時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
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IR事業は見直すべきか?

2020年01月13日 | 時のつれづれ・睦月 

多摩爺の「時のつれづれ(睦月の3)」
IR事業は見直すべきか?

共同通信社が1月11~12日にかけて行った電話調査によると、
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業について、
見直すべきだとの声が70%超えたと発表された。

昨年末、IR事業をめぐる収賄容疑で、
IR担当の副大臣を務めたことがある衆院議員が逮捕された直後だけに、
アンケートを取れば、こうなるのは当然のことだろう。

だが・・・ IR事業の主たる目的や、中長期的な視点で捉えた場合
議論が足りないという意見は理解できるが、
ここで廃案を求めたり、見直しや先送りを求めることが、果たして本当に妥当なのだろうか?

世の中の投資(お金の流れ)は、
5G(第5世代移動通信システム)とAI(人工知能)へと大きく舵を切っている。

新たに開発されるシステムによって、生活はどんどん便利になり、
豊かな社会が構築されていくのだろうが、
一方で、つい昨日までマンパワーに頼っていた仕事は、
あっという間に5GやAIを活用したシステムに取って代わられ、
仕事がどんどん少なくなってくることも・・・ 想定しておかなければならない。

仕事が少なくなるということは・・・ どういうことなのか?
働きもせず、プラプラしてる人が増えるだけじゃなく、
税金と年金が少なくなってしまうことに着目せねばならない。
ようは、各種サービスで個人負担が増える一方で、受け取る年金が減る可能性大ということである。

そりゃ・・・ 困る。
そのための成長戦略(新たな仕事づくり)として、政府が目玉に据えたのが、
訪日外国人をターゲットにした、通称「IR」こと、カジノを含む統合型リゾート事業だった。

おバカな議員が収賄で逮捕されたことにより、がぜんカジノに注目が集まってるが、
IR事業とは、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場、スポーツ施設などに加え、
国際会議場や展示場などの箱物をメインにして、交通や医療などの公共サービスなどがサポートする、
とてつもなく巨大なビジネスユニットである。

そういったビジネスの内容を、大きな視点で俯瞰して捉えれば、
カジノはIR事業のハナになっても・・・ メインになることはなく、
単なる客寄せパンダであることは素人でも分かる。

もちろん、そこには5GやAIなどの、最新で最先端の技術が大活躍するのだろうが、
一方で駐車場の管理や、清掃、配達など、
シルバー世代が裏方として現役世代を支える仕事も多々あるはずだ。
IRを活用した新たな労働力の創出とは・・・ こういったことなんじゃなかろうか。

よって・・・ IRに取って代わる、新たなマンパワー対策があるなら別だが、
他に知恵がないのなら、IRの推進を躊躇することは愚ではなかろうか?

早い話が、新たな仕事づくりは、手を打てば直ぐに出来るシフトチェンジや、
ハードランディングが、簡単にできるほど容易いものではなく、
ある程度の時間をかけて検討を重ね、ソフトランディングさせていく必要があると思われる。
だから・・・ IR事業は、5GやAIへのシフトと同時進行で行われているんじゃなかろうか。

そこに持って来て、カジノとギャンブル依存症を結び付けて、頑なに固辞し抵抗する人たちがいる。
昭和が終わって30年続いた平成の世も昨年終り、令和になったというのに、
いまだに昭和を引きづっている方が多いのには驚きを隠せない。

カジノが出来る候補地は3か所でしかないが、
この国の国道沿いや、駅前、商店街には数多のパチンコ屋があり、
競輪、競馬、競艇、オートレースなど公営ギャンブルも全国各地にあることをご存知ないのだろうか?

田舎でパチンコやスロットに嵌まり、競輪や競艇に嵌まり、
サラ金に走って・・・ 借金漬けになったという話はよく聞く話だ。

そこのとこに触れず、カジノとギャンブル依存症を結びつけ、
「俺の眼の黒いうちはどうのこうの・・・ 」とテレビで語ってた、どこかの実力者の方が居たが、
なにかお忘れではないのか・・・ カジノを語る前に語るべきことがあるんじゃなかろうか?

