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白川紺子著『下鴨アンティーク』全8巻あらすじ・ネタバレ感想まとめました

白川紺子著『下鴨アンティーク』シリーズ全8巻のあらすじとネタバレ感想。
旧華族で陰陽道に関わりがある家柄の野々宮家の蔵には、いわくつきの品物が保管されている。
高校3年生の鹿乃は、いわくだけでなく持ち主の心も解いていく。
鹿乃と鹿乃のご先祖様たちの不器用な恋愛話にもニヤニヤしちゃうわ(〃▽〃)
いわくに背中がぞくり、一方で恋バナにニヤリを味わえるシリーズです。


『下鴨アンティーク』全8巻

著者:白川紺子
発行:株式会社集英社
(オレンジ文庫)
tataraworks


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『下鴨アンティーク』シリーズあらすじ・ネタバレ感想


【白川紺子 関連作】

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

『下鴨アンティーク』シリーズ登場人物 

野々宮鹿乃(ののみや・かの)
 休日は着物で過ごす18歳の高校3年生
 旧華族(公家華族)で元子爵の家柄
 兄・良鷹と兄の友人で下宿人の慧と同居

野々宮良鷹(ののみや・よしたか)
 鹿乃の年の離れたぐーたらな兄
 良いのは「顏と頭だけ」らしい
 古美術商としては目利き
 屋号は鶉居堂(じゅんきょどう)

八島 慧(やしま・けい)
 京都生まれだが親の離婚で母と東京へ
 中学生の頃、母が亡くなり親戚を盥回し
 父は京都で大学教授をしているが絶縁状態
 大学生の頃、良鷹に家に連れてこられ下宿
 私立大学の近世文学の准教授

石橋春野(いしばし・はるの)
 黒髪の涼やかな顔立ちの大学生
 良鷹曰く「たらし」らしい

三輪梨々子(みわ・りりこ)
 鹿乃の友達
 ふわふわボブに赤いフレームのメガネっ娘
鉢木奈緖(はちのき・なお)
 鹿乃の友達で校内一のクールビューティー
 ストレートの黒髪
三好敏子
 旧華族で芙二子の幼馴染み

白猫の白露
 時々姿を現す

・・・・・故人・・・・・
野々宮芙二子(ののみや・ふじこ)
 鹿乃と良鷹の祖母で1年前に他界
 生前、いわく付きの着物を預かっていた
野々宮健次郎(ののみや・けんじろう)
 芙二子の夫で鹿乃と良鷹の祖父
野々宮慶介(ののみや・けいすけ)
 鹿乃と良鷹の父で民俗学が専門だった



2巻~
プリシラ・バンクス
 イギリス人で日本に留学
 曾祖父が<秘密の花園>を芙二子に預けた
黒塚誓一(くろつか・せいいち)
 祖父から芙二子のことは聞いていたが……
加茂 輔(かも・たすく)
 慧と良鷹の大学時代の後輩で博物館勤務
 1年前まで奈緖の家庭教師でもあった
 全く空気をよまない人

熊坂弥生(くまさか・やよい)
 骨董店・如月堂店主
 娘が小学5年生の頃に離婚
望月真帆(もちづき・まほ)
 離婚後は母と暮らしている弥生の娘
 如月堂にしょっちゅう顔を出している
 良鷹とは犬猿の仲だが……
真帆の母
 大きな法律事務所をかまえる敏腕弁護士

3巻~
満寿(まんじゅ)
 喫茶店<オー・ルヴォアール>店主
 鹿乃の親友・梨々子の祖父
 本名は”みつとし”
 常連は”まんじゅ”と呼ぶ

田村 黎(たむら・れい)
 春野の大学の軍記文学専門の教授
 実は慧の父

4巻~
雨森富江
 お見合いおばさん

7巻~
津守 幸(つもり・ゆき)
 良鷹の中学時代の同級生・津守亘の娘

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『下鴨アンティーク アリスと紫式部』 

●あらすじ
【アリスと紫式部】
野々宮鹿乃はアンティークの着物が大好きな高校3年生。
亡くなった祖母の芙二子からは蔵を開けるなと言われていたが、祖母が時々、蔵の着物を虫干ししていたことを思い出す。
ぐーたらな兄・良鷹と下宿人の八島慧と一緒に蔵から着物を出して部屋中に吊したら…妙なことになってしまった…。

