エル・スール HDマスター [DVD] | |
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IVC,Ltd.(VC)(D) |
スペイン内戦終結後の
少なからず影響下に漂う中
悲しい過去を背負った父。
その父をひたすら無邪気に
偶像視しながら成長していく少女。
自らに悲しい過去を持つということは
今現在も陰鬱に進行している空虚さを抱かざるえない
理不尽な宿命であるということ…とも言える。
その宿命への苦悩を秘密として
家族に内緒でそそくさと映画館へ入る父親。
カフェでの父親と少女の会話。
到底かみ合わないもどかしさを誘うも
二人それぞれの表情に惹かれて
なんともいえない感動が溢れてくる。
私たちがイメージする情熱のラテンとは無縁の
薄い陽光が広がる北スペインを舞台に、
少女の成長とともに移り変わる
遠い南方へ通ずる一直線の並き道の映像美が印象的だ。
…
ハリウッド映画ももちろん楽しい。
でも最近、90分くらいの物語の起伏が静かに穏やかに
流れていく作品を観るのも心地がいい。
寡作のビクトル・エリセ監督。
「ミツバチのささやき」と共に
おすすめの映画なのである。