SEXTUS barbaroi-gambado 照深坊さんの遊行記録

Le blog a été établi récemment.

羅生の門へ

2015-01-28 | 第二次フランス革命
ネウス神父の周りには白い霧が立ち込めて居る、サワサワと湧きたちまるでサイダーの泡の中に居るようだ。

天空も地表も判らぬくらい真っ白な世界で意識が戻り始める。

初めて経験する世界だ、たった一人と言う事が不安を増長し始める。

まだ自分の前世の身体は認識できない「ぼんやりとした不安」これが大きくなる様子だけが認識できる。


ネウス神父 「実際死んでないからちょっとイメージがわかんな」


このままここに居ると有る世界に居ることが認識出来る様になる、白い霧がゆっくりと薄らいで行き周りが見え始める。
この時は貴方の身体は死んだ時のままだ、周りには貴方が望む景色が見え、貴方が望む花が咲いている。

綺麗な蝶が飛び回り、清々しい鳥の鳴き声で満るだろう・。

周りに居る人たちも天使の様な姿で貴方を迎えるだろう、「やっと会えましたね、会えて本当に嬉しい」「この世界に有る者は全て貴方のものですどうぞご自由にお使いください」そんな心踊る様な言葉を次々にかけてあなたを迎えてくれるだろう。


ネウス神父 「たまに死ぬのも悪くないなw」


さて白い霧はまたたく間に薄らぎ全てが見え始める、ここは全ての時間を内包した全てが見渡せる世界だ。

原始人の様に獣の皮をまとって槍を持つ者、甲冑で身を固めて大きな剣を持つ武士、劇でしか見たことが無い様なドレスを着た踊り子。

ありとあらゆる世界の姿をした人々が見えるだろう。

さて先程迎えてくれた人はどうして居るんだろう「ああ災難だ、なんてことだ」「「全ては俺ひとりのものだお前らは出て行け」と怒鳴られた」「なんてひどい人が居たものだ」。

「「なんでこんなところに居るんだ出て行け」と怒鳴ったらヘラヘラと笑いやがった」「きっとあいつに殺られてしまう」

あなたは驚き近づきながらその人々と話さなければならない「私はそんな事言ってない、さっきは嬉しそうに迎えてくれたじゃないか?」そう言って弁明しようとする。

あなたが近づくと先ほどの人々の様子が程なく変わる、鬼の形相が一転「ああ又会えましたね、ずっと近くにいてください」とお願いされる。

「さあ全てはあなたの為に有るのです」「あなたが身に付けるのを待って居ますよ」そう言いながら全て捧げてくれるだろう。


ネウス神父「どういうことだ」


ここは全ての時間を内包する世界、歓迎も嫌悪も同じ場所に同じだけ存在する・。

羅生の世界

あなたが望んだ風景が延々と続き全てを内包した世界、小川が流れるが喉は乾かず水は必要ない・腹が減らないので微かな空気の甘みに満足することが出来る。

しかしあなただけの世界

あなたが望むように何でも叶う世界

しかし一つだけできない事が有ることに気づく、そうここから逃れられない。

夢なら覚めて欲しいと願う…、しかし、夢の世界ではない。


ネウス神父 「だんだん死んだ気がしてきた」


あなた「ネウス神父」はここに居るべきではないここは簡単に抜け出せる、ここは全ての時間を内包した世界「時」を動かすのだ。

動いているようだが動いていない・息をしているようだがしていない・目が覚めているようだがさめていない。

瞬き一つで現世に戻れるが亡者としてだ。