工務店でも最近は、細かい見積もりを出すようになってきていると聞く。
しかし、どこまでいっても現場では、端材はでる、手戻りはでる、施主の要求は変わる、天候に左右される、条件が違っている、などなど、様々な不確定要素がある。そんななかで、見積もり通りに納めるには相当難しいと思う。
HMの設計書や見積書には、それこそ釘一本の規格から値段まで記載されていて、それが変更されれば、当然、変更見積もりがでてきて、いちいち変更伺いまで送られてくる。
片や、一人親方工務店は、そんな書類を作る余裕はなく、1枚か2枚の見積書だけで、契約も交わさずに、いきなり領収書が送られてくる、しかも中身はアバウトな領収書というのがままある(今回そうだった・・・)。
どちらがいいとか悪いとかはここでは述べません。
正確な見積書を作るには、膨大な時間と人件費がかかってくる。当然、一人親方にできようはずもない。
それでなくても、役所への書類、エコポイントなどの各種申請書類、写真撮影、営業、等々で忙しすぎるはず。
だが、それ専門の人間を雇わず、モデルハウスや広告も出さず、事務所も自宅のみ、という極小の経費しか発生しない一人親方が、費用的には相当安いのは間違いない。その分をほかの買い物に回すこともできる。
古民家のリフォームだと、解体してみるまで、どこが悪くなっていてどのレベルまで直すかによって、費用は大きく変動する。
そんなときは小回りの利く工務店のほうがいいと思う。
喩えていうなら、HMはチェーン店(マクド)、地元工務店は小さな飲食店、のようなものだと思う。
チェーン店は味は一定だが、面白みはなく、飛び抜けておいしいわけでもないが、値段は明示、やや割高。
片や、地元の飲食店は、どんな味だか食べてみるまでわからず、まずいときもあれば、めちゃくちゃおいしい時もある。有名な地元店なら高くても味は抜群、なんてことも。値札のない店に入ったら、精算までが不安で不安で・・・。
ただ、地元工務店の場合は、まちなかの噂を聞けばだいたい味がわかってしまう。
しかし、今日び、小さな地元料理店に飛び込む人は少なく、安心できるチェーン店を選ぶ人が多い。
結果、粋で凝り性の大工や工務店は、姿を消していく。