【牡丹と薔薇のソネット】
慧とともに帰宅した鹿乃は、蔵の錠前が開いているのに気づく。
とっさに泥棒かと思い蔵に入ったら、何やら泣き声が聞こえてくる。
うっ…うっ…と押し殺したような泣き声は、『牡丹灯籠』が描かれた女物の長襦袢からのもので……。

【星月夜】
芙二子から鹿乃への宿題は、蔵の着物の中から芙二子の着物を見つけること。
良鷹から渡された芙二子の日記を読み解こうと、鹿乃は毎日少しずつ日記を読む。
日記には、政略結婚だった祖父・健次郎と芙二子の新婚当時のことが綴られていて……。


●感想
白川紺子さんのお話は品が良いので好き。
裕福で幸せそうな人達が登場して、あたたかい人間関係が心地良い。
だけど、なぜか淋しい。
幸せそうなのに何かが欠けている。

着物の柄は文学と結びついている。
【アリスと紫式部】では、『源氏物語』の葵上と六条御息所の源氏車のエピソードを元にしている。
【牡丹と薔薇のソネット】は『牡丹灯籠』とシェイクスピアの『ソネット集』。
どれも私は読んだことがないけれど、『源氏物語』は読みたくなった。

そして、おばあちゃん・芙二子の日記。
身内の恋の物語ってなんだか気恥ずかしいというか照れくさいというか( ´艸`)
芙二子のツンデレぶりが可愛い。


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『下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ』 

●あらすじ
【ペルセフォネと秘密の花園】
良鷹の留守中にイギリス人のプリシラ・バンクスが野々宮家を訪れる。
曾祖父が娘・シャーロットの形見である着物<秘密の花園>を亡くなった祖母・芙二子に預けたと言う。
良鷹との手紙のやり取りで、それを受取にやって来たのだが、蔵の着物はいわく付きで簡単には渡せない。
案の定、着物からは花が消え、しかも預けた人の名は黒塚洸介となっており……。

【杜若少年の逃亡】
慧と良鷹の大学の後輩・加茂の訪問中に、杜若の着物が男の子になって逃げ回る、という現象がおきる。
その着物の預け人は<北窓堂(ほくそうどう)>という芙二子が懇意にしていた骨董店だった。
鹿乃が北窓堂に電話をすると、店主は芙二子からの伝言を伝える。
子供の正体を見抜かねば、着物は元に戻らないから、屋敷に隠した5つのヒントを探せ、と言うものだった。

【亡き乙女のためのパヴァーヌ】
鹿乃は蔵から音符が描かれた帯を取り出したところ、どこからかでたらめなピアノの音が聞こえてくる。
それは鹿乃にしか聞こえない。
鹿乃が鼻歌で良鷹と慧に伝えると、ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』という曲であると分かる。
なりやまないピアノの音をとめる為、鹿乃はピアノが弾ける親友の奈緖と一緒に帯の謎を調べるのだが……。

【回転木馬とレモンパイ】
「回転木馬を見つけてほしい」
古美術商として旧家の益村家を訪れていた良鷹に、老齢の益村百合子はそう頼む。
回転木馬型のオルゴールから馬が逃げ出した為、音が鳴らなくなったと言う。
百合子は込み入った事情は1週間後に話すと言うので、良鷹はオルゴールを預かって益村家をあとにするが、その晩、百合子は返らぬ人となり……。



●感想
【亡き乙女のためのパヴァーヌ】は、思わず涙がこぼれてしまう。
帯の謎につながる昭和20年6月26日早朝の西陣空襲のエピソードは、186ページ~188ページで語られる。
爆弾によってバラバラになってしまった恋人の身体を拾い集めるのがどれほどのものか想像もつかない。
けれど、頭で考えるよりも心が反応して涙はボロボロとこぼれてくる。

大事な人に大事な事を伝えられる時にちゃんと口にしなきゃな、と思った(; ;)
おそらくこの巻のテーマがそれなのだ。
【回転木馬とレモンパイ】も良鷹が後回しにしたことで、話を聞けなくなってしまったから。

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『下鴨アンティーク 祖母の恋文』 

●あらすじ
【金魚が空を飛ぶ頃に】
慧と一緒に買い物帰りに喫茶店<オー・ルヴォアール>に寄り道をした鹿乃は、満寿さんから芙二子の蔵の赤い金魚が描かれた夏着物のことを聞かれる。
それは満寿が預けた物で、本当の持ち主は若い頃の満寿と暮らした女性だった。
1年程で置き手紙と金魚の着物を残して姿をくらませたという。
満寿の孫娘で、親友の梨々子とともに、鹿乃は満寿の元恋人について調べるのだが……。

