ゲームスタート時、操作キャラクターの名前を入力するRPGは多い。
本来のロールプレイングというのは、自分自身の写し身(アバター)でその世界観にひたることであるから、自分が感情移入しやすい名前をつけるものであると解釈する。
さても、このゲームは、操作キャラに名前をつけることはできるのであるが、もしも名前を入力せずに「おわり」とするとどうなるか。
このゲームは「これでよろしいですか」的な確認がほぼないので、コマンド入力はほとんど取り返しがつかないのであるが、この時点ではリセットすれば最初に戻るだけであるから、とりたてて気に病む必要はなかろう。
もし、名前を無記入のままにすると、自動で
ごんべえ
となる。
突っ込みどころ満載である。
いわゆる「名無しの権兵衛」であるところの「ごんべえ」には違いなかろうが。
どのキャラでスタートさせようとも、名無しであれば「ごんべえ」である。
入力しないのが悪いといえば悪いのだが、全キャラのデフォルト名にされてしまっては、
「結局、八犬伝でいうところの誰なんだコイツは?」
という話になる。
名前をつけない→本来の名前(「しの」とか「だいかく」とか)にデフォルトしてもらわぬことには、
意気揚々といろいろ試そうとするゲーム開始当初に
「コイツもごんべえか!」
「コイツもか?」
というわけの分からないことがおこるのではなかろうか。
取扱説明書があれば、珠と人物の相関が書かれているし、
ゲームを進めていくうちに仲間の噂がきけるため本来の名前が分かるが、
こんなところにネタ的要素を盛っているあたりがあなどれない。
そして……、
以前も書いたが
「親兵衛」を仲間にすると名乗る名前は「しんべい」である。
なぜネタ的な「権兵衛」は「ごんべえ」ときちんと表記するのに、
キャラ名である「親兵衛」は「しんべい」という誤表記なのか。
こういうときは、このように力つきるしかあるまい。
げぼ。
さて、攻略講座といいつつ、いまだスタートや序盤にかかわる注意事項をさまざま書き綴ることにとどまっているが、
このゲームは序盤にこそ魅力のタネがある。
歯がゆい思いをしながら、ようやく到達したときの喜びこそがこのゲームの魅力である。
空腹であればなんでも美味しく感じるように、
分からなかったことを分かる楽しみのように、
麻縄で緊縛されている不自由から開放されて身体が自由になったときの嬉しさのように、
いわば、耐えがたきを堪えた後に見つかるささやかな悦を発見する、ソフト・マゾヒストを養成するためのゲームである。
そのため、いましばらくは序盤の注意点についての語りとなることを了承していただかなくてはならぬ。
どのスタートを選択しても、最初は仲間集めが主眼である、と前にも述べた。
ただし、8つのスタートのうち半分のスタートでは、八犬士の証明となる「珠」がないと、誰も仲間になってくれない。
以下に各キャラの序盤の動きを列記する。
なお、全キャラ共通で、初期所持金は200両である。
・(仁)スタート【しんべい】
「かのうのむら」からスタート、「なた」を所持しているので「どうぐ」→「つかう」で装備。
「品」と看板のある店(よろずや)を右手に抜けて隣村へ行き、静姫から依頼を受ける。
珠なしで誰からでも仲間になる。
・(義)スタート【そうすけ】
「ようろうがわのさと」からスタート、「まよけのふえ」を所持(装備品ではない)。
「いのちのみずうみ」で珠を得る。
「こぶんご」からしか仲間にできない。
その後は「しの」「げんぱち」順不同。
・(礼)スタート【だいかく】
「こうしんさんのむら」からスタート、所持品なし。
武器は「まきわり」を推奨。
大角が装備すると「ふきや」は値段の割りに、「まきわり」と同じ攻撃力しかない。
珠なしで「けの」「どうせつ」順不同で仲間にできる。
・(智)スタート【けの】
