時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

令和の怪物

2019年08月04日 | 時のつれづれ・葉月 

多摩爺の「時のつれづれ(葉月の1)」
令和の怪物

100年という一つの区切りを終え、
新たな歴史を刻むことになった令和元年の「第101回全国高校野球選手権大会」

7月には全国各地で行われた予選会を勝ち抜いた49代表が決まり、
8月3日(土)には対戦相手も決定し、あとは6日(火)の開会式を待つばかりなのだが、
MAX163キロのストレートを投げる「令和の怪物」と評判の、
岩手県立大船渡高校の佐々木投手が、甲子園出場をかけた岩手大会の決勝戦で、
登板回避したことが大きな波紋を呼び、未だに沈静化に至らない。

佐々木投手は、二回戦で19球、三回戦で93球、四回戦で194球、準決勝では129球を投げ、
7月16日から24日までの8日間で、4試合に登板して29イニングで435球を投げている。
準決勝の翌日(25日)に行われた決勝は、全国ネットで注目されたが、
佐々木投手がマウンドに立つことはなく、結果的に大船渡高校の甲子園は叶わなかった。

試合後の会見で監督は、佐々木投手を温存した理由について、
「故障を防ぐためです。未来があるので・・・ 」と語り、
佐々木投手は「監督の判断なのでしようがない。
高校野球をやっていたら試合に出たいし、投げたい思いはあります」と答えた。

確かに・・・ 賛否はあるだろう。
プロ野球OBで、看板番組を持つご意見番の意見はこうだった。

「残念で仕方ない、夏は一回勝負だから99%投げさせなきゃだめ。」
「歴史の大投手たちはみんな投げている、勝負は勝たなきゃダメなんだから」とコメントし、
「ケガをするのはスポーツ選手の宿命だし、将来、将来って誰が保障するの?」と付け加えた。

一方で現役のメジャーリーガーや、現役を引退して間もないプロ野球OBなど、
スポーツ選手の意見はこうだった。
「何で投げさせないのだと言ってる人たちは、子どものことを全く考えていないと思う。」
「全国から注目されている中で、佐々木君の未来を守ったのは勇気ある行動」と監督の采配に理解し、
「停滞する日本球界を変えていくため、疑問を感じ新しいことを取り入れていく。」と付け加えた。

その違いを大まかに捉えれば、昭和的な根性論と、平成的な科学(医学)論に区別され、
野球をやってた時代が、科学や医学で分析する時代の人だったか否かで、意見が分かれているようだ。

私は昭和の人間なので、後者の言い分も分かるが・・・ 思いは前者の意見に近い。
昔も今も、そんなに変わりないと思うが、
高校野球を最後に野球を終える学生たちの方が圧倒的に多い。

一生に一度しかない18歳の夏に
「ああすれば良かったのに・・・」などといった思い残すことなく完全燃焼したい。
それが、あと一つで目の前に甲子園があるとすれば・・・ なおさらなんじゃなかろうか。

ただ・・・ 後者の意見に反対するという思いは毛頭なく、
科学的な根拠などで、チーム内のスーパースターの将来にイチャモンつけるつもりなど全くない。

本件に関しての・・・ 私の解はこうだ。
この問題の解は二者択一ではなく、二つの解(どちらも正解)があっても良い。
というか、二つの解がケースバイケースで使い分けられれば良いんじゃなかろうか。

大事なことは・・・ 繰り返しになって申し訳ないが、
一生に一度しかない18歳の夏に・・・ 完全燃焼したか否か?
指導者と、怪物選手を含むチーム全員が納得して、どちらの解を選んだか否かなんじゃなかろうか?

その全ては、指導者次第といっても過言じゃないだろう。
組織としての勝利と、選手個人の育成に偏りがないように、指導のバランスが保たれていれば、
勝っても負けても、それは結果でしかなく、
自ら取り組んだ高校野球に対して、納得(完全燃焼)することが出来る。
綺麗ごとかもしれないが・・・ 私はそう思う。

高野連は今年6月、投手の障害予防に関する有識者会議を開き、
一定の日数のなかで投げられる球数を、予め制限するという方針を決定している。
早ければ来春の選抜大会や、春季の地方大会から球数制限が導入される可能性が高いだろう。

それはそれで良いことだと思うが、私立の強豪なら3~4人の投手がいるので問題ないとが、
公立は1~2人の投手で、しかもエースと2番手には差があり過ぎるため、
球数制限すれば逆に、チーム力の低下につながり兼ねず、
もう一つ二つ別の提案がないと・・・ 生徒の完全燃焼は難しい。

例えば・・・ 7月の3週間しかスケジュールがないんだから、
ベスト8までは、9回ではなく7回までとするとか、
90分を過ぎて・・・ 新しいイニングに入らないとかして、
ベスト8以降の3試合のスケジュールに、
中2~3日の余裕を持たせるぐらいの斬新な提案があっても良いと思う。

どう改革したら、選手たちは一生に一度の18歳を、完全燃焼することが出来るのか?
視点をそこに向けて議論を進めて欲しいと願う。

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