ハラキリ

小説、映画、漫画、えろげーとかの感想日記。★0個は論外。★1個はいまいち。★2個は結構好き。★3個はかなり好き。

最近面白かった小説

2007-01-29 20:27:58 | 小説
最近面白かった小説。新しい順に適当にたどっていこう。

■「アスラクライン」シリーズ。著者三雲岳斗、電撃文庫。

三雲岳斗って以前からいっぱいシリーズ書いてる作者なんで気になってたけど、あまり手を伸ばしてなかった人。でもふ、、、と知ったのに、デビュー?はSFの大賞だったらしい。で最近SF好きになりはじめてるせいで手をつけた。レベリオンとの二択だったんだけど、表紙の差でアスラクラインから読みはじめ。萌え成分の多いオイシイ話になっちょります。
ことあるごとに主人公の袖をつまんだりうつむいて照れたりひっそり怖くない程度にヤキモチをやく嵩月がいい、ネ!!
あーしかし日に日に萌え読者になりつつある。ここらで一発硬いの読んでナラしとくべきかなー。


■「老ヴォールの惑星」小川一水、ハヤカワ文庫。

やー、日本のSFもいいもんだ。人にもよるけど、やっぱり文章は訳文じゃなくて生の作家文章のほうがいきいきとしてますしね。
で、この老ヴォールは短編集なのでいまいち普通のとかもあるわけなんだけど、表題作「老ヴォールの惑星」と「漂う男」がよかった!
特にヴォールはいいかも。短編の割りに主人公が何回も変わるんだけど、主人公となる生命体が人間ではなくて、「重要なのは個体の存続ではなく、知識と経験の存続なのだ」という思想を持つ生命体でそれがうまく書かれている。かっくいい。


■「ゼロの使い魔」ヤマグチノボル、MF文庫J。

これはもうファンだ……。主人公才人とヒロインルイズがしょっちゅうどもるのも、なんかいい加減なようにも見える文章も相当好き。
「おっす俺サイト」ってどれだけ力抜けてんのかとでもそれがいい。
ラノベ好きになりすぎると、ふつーの小説読めなくなりそうなのがちょと怖いな…。


■「ネクラ少女は黒魔法で恋をする」熊谷雅人、MF文庫J。

これ結構セツねぇー。
一巻だとごく普通の暗い子成長物語、というんだろうか。暗くて暗くてはぁーーーーーーーーーって主人公がちょっとずつ明るくなっていって、それだけで頑張れ真帆っちうまぁ萌える小説なんだけど、真価は2巻からっぽい。
1巻ラストで全員記憶をなくし、2巻冒頭あたりで主人公だけ記憶を取り戻す……せんぱい、○○って映画知ってますか? うん、怖いんだってね。見てはないな。――せんぱい、その映画私と一緒に見たんですよ……。
これはセツねぇー。
嫉妬とかでドロドロするよりは淡く切なくいく系なんで、俗に言う恋愛小説とは違うんだろうけどね。やっぱ萌え小説なのかな。

■「ファウンデーション」アイザック・アシモフ、ハヤカワ。

で、萌え小説の紹介だけでも締まらないのでラストは巨匠で。
この人。
書く文章。
(翻訳だけど)かっけえええええええええええええええええ。
渋いったらない。
それはほんのハンカチほどの……いや爪の先ほどの世界で、資源はひどく払底していて動力は豆粒ほど、そして人口は中くらいの埃っぽい太守管区のもっとも遅れた世界にも足りないほど、顕微鏡がなければ見えないほど。
それにもかかわらず、彼らは銀河系の支配を静かに組織的に夢見るほど、誇り多角、野心的な連中だった。
ってかっけーなぁ……。
組織的に、ってのがいい。この文句だけでああ……マジモンなんだな、って気がしてくる。
アシモフさんなんてふるい人だから訳文もやわらかくないけど、読んでいて充実感がある。血が沸き肉踊る。おおおおと思う。
ラストの締め方が気にいらなかったりすることはあるけど、はしばしのセリフがほんとかっこいい。
特に、一章ラストのセリフは個人的に感涙ものだった。
老い先短いじじいが目的までの行動半ばで辺境においやられることになり、若いモンに「これでいんですか」とか言われた後のセリフ。
「びっくりしないでくれ。悪く思わないでくれ。私の寿命はあと1,2年だと医者がいっている。しかし、私は意図したことを、生きている間に成し遂げた。どんな状況のもとでも、これ以上いい死に方があるだろうか?」
「そりゃ、後継者が出るだろう――もしかしたら君自身がね」
「いまにわかる」
「計画はこれからやっと動いていく。しかし、私については」
「すべては終わった」