「人としてどうのこうの・・・」その気持ちは十分に理解できるが、
日本で3か所しか作らないカジノと、あちこちにあるパチンコ屋と比較すれば、
どちらの悪さ加減が大きいのか、そんなことは熟慮するまでもなく直ぐに分かることだ。
そこんとこに触れることなく、「カジノ=悪」と決めつけるのは、的外れだと言わせてもらいたい。

ギャンブル依存症に拘るなら、パチンコ玉を購入したり、公営ギャンブルの投票券を購入するとき、
行政が持ってる収入情報や、
課税情報との紐づけが可能なマイナンバーカードとセットで購入するよう義務付ければ、
依存症にならないよう、ガードすることができるんじゃなかろうか。
誰でも気がつく対策なのに、なぜ・・・ そんな簡単なことができないのか。

収賄事件を起こしたバカな議員や、5GやAIによって近未来が想像できない石頭の方々、
さらには対案を持たず、政府案なら何でも反対するレフトスタンドに属する野党議員に加えて、
視聴率稼ぎにフォーカスしたマスコミが悪乗りするから、本質がぼやけてしまっている。

私の思いは、カジノ有りきではないし、IR法案の全てが正しいとも思っていない。
だが・・・ いまの政府は、成長戦略としてIRという案を提案したことは評価したい。

政府の成長戦略に対案があるなら、それを出して議論すれば良いのに、
いざ議論の場になると・・・ 海外に逃亡した、どこかの自動車会社の元会長と同じで、
成長戦略ではなく、ギャンブル依存症や、贈収賄だけで丁々発止だから論点がズレまくってしまう。
こんなことを繰り返すから、国民の代表として、この国の舵取りを任せることが不安でしょうがない。

申し訳ないが、5GとAIへの投資にはブレーキをかけることは、もう出来ない。
ならば、この先にどういった社会が想定されているのだろうか?

今の政府に、この国の舵取りは任せておけないという、野党の主張は分かった。
だったら・・・ 野党が描く、天下国家の近未来の絵姿(対案)を示してほしい。
それが、政権交代が可能な責任野党の役割なんじゃなかろうか。

それは消費税を下げて、金持ちの所得税を上げるとか、
企業の法人税を上げるとかの応急処置のことではない。
先々のことを見据え、どうやって安定した社会を築いていくのか・・・ それを提案してほしい。

5GやAIの進化はあっという間にやってくるし、
近い将来には、日本全国の津々浦々の生活に馴染み、それが当たり前になることは明らかだ。
その時を見据えて、いま議論し、いま判断し、いまから打っておかねばならないことはなんなのか?
国民の三大義務(教育・勤労・納税)が、安定的に担保されるような成長戦略を示してほしい。

アンケートによれば70%を超える人々が、時間をかけて再検討すべきと云ってるんだから、
それは、けっして間違いではないし、とっても大事なことだということも良く分かる。
ましてや、収賄事件が起こり現職の議員が逮捕されたんだから、
そのことについて、しっかり総括しなきゃならないのも尤もであり、国会での追及も否定はしない。

しかし、味噌も糞も同じ土俵に上げ、対案もなく先延ばしするだけなら、
近未来のマンパワー対策が、一年、また一年と遅れていくことを覚悟せねばならない。
そして、その結果は当然の如く、65歳以上の元気な老人の仕事もターゲットにされるだろう。

近いうちに、現役時代のコネクションを頼りにした、
老人たちの醜い就職活動が、現実のものとなってくるかもしれない。

その時、政治はどうするんだ?

昨今の列島各地で起こった大規模災害を見るにつけ、思い起こすのは・・・
「コンクリートから人へ」や「事業仕分け」など、耳触り良いキャッチコピーを支持したがため、
国土や河川に加えて、生活インフラのメンテナンスが遅れてしまったことだろう。

その失敗を確認するのに、10年の歳月を要してしまった。
このことを他山の石とするならば・・・ これから先、10年という歳月が流れた時に、
あの時の議論と判断は間違いではなかったと、振り返れることを願ってやまない。

今月20日に召集される通常国会、桜も良いが・・・ もっと大事なことがある。
一旦立ち止まり、見直しを議論することは否定しない。
だが・・・ 対案もなく、単に否定するだけで、新たな成長戦略がそこになければ、
それは時間をロスするだけで、過ぎ去った時間を取りもどすことはできない。

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