時のつれづれ(北多摩の爺さん)

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上り坂では見えなかったものが見えてきた。
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世論に迎合してないか?

2022年11月07日 | 時のつれづれ・霜月 

多摩爺の「時のつれづれ(霜月の25)」
世論に迎合してないか?(宗教団体の被害者救済に向けた法整備)


元総理の殺害事件に端を発し、社会的な問題にまで発展してしまった、
ある宗教団体の被害者救済に向けた法整備について、与野党で協議を重ねてきたものの、
意見の一致までに相当の時間が要することから、与党は今国会では消費者契約法などの改正にとどめ、
新法の制定は・・・ 先送りしたいと言ってるらしい。

これを受けて、野党第一党のトップは、
法案がまとまらなければ、国民に対しての重大な背信行為だと指摘し、
内閣不信任に値すると・・・ 鼻息が荒い。

被害者の方々を、1日でも早く救済したいという思いは、多くの国民も同様であって、
全くもって異論はないし・・・ その声は尤もだと思う人も多いだろう。

ただ、先送りに苛立つことは分らんでもないが、私のような法律に疎い年寄りであっても、
野党が出してきた法案には、疑問に思うことが二つ三つあって、
もっとしっかりとした議論を尽くさないと、
結果的には、高熱にうなされた世論に迎合して、特定の宗教団体を狙い撃ちしただけの、
政治的なパフォーマンスになりかねないとの心配が・・・ ないわけでもない。

私が腑に落ちないのは・・・ 主に次の3点だ。
・マインドコントロールに明解な定義がなく、だれがそれを認定するのかということ、
・信者がした寄付や布施を、当人以外の親族が返還請求できること、
・寄付金の多寡について、年収の1/4を上限にするとしていること・・・ である。

まず、マインドコントロールについて、医者が診断書を書いてくれるとも思えないし、
生活保護のように、自治体の窓口で申請し、書類審査と面談で決めるようなものでもないだろう。
見た目と会話だけで、マインドコントロールされてるか否かを判断することは極めて難しい。

そもそもだが、法律にどのように定義して、書きものにするのか?
マインドコントロールが定義できるのであれば、与野党で揉めることはないはずである。

また、信者本人の財産から拠出された寄付や布施を、
本人が騙されていたと気づいて、返還を求めるというのなら分るが、
認知症や重度の障がいを患い、成年後見人を頼らざる得ない状況ならいざしらず、
本人以外の家族や親族が、本人の了解なしに代理で返還請求できるということが理解できない。

生計を一にする家族で、収入を得て生活を支えている者が、高額な寄付や布施をしたために
家庭が崩壊したから、金を返せというのであれば、
極論過ぎるかもしれないが、ギャンブルや、ホスト、さらには飲み屋のネエチャンに嵌まって、
家庭が崩壊した場合も、親族が「なかったことにしてくれ。」と訴えることが出来るのだろうか?

世の中には、問題になってる宗教団体に寄付して、家庭が崩壊した人よりも、
悪い男や、悪い女に騙されて、ケツの毛まで抜かれた人の方が、圧倒的に多いはずである。
思い込んで理性を失うことがマインドコントロールなら、
これもまた、自爆型のマインドコントロールだと思うが・・・ 間違っているだろうか?

さらには、寄付金の多寡を年収の1/4にするというが、
それって、信者の源泉徴収票と確定申告の申請書を、団体に提示しなきゃ分らないことで、
なにによって年収の1/4を確認するのか、不動産などの売却は、その目的をどう判断するのか、
一から十まで法律に書かねばならないとしたら・・・ バカバカしくて笑ってしまう。

私は、不幸にも被害を受けた方々(本人及びその家族)の救済に、反対しているわけではない。
ただ思うに、金額の多寡に関係なく、信者が納得して寄付することは、信仰の一部であって、
生計を一にする家族のなかに、例えそんな人がいたとしても・・・ それは家族の問題である。

百歩譲って、寄付への勧誘が、違法に該当するかもと思われるのなら、
現行の法律の範囲を、もう少し緩くして改訂すれば、対処できるのではなかろうか?