【祖母の恋文】
骨董店・北窓堂の店主が古びた手紙を返す為に野々宮家を訪れる。
その手紙は、芙二子が夫・健次郎に書いた恋文だった。
照れ屋の芙二子が手紙を捨てるように言うので、捨てたくない健次郎が北窓堂の店主に頼んで預かってもらっていたのだ。
恋文にまつわるうなり声をあげる帯は処理したものの、高1の頃に鹿乃がラブレターをもらったことが良鷹と慧に知られ……。

【山滴る】
春野が若い頃の鹿乃の祖母・芙二子が写っている写真を持って野々宮家を訪れる。
写真に一緒に写っている女性の羽織が蔵にあることを思い出した鹿乃は、春野の大学の先生に詳しい話を聞きたいと思う。
鹿乃が方向音痴だと見抜いた春野が案内役をかい、2人で田村先生宅を訪ねる。
先生は細縁眼鏡をかけた渋そうな雰囲気の男性だが、恐ろしく無愛想だった。
鹿乃の亡くなった父と知り合いでもあった田村先生は、冷たそうな見た目だがいろいろと教えてくれた。
先生のお宅から帰る途中、雨にあった鹿乃は雨宿りの為に春野のうちへ寄り……。

【真夜中のカンパニュラ】
良鷹は夏になると1人別邸で過ごす。
骨董店・如月堂の娘の真帆は良鷹とは犬猿の仲だが、父のお使いで別邸を訪ねる。
その家には風鈴草をじっと眺める女の人が立っていて……。
真帆は、良鷹が既にこの世のものではない女性に心を惹かれていることを心配し、女性の過去を調べようとする。
その結果、芙二子でも辿り着けなかった恐ろしい真相を掘り起こすことになる。



●感想
『下鴨アンティーク アリスと紫式部』の【星月夜】で芙二子の日記を読む話も気恥ずかしさにニヤリとした。
【祖母の恋文】は更にニヤニヤする。
ここでは結婚して子供(良鷹と鹿乃の父・慶介)も生まれているのだが、相変わらず芙二子はツンデレなのだ。
健次郎の浮気を疑った芙二子は、罰として健次郎宛に恋文を書くことになる。

この巻では、登場人物の秘密がすこしずつ明かされる。
良鷹曰く「たらし」の春野は、鹿乃の前で少し本性を見せるし、良鷹が幽霊に恋心を抱いていたことは意外だった。
そして、慧とは絶縁状態の父の存在。
いっそう面白くなってきたな。

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『下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ』 

●あらすじ
【星の花をあなたに】
星の形をした花、桔梗が美しい着物を蔵から出すと桔梗がこぼれ落ちてくる。
着物の元の持ち主は芙二子の友人の雨森綾子であったが既に亡くなっていた。
鹿乃は綾子の介添人だったキミを訪ね、桔梗に関するエピソードを聞こうとする。
ずっと床に臥せっていた為、夜空をちゃんと見たことがなかった綾子は星を見られたらいいのにと憧れを口にしたことがある。
ある日、<星の花をあなたに>と書かれた手紙とともに桔梗の花が綾子に贈られる。
桔梗は毎日届き、綾子は走り去る人の足音に恋をするのだが……。

【稲妻と金平糖】
学校帰りに喫茶店<オー・ルヴォアール>に寄り道をした鹿乃は、店主の満寿から亡き母・千鶴と父・慶介の馴れ初めを聞く。
幼い頃に両親が事故死した為、鹿乃は両親のことをよく知らない。
満寿の話では2人はそりが合わず、よく言い合いをしていたそうだ。
そんな2人がつき合うようになったのは雷の音がする帯がきっかけだった。

【神無月のマイ・フェア・レディ】
鹿乃が蔵から出した着物は、本来枯れた菊を描いたとても変わった柄だった。
八掛には墨で『平家物語』の祇王の歌《もえ出るも枯るゝもおなじ野辺の草いづれか秋にあはではつべき》が書かれている。
目録に記された着物の元持ち主の名を見た慧は顔色を変え、この着物のことは自分が調べたいと鹿乃に告げる。

