たたらワークス★漫画・ドラマ・小説のネタバレ感想

〖花菱夫妻の退魔帖〗あらすじ・ネタバレ感想!著者・白川紺子

白川紺子著〖花菱夫妻の退魔帖〗あらすじ・ネタバレ感想。
華族の娘でありながら千里眼少女として貧民窟で暮らしていた鈴子は、親代わりだった人達を殺めた犯人を捜していた。
幽霊を喰らう怨霊を連れた神職華族の孝冬は、出会ったばかりの鈴子に……。

〖花菱夫妻の退魔帖〗 

『花菱夫妻の退魔帖 』あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks
■著者:白川紺子
■カバーデザイン:ウチカワデザイン
■カバーイラスト:斎賀時人
■発行:株式会社光文社
■発売日:2022年9月13日



★項目クリックでページ内ジャンプ
(goo blogアプリはブラウザ接続で可能)

〖花菱夫妻の退魔帖〗登場人物

〖花菱夫妻の退魔帖〗あらすじ・ネタバレ感想




〖花菱夫妻の退魔帖〗登場人物 

瀧川鈴子 たきがわすずこ 
 瀧川侯爵家の末娘でお印は「花」17歳
 母は侯爵家の女中だった
 幼少期は浅草の貧民窟で育った
 『千里眼少女』と呼ばれていた

花菱孝冬 はなびしたかふゆ 
 神職華族の花菱家の次男で現当主
 複雑な生い立ちで一時養子に出されていた
 商人でもあり手広く商売もしている
 淡路の君の為に幽霊を与えねばならない

淡路の君 あわじのきみ 
 花菱家に取り憑いている上臈の怨霊
 元は花菱家の人間
 淡路に流された貴人の怨霊を慰めていた
 怨霊となった後は霊を喰らう

<瀧川家>
鈴子の父・瀧川侯爵
 滅多に家に帰ってこない
千津 ちづ 
 瀧川侯爵の妾で瀧川家に鈴子と二人暮らし
 嘉見と双子の娘・雪子、朝子の母
雪子 ゆきこ 朝子 あさこ 
 鈴子の異母姉で双子。既に嫁いでいる
 鈴子とは10歳ほど歳が離れている
 鈴子を可愛がっている
嘉忠 よしただ 
 瀧川侯爵の亡くなった本妻の子で跡取り
 官庁勤めで生真面目
 週末にのみ屋敷に帰ってくる
嘉見 よしみ 
 瀧川侯爵と千津の息子で官庁勤め
 ぶっきらぼう
 週末に屋敷に戻ってくる

タカ たか 
 鈴子のお付きで鈴子を「花印様」と呼ぶ
鶴見 つるみ 
 瀧川侯爵家で表を仕切る家令

<貧民窟で暮らしていた鈴子の関係者>
銀六 ぎんろく 
 鈴子の母が亡き後、鈴子の面倒をみた
 華族の屋敷で働いていたような……
テイ てい 
 鈴子の面倒をみてくれた女性
 鈴子の母の友人だった
虎吉 とらきち 
 鈴子と一緒に暮らしていた
 当時70歳くらいで足が悪くほぼ寝たきり

<花菱家>
花菱実秋 はなびしさねあき 
 孝冬の兄。6年前に自殺。お印は松
孝冬の祖父
 息子と仲が悪かった為に…
 その結果、孝冬が生まれた
孝冬の父母
 既に亡くなっている
 孝冬を毛嫌いし養子に出した

由良 ゆら 
 20代の家従
 家令かと思うほど落ち着いている青年
 元は孝冬の兄・実秋に使えていた
御子柴 みこしば 
 花菱家の家令

<そのほか>
佐々木長八郎 ささきちょうはちろう 
 孝冬の養い親
佐々木菊 ささききく 
 長八郎の妻

小島勇 こじまいさむ 
 佐々木家の近所の子で12~13歳
 孝冬になついている



〖花菱夫妻の退魔帖〗あらすじ 

大正9年――
瀧川侯爵家の末娘・鈴子には怪談蒐集という趣味がある。
この日は室辻子爵夫人を訪ねていた。
半年ほど前から三味線の音がすると話す夫人の背後に、血を流している女が憑いているのが鈴子には視える。
女が夫人に向けて撥を振りかざした為、鈴子はとっさに夫人に覆い被さった。


そこへ十二単の女が現れ、なんと血を流している女の頭を喰ってしまった。
十二単の女は振り返って笑うと煙と化す。
いつの間にか部屋に二十代半ばの男がいる。
煙は男の元へ向かい消えた。
男の名は花菱孝冬と言う。
男爵でもあり島神神社の宮司でもある。


宮司である孝冬は、お祓いを頼まれ室辻子爵家を訪れたのだと言う。
しかし、どうにも胡散臭い。
孝冬は鈴子が貧民窟の出であることも知っていた。
そして、十二単の女-上臈が見えた鈴子に
「鈴子さん、私と結婚しませんか」 
(20ページ)
と、いきなり結婚を申し込んだ。

