やっぱり、隠蔽だと思う。

多摩爺の「時のつれづれ（葉月の４０）」
やっぱり、隠蔽だと思う。（違法薬物で逮捕者がでた大学の記者会見）

違法薬物を所持していたとして、学生が逮捕された前日、
あろうことか・・・　そういった事実（違法薬物）はないと、大見得を切った理事長がいた。

確か昨年だったと思うが、前理事長が脱税容疑で逮捕された後を受けて、
同大学のＯＧであり、著名な作家である女性が、その職に就き・・・　開口一番
「真面な人間が、真面なことをすれば、この大学を再生できる。」と言い切ったことは記憶に新しい。

その後、女性理事を多数登用するなど、
理事を大幅に入れ替えて、経営陣を刷新したところまでは知っていたが、
お飾りだったとまでは言わないものの・・・　どうやら、客人扱いだったようだ。

昨日、理事長（経営）、学長（学業）、副学長（調査の陣頭指揮を執った責任者）の三名が、
記者会見を行い・・・　約２時間に渡って集中砲火を浴びていた。
その話しを要約すると、次の通りになる。

まずは理事長が、違法薬物で逮捕者を出し、学生寮の捜査を受けたことについて、
学生、卒業生、保護者、関係者に対して陳謝し、
正式な説明を行うまでに時間を要したことについて詫びている。

続いて、理事長が以前「そういった事実（違法薬物）はない。」としたことについて、
警察において確認（鑑定）作業中であったことを踏まえ、警察から連絡を受けてなかったので、
そのような発言になってしまい・・・　隠蔽を意図したものではなかったとし、
言葉足らずで、唐突な発言をしてしまったと釈明している。

さらに、理事の中に旧体制の勢力が残っていて、
お飾りの理事長であるという報道があることについて、残念であると強い口調で不快感を示し、
情報開示の遅れから、隠蔽との指摘があることに、非常に遺憾であると語気を強め、
隠蔽という言葉がどこから出てくるのか・・・　と、憤りを露わにしていた。

理事長に続いて学長がマイクを握り、当たり障りのない言葉を繋いで粗方の経緯を説明し、
続いて、今回の調査に当たった責任者でもある副学長が、詳細を説明したのだが、
正直言って・・・　この方たちの説明が、的を射てなかったというか、ますます不信を招いてしまい、
個人的には、やっぱり隠蔽だろっての思いが強くなってしまった。

副学長曰く、学生寮で微量の葉のカスのようなものが入ったビニール袋が見つかったため、
所持した学生から聴取したものの、違法薬物と断定できるような状態ではないと判断したことから、
自らの責任で、ビニール袋を本部に持ち帰り、１２日間保管したと経緯を説明したが、
なぜ即座に警察に鑑定依頼をせず保管したのか・・・　その意図が私には理解できなかった。

その後、警察への鑑定依頼が、違法薬物だったと断定され、家宅捜査から逮捕に至ったとしたが、
そもそも、不審な物としての認識がなかったら、保管する必要はなかったはずであり、
保管したということは、こりゃ拙いものだという認識があったと取られても致し方ないだろう。

説明された副学長には、大変申し訳ないが・・・　世間一般的には、
そういった行為のことを「隠蔽」というんだと思うが、間違っているだろうか？

個人的には、理事長の歯に衣着せぬ、切れの良い口調に好感を持っていただけに、
昨日行われた記者会見を見ていると、残念で堪らなかった。

ダチョウ倶楽部の決め台詞のように「聞いてないよ。」を期待していたわけではなかったが、
人間という生き物は・・・　正直に出来ているようで、
耳に痛いことを言われると、ムキになって強い口調で反論してしまうようである。

昨日行われた会見について、理事長は、なぜムキになってしまったのだろうか？
言葉足らずで説明が足りず、大変申し訳なかっただけで済むことなのに、
なぜそんなにも語気を強め・・・　遺憾であるとか、不快感を露わにしたのだろうか？

世の中には、攻めには滅法強い人間が、守りに回ると途端にしどろもどろとなることがある。
そして、それを取り繕うために、開き直る人々が居ることを随分目にしてきた。
真っ先に思い浮かべるのは野党の女性幹部であり、
彼女は自らの失言を、相手を攻撃することで、論点をすり替え、いつも自分を肯定している。