【兎のおつかい】
芙二子の母・汐子は丙午生まれだった為、行く末を案じた父親が野々宮家との縁談を急いでまとめ夫婦で住む洋館まで建てた。
汐子は父が野々宮家を騙して縁談をまとめたのではないかと思い、東京から京都の夫となる野々宮信篤を訪ねる。
だが逆に信篤から、野々宮家は陰陽道の家で世間では拝み屋だの憑きもの筋だと言われていると教えられ戸惑う。
丙午で夫を不幸にするかもしれない生まれであることを気にする汐子は、なぜ信篤が結婚を受入れたのか分からず不安が募る。
新居になる洋館から出てあれこれ考えながら歩いていると、前から来た男とぶつかってしまう。
足下には兎が描かれた櫛が落ちていて……。



●感想
【星の花をあなたに】の綾子は体が悪くてずっと寝たきり状態だったが、大の女嫌いの雨森に求婚される。
この求婚の理由がとても酷い。
“体が悪い綾子であれば子供を作るのなんのの面倒がない、寝たきりの娘を妻にすれば慈善家としての評判が上がる”
雨森はそれを綾子本人に正直に告げ、綾子の介添人のキミにお盆で横っ面を張り倒される。
おそらく雨森氏は今で言うゲイかなんかだったのだろうが、綾子も体のことがあり家族に迷惑をかけたくなくて結婚を受入れる。
恋心を抱いた相手のことは口にしない。
切ない話だった。

【稲妻と金平糖】は、鹿乃達の父・慶介と母・千鶴のなれそめ話。
鹿乃達の母親・千鶴が中卒だったのは意外。
元華族の野々宮家の嫁なら資産家の娘とか同じ華族の出の場合が当然だろうが、その辺あまり気にしなかったようだ。
慶介はその頃30を過ぎ、千鶴は17、18歳だったのでかなりの年の差婚だ。
慶介はポットから急須にお湯をいれることすらできないぼんくらぶりで、苦労人の千鶴がイラッとするのも道理。
息子の良鷹が、父親は金銭感覚がアホだったと言うくらいボンボンだった。
結婚してからの千鶴は慶介のそういうところが可愛いと言っていたようだ。
息子の前でのろけるなんて本当に仲良し家族だったんだろうな。
両親の記憶を持たない鹿乃は「ひどい娘」だという負い目もあり少し切ない。

【神無月のマイ・フェア・レディ】の160ページで『ピグマリオン』の一説が出てくる。
”本当の意味でのレディと花売り娘の違いは、どう振る舞うかではなく、どう扱われるかにある”
おっしゃるとおり。
映画『マイ・フェア・レディ』と原作『ピグマリオン』の結末が違うことをこの章を読んで知った。
改めて『ピグマリオン』を読んでみたいなと思った。
この章では、慧の子供時代や父親の田村先生を憎んでいる理由が分かる。

【兎のおつかい】は曾祖父と曾祖母のお話。
久しぶりに丙午って言葉を認識したなぁ。
「丙午生まれの女は男を食い殺す→寿命を縮める」と言われ嫁のもらい手が無いため、年を誤魔化す者や縁談がまとまらない事を憂いて死を選ぶ者もいたりする。
今の時代に丙午など気にしないだろうが、昔はそれほどまでに深刻だった。
でも、汐子が気に病むほど信篤は丙午を気にしてはいないし、そんな信篤と一緒に兎の謎を追ううちに汐子の方から告白したりする。
可愛らしいお話で私は好きだなと思った。
月で住む動物として兎の帯留めと蛙のネクタイピンをお揃いで作っていたりするのがニヤッとさせられる。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

『下鴨アンティーク 雪花の約束』 

●あらすじ
【星の糸】
新村竣太と名乗る青年が、中里志織という女性を訪ねて野々村家を訪れる。
志織の祖母は亡くなる前に、芙二子に預けた着物があり、それを見に京都へ行くように告げていた。
志織は婚約破棄で落ち込んでおり、竣太は万が一を恐れて志織を追ってきたのだ。

【赤ずきんをさがして】
芙二子に預けた着物を処分したいので返してほしい。
そんな手紙を受け取った鹿乃。
自分を捨てて他の男の元へ走った母親を許せない預け主は、着物を元に戻すより嫌な思い出と共に処分したいと希望するが……。

【雪花の約束】
鹿乃のことが気になる春野は、友人を呼んでお茶会をすると鹿乃を誘う。
だが、鹿乃が訪ねてみるとそこに春野の友人はおらず……。

【子犬と魔女のワルツ】
良鷹が高校2年生の頃、犬の水滴が子犬に変化し、幼稚園児だった鹿乃をある家に誘い込んだ。
その日以来、鹿乃はそのお宅へ遊びに行きたがるので、良鷹は学校が終わると妹の面倒を見る為、一緒に遊びに行くのが習慣になっていた。
だが、その家で1人暮らしの照子は……。



