物が座席を2人分占領してしまったのです。
すると運転手は言いました。「あなた達の荷物で2人乗れないことになるんだから、その分のお金を払ってほしい。」と。当然といえば当然の話ですよね。
彼はそれは嫌だったので、かなりキツキツでしんどいけど大きなバックパックをお腹に抱えていこうと思いました。しかし、イタリア人6人組はそれは嫌だったようで、「大きな荷物を持っているのは旅行者なんだから当たり前だ。それで席が埋まってしまうと言われてもどうしようもない。だからお金を払うのはおかしい。」と、運転手と言い合いをしていました。この理屈も分かりますよね。
つまり、あと2人来ないと出発できない上に、荷物がさらに2人分占領してしまうということで、ちょっとトラブルになってしまったのです。
彼はこの日はそこまで急ぐ必要もなかったので、「This is Africa」の精神で2人来るのを待って、しんどいけど荷物はお腹に抱えていけばいいと思っていました。彼とイタリア人6人組の他にも現地の方が数人いて、彼らももちろんあと2人を待つつもりでいました。現地ではそれは当たり前のことですので。
しかしかなりイライラを積らせていたイタリア人6人組は、「もういい。じゃあ足りない2人分と荷物の2人分、合計4人分のお金を払うから、もう出発しよう。それなら問題ないだろ?」と運転手に言ってお金を渡したのです。旅行者は彼とそのイタリア人6人組だけだったのですが、彼には何も相談はありませんでした。
しかし彼はそれには反対でした。ちょっと待てばあと2人は来るし、荷物だって抱えればいい。もちろん早く楽に行けるのに越したことはないが、そこでいない人の分まで払って先に行きたいとは思っていなかったのです。
運転手としては全員分のお金がもらえれば問題ないので、すぐに出発することになりました。それはそれでいいのですが、彼は「う~ん、どうしよっかなぁ・・・」と考えていました。
彼は次のように思っていました。「きっとこのイタリア人6人組は自分にもお金を請求してくる。しかし俺は彼らの決定には反対の上に、俺の知らないところで勝手に話し合って俺には何も言わずにお金を渡してしまった。これって俺も金を払うのはいかがなものなのかな?」と。
案の定、1人のイタリア人が僕にお金を求めてきました。悩んだ末に、彼は言いました。
「俺はあと2人待てばいいと思っているし、荷物だって抱えていけばいいと思っている。だが、あなた達は自分達6人で話し合ってお金を払うと決めてしまった。そして俺には何も言わずにお金を渡していた。それなのに、俺にお金を払えって言うのはおかしいと思う。だから俺は払わないよ。」と。
すると、イタリア人6人組は何やらイタリア語でベラベラとしゃべり始め、それ以上は何も彼に求めてきませんでした。何を言っているのかはサッパリ分かりませんが、きっと自分の悪口を言っているのだろうと彼は思いました。でも彼は「あいつらが俺の知らないところで勝手に決めて勝手に金を払っちゃったんんだから、俺は知らねぇ。俺は間違ってねぇ。」と信じ、しかし気まずいので空気のように気配を消して座席に座りました。
そしてバスは出発。無事に国境を越え、レソトに入国できたのでした。めでたしめでたし。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。小さな男の小さな物語でした。
彼のとった行動は正しかったのでしょうか?それとも、反対だったとはいえバスは早くに出発できたのだから、お金を支払うべきだったのでしょうか?しかも、彼らが4人分支払ってくれたおかげで荷物スペースもでき、彼はバックパックを抱えなくて済んだのです。いくら「抱えるつもりだった」と言っても、実際には抱えなくて済んでしまったのです。
彼はとっても小さな男なので、このことについてウダウダ考えていました。
「スパッと払えよ!反対だったって言っても、結局は自分も利益を得たんだから!同じ旅人として払うべきだろ!」
それが正しいのか?それとも、
「いや、払う必要はない。自分の知らないところで勝手に反対の決定を下してたんだから。いくら同じ旅人と言ってもそこで合わせる必要はない。NOと言える、迎合されない日本人であれ!」
が正しいのか?
そんな小さなことを考えながら、レソトの夜は更けていったのでした。終わり(笑)。

2014年2月3日。爽やかな川のせせらぎが心地よい、セモンコン村のキャンプサイトにて。

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