「よりいのまち」からスタート、所持品なし。
スタート時点では特に買い物する意味がない。
よろい「くろしょうぞく」が優秀だが、手が届かない。
強いて言えば武器「かま」はあってもよい。
「こうしんさんのむら」の「ふきや」のほうが、「かま」より安価で、「かま」より攻撃力がつく。
なかなかたどりつけないのが癪にさわるが。
町内の北東、見世物小屋の主人に遺言とともに珠を返してもらう。
珠があれば「だいかく」「どうせつ」順不同で仲間にできる。
・(忠)スタート【どうせつ】
「としまのまち」からスタート、「こがたな」を所持しているので装備。
町内の北東に木に囲まれた空間(すぎばやし)があり、そこで謎のおつげを受けるとともに珠を授かる。
珠があれば「だいかく」「けの」順不同で仲間にできる。
・(信)スタート【げんぱち】
「ふるかわまち」からスタート、「かたな」を所持しているので装備。
向かい合っている侍に近づくと戦闘となり、ほぼ瞬殺されるので注意。
せまい空間だが、北東へ行くと謎のお告げとともに珠を授かり、とおせんぼの侍がいなくなる。
他の町人とは普通に会話が可能。
「そうすけ」「しの」「こぶんご」順不同で仲間にできる。
・(孝)スタート【しの】
「おおつかのさと」からスタート、「こがたな」を所持しているので装備。
フィールドにでて、ちょっぴり東にある隣村へ。
隣村内の東の端に坊主がいるので話しかけ、「おおつかのさと」に戻る。
「おおつかのさと」内の北東にいる、蟇六と思われる人物に話をきく。
珠なしで「そうすけ」「げんぱち」「こぶんご」順不同で仲間にできる。
・(悌)スタート【こぶんご】
「とうがねのむら」からスタート、所持品なし。
推奨武器は「せっかんぼう」。全所持金を使う甲斐がある。
村内の中央、上のほうの老人(村長?)から珠を受け取る。
「そうすけ」からしか仲間にできない。
その後は「げんぱち」「しの」順不同。
さて、どうでもよい小技をひとつ紹介する。
このゲームでのヒロインでありキーパーソンである静姫であるが、
(仁)スタート以外では八人がそろうまで出会えない。
と、一見、思われている。
なぜなら、(仁)スタート以外では、
「かのうのむら」のよろずやの前に「しんべい」がいて、そこから右へは進めないからだ。
が、
その、よろずやから抜ければ行くことができる。
よろずやに入る。
↓
よろずやを出る。
↓
一歩右に進むと、またよろずやの画面になる。
↓
ふたたび出る。
↓
さらに右へ進む。
↓
出来。
しかし、進行には全く完全に影響がない。
無意味で無価値であるが、
私が「かのうのむら」の隣村をはじめて見つけたのが、この行動であった。
(仁)スタートでは、隣村に行けといわれるのだが、
かつて隣村というのがフィールドにあるものとばかり思って、進退窮まったものである。
他のキャラでやりなおした際に、とおせんぼ親兵衛がいたことから、ようやっと気づくにいたったわけである。
そもそも、作中、村人から得られる情報で「となりむら」というワードは三回ほど聞ける。
「おおつかのさと」の隣村は、フィールドに出て本当に隣くらいのところにある。
「とうがねのむら」の隣村は、山から出て南下した、ずいぶん遠い「ようろうがわのさと」である。
そして「かのうのむら」の隣村は「かのうのむら」のなかに隠されていた。
このように、
村人から得られる情報は、かなりあいまいである。
序盤できける情報でありながら偉く先の伏線を指し示すものもあるし、次の村や町がどこにあるのか、方角はわかってもどれほど行けばいいのか定かでないことが多い。
これらの情報をもとに突き進みながら、なんどもコテンパンに雑魚敵にやられて、
「ようやく!……ようやくここまでたどりつけた!」
という開放感をぜひとも味わっていただきたいものである。