●感想
慧は、ずっと子供扱いしてきた鹿乃を女性として見るようになった自分に戸惑っていた。
そりゃあ、読み聞かせなんかをして、元気づけの為にクマさんの形の黒砂糖入りホットケーキなんかを作ったりして家族同然で10年近く生活を共にしてきたのだ。
後ろめたさもあるわね、ふふ( ´艸`)
かと言って、春野が鹿乃に接近するのは見過ごせない。
そんな慧に対し【雪花の約束】で鹿乃はついに告白する。

【雪花の約束】では、現在はぐーたらな良鷹が小さい鹿乃を大事にしている過去が描かれている。
授業が終わったら寄り道もせず帰宅し、妹の面倒をみる凄く良いお兄ちゃんだった。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

『下鴨アンティーク 暁の恋』 

●あらすじ
【椿心中】
先日、慧に告白した鹿乃だったが、慧を困らせてしまったようでどう接していいか分からないでいた。
そんな落ち着かない大晦日、雨森富江から鹿乃宛てに電話がかかってくる。
仲人好きの富江は、鹿乃に男性を紹介しようとするのだが……。

【月を隠して懐に】
慧は母親の十七回忌の為、父親の田村黎と一緒に東京へ行く。
慧の留守中、30代くらいの着流しの男性が庭にいるのを見つけた鹿乃は、「鶴亀の羽織は、こちらにございますか」と尋ねられる。
鹿乃は蔵から出すので上がって待つように伝えると、男性の姿は消えてしまう。
鶴亀の羽織のいわくを調べようとする鹿乃を普段はぐうたらしている兄・良鷹が珍しく積極的に手伝ってくれ……。

【暁の恋】
東京から戻って気が緩んだのか、田村が駅の階段から落ちて怪我をする。
慧は野々宮家には返らず、田村の家で父の面倒をみることにする。
慧にふられ、慧のいない未来に目を向けねばと考えた鹿乃は、春野からのアプローチを受けデートの約束をする。

【羊は二度駆ける】
良鷹はアルバイトの真帆を伴って口丹波の塩谷家を訪れ骨董を買い取る。
帰宅した良鷹は聞き慣れない鳥の声にゾッとしながらもテラスに出てみる。
大きな鳥が1羽空を旋回していたが、突然良鷹めがけて降下してくる。
間一髪のところで白猫の白露が鳥に飛びかかると、鳥は霧のように消えてしまう。
その頃、真帆は鳥に襲われ火に包まれ……。



●感想
良鷹のぐうたらぶりは、実はずっと拗ねていたのかと思うと笑みがこぼれる。
親がいない分、良鷹はまるで父親のように鹿乃を大切に扱っていた。
だが、10年前に慧が現れてから鹿乃の興味は良鷹から慧にうつってしまう。
良鷹は91ページで「鹿乃を、いずれお前に攫われる覚悟や」と、半分酔っ払った状態で語っている。

そうは言っても、下宿先の娘と恋愛関係に陥るなど、しかも小学生の頃から一緒に住んでいる女の子とあっては、世間体が悪すぎて慧も思い切れない。
いろいろ噂されるのは女性の方だ。
そうこうしているうちに春野のアプローチについに鹿乃がほだされてしまう。

ああ、もどかしい(>o<)
でも、【暁の恋】でとうとう慧が鹿乃にプ・・・・する。
鹿乃は高校生だし、10代だし、付き合うならそれしかないよね。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

『下鴨アンティーク 白鳥と紫式部』 

●あらすじ
【雛の鈴】
蔵から出していない着物や帯はあと2枚になり、鹿乃は帯を出すことにする。
抽斗からは「ころころ」と鈴の音が聞こえるが、取り出した両面帯に鈴の柄はない。
元の持ち主は祖母・芙二子と大変仲が良かったようだが、帯をきっかけに絶交状態にあったようで……。

【散りて咲くもの】
以前はまる1日でもソファに寝そべっていた良鷹だったが、最近は書斎で過ごすことが増えた。
亡き父のノートや原稿用紙を整理し鹿乃の今後に役立てようとしているのだ。
そして、鹿乃はとうとう蔵の最後の1枚と向きあうことにする。
その1枚は、野々宮家の女性のものだった。
家系図から持ち主・英子はひいお祖父ちゃんの妹だと判明する。
だが、英子は「失踪した人」「山で神隠しにあった人」と言われており……。