母校の危機に自ら手を上げて、改革に挑もうとされていた方だけに期待していたが、
昨日の会見には・・・　失望感が隠せなかった。

自ら全否定したことから、火に油を注ぐが如く事態を炎上させたうえに、
言葉巧みに追求する質問にまんまと乗せられ、売られた喧嘩を買うような対応をしていては、
最高学府のトップは務まらないと思うが・・・　如何なものだろうか？。

理事長、学長、副学長の三名が受け持つ職務は、それぞれに所掌範囲があることは承知してるが、
今回の不祥事について、報告が遅れたことについて、
トップである私から、厳しく叱責したぐらいの・・・　コメントがあるのかと思っていたら、
それがなかったどころか、対応は適切だっただから、その言葉に愕然としたのは私だけではあるまい。

さらには、最高学府で薬物乱用防止の講習会があったというのだから、
これはとっても恥ずかしいことであり、理事長が学長、副学長任せにするような案件ではなく、
このような切っ掛けから講習会を開くに至ったことが、
教育機関としてはイエローカードであると思うが・・・　如何なものだろうか？

また、説明に不信感を持った副学長は、
なんと元検事だというから・・・　これまた驚きであった。

あのような場で、パケだ、ブツだ、カスだと、専門用語を連発したのは如何なものかと思ったが、
警察と相談して、自首させようと思ったと話されていたことも、そんなことできるのだった。
そういった権限は、検事にはあると思うが、副学長が刑事事件の捜査を調整して、
融通を利かせることができるなんて・・・　私は知らなかった。

そして、元検事という肩書きをもった人物が、この大学にはなぜ必要だったのか、
それについて詮索するつもりはないが、検事ＯＢだったら、不審物は即座に鑑定に回すはずであり、
気づかず保管したのなら、お粗末極まりないし、気づいてやってたとしたら、
元検事が隠蔽の片棒を担いだということであり、それはそれで問題有りと言わざる得ないだろう。

例えがちょっとズレてるかもしれないが・・・　大手の企業では、
このレベル（副役職）のポストっていうのは、所謂いっちょ上がりの名誉職であったり、
天下りの腰掛けポストであったりすることは普通で、特に驚くようなことではない。

とは言うものの・・・　そのような視点で捉えれば、
誰がその職に就いても大差はないはずだが、不祥事対応だけは・・・　別物ではなかろうか？
晩節を汚さないよう、真剣に取り組んでいただきたいと思うのは、私だけではないだろう。

取りあえず、今回の不祥事に対して会見は済んだので、
そこら辺りに屯する爺さんが、とやかく言うような案件じゃなくなったが、
誰とは言わないが・・・　本件の責任について、
処分や進退伺いに関するコメントがなかったが・・・　はたしてそれで良いんだろうか？

最近、話題になってる大手の中古車販売会社の不祥事は、
経営者に問題があり、ガバナンスそのものがなかったということだが、
この大学では、ガバナンスは決められいたはずだが、
報告と共有がなかったことから、組織として機能してなかったということだと思うが、
もっと厳しく言えば、双方ともに共通していたのは、
ガバナンス以前のコンプライアンス（法令遵守）が、軽く扱われていたということではなかろうか？

いずれにしても、会見したから終わりではなく、
ケジメの付け方が・・・　問われているのではなかろうか？
残念だが、昨日の会見では、肝心要のそのことについて触れられてないのだ。

部活の無期限活動停止は、連帯責任を取って処分したように見えるが、
学生に責任を押しつけただけで、本来責任を取る者への処分が、すっぽり抜け落ちている。
野次馬根性丸出しで、恥ずかしくもあるが、
さて、どうなることやら・・・　老婆心ながら、そこんところが気にかかる。

閑話休題
今日は７８回目の長崎原爆の日である。
台風の影響で残念ながら、平和を祈念する式典は、屋内に変更され縮小して実施されるが、
今朝のメディア各局の報道は、不祥事会見や、台風の影響が中心になると思うので、
うっかりすることなく、長崎の方向に向かって黙祷を捧げようと思う。