〖花菱夫妻の退魔帖〗収録
●虚飾のエメラダ
●花嫁簪
●魔女の灯火
『花菱夫妻の退魔帖 』あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks



〖花菱夫妻の退魔帖〗ネタバレ感想 

やはり白川紺子さんの文章が好きだわ~。
幽霊が出てくる話なのに読めば読むほど気持ちが落ち着く。
読書中は居心地が良い空間でくつろいでいるような感じでほっとする。
滅多に食べられない高級和菓子のさっぱりした甘さと、うま味を感じる適度な温度のお茶をいただいているような満足感。
ちょっと何言ってるか分からないって言われそうな感想だけど、一言で言えば“上質”ってことかな?


今作は大正時代のお話。
大正時代ってまだ貴族が存在していたり、和装と洋装が混ざっていたり、ハイカラとレトロの混在が面白い時代だと思う。
貴族と言えば公家出身だと思っていたので、神職も貴族だとは知らなかった。
花菱孝冬は男爵で鈴子は侯爵の娘なので、爵位だけ考えれば鈴子の方が上。
だけど、花菱は家の歴史が古いので格下とは言えないようだ。
そういう格の分け方はかなり細かくなかなか面倒くさい。
大正時代の貴族はよくこんな面倒な分け方を覚えられたものだと感心する。


白川紺子さんの作品の共通点は、そこはかとなく漂う淋しさだと思う。
孝冬にもそれがまとわりついている。
その孝冬に温かさを感じさせてくれる存在が鈴子だ。
話が進むにしたがって孝冬が大分年下の鈴子の下僕のように思えてくるほど、鈴子なしではいられなくなっている。
鈴子の生きるパワーに引き寄せられているんだなと思う。


1巻は物語の始まりとして、キャラクターを紹介するに留まった感じだ。
人間関係、鈴子の父親が結構な放蕩者で散財するものだから兄弟姉妹も複雑な上、殺人事件が絡んでくる。
花菱家は瀧川家の更に上をいく複雑さ。
人物を理解した方が読みやすいが、分かっていなくても問題ない。
幽霊話自体は1話完結だから。


気になるのは孝冬に憑いている上臈の過去と、今後、鈴子と孝冬が彼女から逃れられるかどうか。
また、鈴子が貧民窟で生活していた頃に彼女の面倒を見てくれた人達を殺した犯人が誰なのか。
そして、やはり孝冬と鈴子の関係がどう変化するのかだ。


いきなりのプロポーズされ最初は引き気味だった鈴子だけど、だんだん孝冬と一緒にいることを悪くないと感じているようだ。
孝冬のほうも、114ページでは
「笑顔も素敵ですが、私はふだんの死んだ魚のような目をしたあなたも好きですよ」
などと言って大人の余裕を見せていたが、いつの間にかまさかのゾッコンだ。
2巻が待ち遠しい。
『花菱夫妻の退魔帖 』あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks

☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:

【白川紺子関連記事】

ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@macaronteaparty まかろん様、コメントありがとうございます。
痛みキャラって言うんですね。
なるほど、言われてみればそんな感じです。
白川さんの作品はホラー要素があるので、嫌いな人は乙女心を刺激される前に、まず読まないでしょうね。
私もホラーは避けている分野ですが、白川さんの作品は文章から漂う寂しさとか漢字の使い方が好きで読んでいます(^ー^)
難しい漢字の書き取り練習に使ったりしていますφ(・ω・`)カキカキ
macaronteaparty
うわぁぁぁ。
貴族。宮司。退魔。
いきなりのプロポーズ・・・。

これでもかっ、っと乙女心くすぐりまくりですね〜〜〜。

こういうの好きでしょ、と作者さんにころっころ、
転がされるような作品ですねぇぇ。

ええ、大好きですとも。😅
(自分じゃ書きませんけど!!)

でも、
>白川紺子さんの作品の共通点は、そこはかとなく漂う淋しさだと思う。

という方なら、ただ商業的にこういうの好きでしょ、だけじゃなくて、
心から作品を創ることが好きな方なのでしょうね。


>私はふだんの死んだ魚のような目をしたあなたも好きですよ」

おおぅ・・。
病みキャラですね、

これ言ったらtataraさんにドン引きされそうですが、
すっごい大好物。😅
(自分じゃ書かない、絶対書かないけど!)

それが、 >いつの間にかまさかのゾッコンだ。

もうね、そーゆーの、ほんと、見透かされてますよね、
こーゆーの好きでしょ??って。

あまりに見透かされて恥ずかしいくらい、
乙女の好物が詰めこまれてる作品仕立てですね。


ご紹介ありがとうございます。
ほんといつもいろんな作品を目にされてますよね。幅が広いです。

またの記事を楽しみにしています🙏(まかろん)

コメントを投稿するにはgooブログのログインが必要です。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「小説のあらすじ・ネタバレ感想」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事