【白鳥と紫式部】
野々宮家に届いた荷物は、藤の花柄の女性ものの着物だった。
添えられた手紙を読むと送り主・津守亘(つもり・わたる)は良鷹の同級生で、死期が近い為、着物を整理しようと送ってきたようだった。
その頃、良鷹は真帆の母の紹介で骨董の買い付けに津守家を訪問していた。
津守家には10歳になる亘の娘・幸(ゆき)が残され、血のつながらない親戚が後見人争いをしていた。



●感想
【散りて咲くもの】で鹿乃は高校を卒業。
そして、【白鳥と紫式部】で野々宮家に新しい住人が加わる。
津村亘の娘・幸を親戚から守った良鷹は、幸を野々宮家で引き取ることにする。
実は幸は、猫の白露の言葉が分かる。
不思議な力がある娘だったから行く末を心配した亘はたった1度しか話したことがない良鷹を頼ったのか。
殺されるかもしれない親戚に預けるより、赤の他人の方が信用できたわけね。
さて、本編はこの7巻で終了となる。
次の8巻は番外編だ。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

『下鴨アンティーク アリスの宝箱』 

●あらすじ
【鶯の落とし文】
野々宮家に引き取られた幸は、夢中になって時間を忘れるほど糺の森がお気に入り。
ある日、捜し物をしている老人と出会う。
物知りの老人は鶯の落とし文をはじめ幸の知らないことを色々教えてくれる。
幸は、最近友達になった近所の双子・新と澪の家に遊びに行くが、着物姿の少女の姿を見かけ、新達にそのことを言ってしまう。
澪が悲鳴をあげるほど恐がり、新たちの母親が駆けつけた為、幸は走って野々宮家に帰るのだが……。

【青時雨の客人】
春野の家に牡丹の柄の着物を着た若い女性が、亡くなった祖父を訪ねてくる。
女性は、牡丹の香水の瓶を返して欲しいと言うのだが、春野には思い当たる物がなく、探しておくと伝えようとすると女性の姿は消えていた。
それ以来、春野は牡丹柄の着物を着た女性の夢に悩まされ、家に居ても女性の気配を感じるようになる。
憔悴した春野を友人の菅谷が心配し……。

【額の花】
語りは紫陽花モチーフのブローチ。
ある華族の令嬢のお気に入りだったブローチだが、その家が困窮したことから令嬢はブローチを売る。
ブローチにとって自分を使って良いのは、元の持ち主の令嬢だけ。
だれが手にとってもつけることができないいわく付きの品として流れに流れ、ついに芙二子の元に……。

【白帝の匂い袋】
鹿乃が持っている匂い袋は「白帝」と名がついており、それは芙二子の祖母・鈴が夫に贈られた物だった。
鈴は妾の子供で、母親の死後は本妻に連れられ樹下家に入るが、女中として働かされていた。
ところが、ある日突然、樹下家の娘として嫁入りの為、京都へ連れて行かれる。
風呂敷包み一つを持って向かったのは野々宮家であったが、婿になる季秋(すえあき)も急なことで何も知らされておらず……。

【一陽来復】
冬至に鹿乃が南瓜の煮物を作ったので、それをもらいに慧は野々宮家へ向かう。
その途中、糺の森近くで獣の鳴声を聞く。
暗い森の中へ足を入れ、小川の草むらで小さくうごめく動物を見つける。

【山吹の面影】
口丹波に住む八幡さんは、良鷹にとっては特別な家であった。
父母はその家を訪ねる途中、事故に遭って亡くなり、八幡家を父に紹介したのは弥生であった。
その弥生から、八幡家より骨董の相談があると紹介を受けた良鷹は、真帆と一緒に八幡家へ向かうことにする。
だが、出掛けに幸が自分も行くと言い出し、仕方なく一緒に連れて行くのだが……。



●感想
8巻『下鴨アンティーク アリスの宝箱』は番外編で、鹿乃はチラッと出てくる程度。
幽霊話が多かったなぁ。
私は、野々宮家のひいひいじいちゃんの季秋(すえあき)さんがカッコ良かったから【白帝の匂い袋】が気に入ったわ( ´艸`)
幸ちゃんは色々見えてしまう子なので、野々宮の外では苦労もありそう。

以上、『下鴨アンティーク』シリーズ全8巻のあらすじと感想でした(^・^)

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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