時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

夾竹桃の花が咲くころ

2023年08月06日 | 時のつれづれ・葉月 

多摩爺の「時のつれづれ(葉月の39)」
夾竹桃の花が咲くころ (広島原爆の日)

本川(太田川)や元安川の川沿いに、今年も夾竹桃の花は・・・ 咲いているのだろうか?
暑い暑い広島の夏は、青い空、入道雲、蝉時雨、夕凪もさることながら、
広島市の花でもある・・・ 夾竹桃(きょうちくとう)が欠かせない。

1945年8月6日午前8時15分、広島の上空に投下された原子爆弾の影響もあって、
「今後75年は、ぺんぺん草しか生えないだろう。」と云われていたが、
いち早く焼け野原に咲き、復興への原動力と希望に繋がったのが・・・ 艶やかな夾竹桃の花だった。

暑さが厳しくなり始めたころに開花が始まると、
まるで調整でもしているかのように、8月6日の「平和の日」に見ごろを迎えるんだから、
そこには、なにかしらの縁というか・・・ 因果があるのだろう。

さて、今年の5月には広島市でG7サミットが行われ、
被爆地ならではのアピールと行動に、さまざまな方面から注文が付き、
唯一の被爆国として、核兵器の廃絶に向けてリーダーシップを取るべきだとか、
11月に開催予定の、核兵器禁止条約に署名した国々による国際会議に、
オブザーバーで参加すべきとの声も上がっている。

そういった思いは・・・ この国に暮らす、多くの人々の悲願であり、
核兵器禁止条約には、いの一番に署名せねばならないはずだとの思いもあるが、
これが、なかなか難しいことらしい。

その理由は単純明快で、この国は核保有国ではないが、先の大戦での敗戦国であり、
戦後締結された日米安全保障条約によって、核兵器で守られているという現実を直視すれば、
現状のままで署名するには・・・ 論理矛盾があり、非現実的なものとなっている。

とはいえ、このままなにもしなくても良いのかというと・・・ それもまた違うだろう。
話しがちょっと横道に逸れてしまうが、防衛費の増大が注目されている昨今、
お金(予算)の工面も大事なことだが、
平和を希求するための安全保障に、最も大事な論点は・・・ いったい、なんなんだろうか?

あくまでも個人的な見解になるが・・・ 安全保障というものは、
話せば分かると言い、キレイ事を訴え続ける政党や、評論家、コメンテーターも多いが、
安全保障とは理想論ではなく、現実主義でなくちゃ、
いざという時に役に立たない・・・ と、いうことではなかろうか?

それは、ありとあらゆる情報と、国際情勢を見極めたうえで、
シミュレーションが検討し尽くされた、現実主義でなければならないし、
その準備を怠ってはならないことだと思うが・・・ 間違っているだろうか?

よって、現状を直視したうえで、大事なことはなんなのかといえば、
核保有国が持つ、核兵器のバランスを崩すことなく維持しながら、
核兵器保有国間の交渉によって、核軍縮を話し合うしかないのではなかろうか?

ひらたく言えば・・・ 話せば分かるの現状は、
大変に残念なことだが、核保有国の間でのみ、あり得る話し合いであって、
非保有国は、外野席から勝手に物申すことはできたとしても、
核保有国の間で話し合いが行われたとしてもに・・・ 立ち入る隙間はないということである。

とはいうものの、そんな中でも・・・ 唯一の被爆国であるこの国が、
リーダーシップを発揮して、やれることがあるとすれば、
それは、全ての核保有国に向けて、交渉の席に着くよう求め続けることしかないと思うが、
ただ残念なのは、この国は核兵器禁止条約に署名してないことから、
唯一の被爆国でありながら・・・ 発言にパワー不足があるのは否めない。

現実論として、いまこの国にできることは、
11月に予定されている、核兵器禁止条約を議論し、締約を進める国際会議に、
世界で唯一の被爆国であるという立場で、オブザーバー参加するとともに・・・ 発言を求め、
各国のメディアを通して、被爆国で起こった悲惨な出来事を世界に向けて発信し、
映像として、文字として、記録に残すことが、
いま、この国が発揮することができるリーダーシップだと思うが・・・ 如何なものだろうか?

アメリカの核の傘下にあるという・・・ 論理矛盾は、如何ともし難いと思うものの、
世界で唯一の被爆国であるという事実を、天秤にかけてみたとき、
その天秤は、いったいどちらの方向に傾くのだろうか?

被爆国と、そうでない国では、同じ一国の主張であっても、重みが全くもって違うし、
この国だけが持っているリーダーシップであり、説得力だと思う。

世界の核保有国を客観視すれば、一斉に核の廃棄なんてできるわけない。
なぜなら・・・ 核兵器を持ち続ける国が、例え1ヶ国でもあれば、
世界はいずれ、その国に屈服し、服従せざる得なくなるからである。

ロシアがウクライナに仕掛けた侵略戦争、
中国が台湾へ仕掛けようとする侵略戦争が・・・ まさにそれではなかろうか?

あえて言わせてもらうとしたら、ダブルスタンダードだと、揶揄されたって良いと思っている。
短期的な方向性と、中長期的な方向性に論理矛盾があっても、
提起された難題を・・・ 解決するために、国際会議に便乗しない手はない。

1対1で顔をつきあわせた議論は、妥協という耳障りの良い言葉はあるものの、
大国が小国に対して、妥協を求めるのが常だが、
国際会議という公の場では、それが通用しないので・・・ 国際会議に便乗しない手はないだろう。

いまの世界情勢を俯瞰すれば、一時的に防衛力を高めざる得ないことは、現実的ではあるものの、
だからといって・・・ 核兵器の廃絶、根絶を諦めて良いということにはならない。
同盟国の顔色を窺い、躊躇していては・・・ いたずらに時間を浪費するだけであり、
いつまで経っても、ルビコン川を渡ることはできない。

この国にできることは、交渉の席に着くよう促すだけだが、
唯一の被爆国という立場を、最大限に活かして・・・ 機を逸することなく、
そういった役回りを買って出ることも有りだと思うが・・・ 如何なものだろうか?

広島でG7サミットが行われた・・・ 今年の「平和祈念式典」で
為政者たちは、どのような知恵を絞っているのだろうか?
けっして穿った視点ではないが、
広島出身の宰相が、今年はどんな話しをするのか・・・ 注目せねばならないだろう。

あの日から78年経った広島は・・・ あの日と同じ、五月蠅い蝉時雨で目覚め、
艶やかに咲き誇る夾竹桃とともに、深い祈りを捧げる、いつもの年となんら変わらない、
暑い一日を・・・ 過ごすことになるのだろう。

話しが横道に逸れ恐縮だが、夾竹桃には強い毒性があることから、
「油断大敵」とか「危険な愛」や「用心」といった、ちょっとネガティブな花言葉があるらしい。

花言葉をストレートに捉えれば、なんとなくイメージの良い花ではないものの、
仏教的視点で捉えれば、いまの広島はまさに「変毒医薬」ではなかろうか?
苦悩に支配された生命を、仏の生命に変え、成長し発展したと捉えることもできるだろう。

敗戦国という・・・ 厳しい環境のなかで、
被爆の後遺症にも、風評被害にも、あってはならぬ差別にも、
けっして負けることがなかった・・・ 広島の広島たる強さと優しさは、
焼け野原にいち早く花を咲かせた、夾竹桃から始まったと言っても・・・ 過言ではないだろう。

たった1年だけだが、かつて住んでいた広島に・・・ 北多摩から思いを寄せて、
ガンバレ! 広島
ガンバレ! カープ


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