だからといって、マインドコントロールに問題がないとも思ってなく、
これはこれで救済せねばならないとは思うが・・・ その定義が難しいので
時間が掛かるというのは、理解できるし、当然のことだと思っている。

被害の程度と言っちゃ・・・ 大変申し訳ないが、
いろいろなパターンやケースがあって、心の問題の一つ一つが正しく精査できるとも思えず、
法律を作ったことで、なりすまし被害を招く可能性だってあるだろう。

親の入信にともない、未成年の子どもが虐待を受けている問題などは、
最優先で法律を見直し、子どもたちを守らなきゃならないが、
大事なことは・・・ 心の問題を、世論に迎合した政治家だけで、
チャッチャと妥協して即決することが、本当に良いのだろうかということである。

よって、与党が・・・ 消費者契約法の改正から着手し、
未成年の虐待などを含め、緊急性のあるものから急いで対処するというのは、
あながち間違っているとも思えない。

心の問題でもある、マインドコントロールを認定することは困難であり、
この問題の入り口にするなら・・・ これは私案になるが、
宗教法人の儀式等に関わる、一つ一つの事柄(戒名、読経、永代供養など)を、
タリフ(料金表)にすることから始めたらどうかと思うが・・・ 如何なものだろうか?

例えば・・・ 戒名は文字数でいくら、入れて欲しい文字1個いくら、
読経は何分でいくら、導師の格でいくら、往復の足代でいくら、
結婚式などは神職の格でいくら、時間帯でいくら・・・ と、することも可能だろう。

さらには・・・ 宮参りや七五三も、時間帯で区分してタリフ化できるし、
初詣についても、前もって1口いくらでネット販売すれば、賽銭箱もいらない。
ネット販売じゃ味気ないと思えば、社務所の前に自販機を置き、チケットを発券すれば良い。
入り口で混み合うか、本殿の前で混み合うか、その違いだけで大差はないはずだ。

寄付や布施の一つ一つに、項目と値段をつけたタリフを作成し、
ホームページなどでオープンにすればに分かり易く、
タリフに載ってないものは、受け取らないとすれば良いのではなかろうか?

そのうえで、タリフは改正も含めて、監督官庁への届け出を義務づけ、
審査を受けたのち、承認されたものでないと、
宗教法人の取り消しに該当するとしたら・・・ ほぼほぼ透明性は確保されるだろう。

今国会で法律化するということは、スタートは特定宗教法人の狙い撃ちであっても、
法律になったら、全ての宗教法人を含め、各種団体・結社などに適用されることを踏まえれば、
しつこくて恐縮だが・・・ 高熱にうなされて、世論に迎合することが有ってはならないと思うし、
政治的なパフォーマンスであってはならないと思っている。

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2 コメント

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おはようございます。 (アリス)
2022-11-07 09:25:51
拝読してコメントをするかどうか迷っての意見です。なので、適当にご理解頂けると有難いと思います。
また、非常に大事ですが解り難い点が多いと思います。従って、政治家の皆様は要件を限りなく単純化して基準を決めて頂きたいと切望します。あくまでも基準ですからこれ等は専門家での運用で解決する方が良いと思われます。

❶宗教の規準が曖昧過ぎる点です。
宗教は何らかの神・仏がありますが基礎的な部分は信者がいるということだと思います。なので、宗教の自由があり行動できると思います。そこで、例えば、統一教会は、宗教かどうかの判定が必要です。金欲主義は宗教ではないと思います。思想家です。

❷宗教にどうしてカネが必要なのか?
おそらく組織の中の人件費、建物の維持管理費用などだと思いますが、これは「重要な文化財」としての価値があるものと、そうでない部分の規準が不明確です。特に新興宗教には殆どが該当しない気がします。なので、基準を設ける必要があります。この意味は、不必要な豪華な建造物には金銭的な部分を含め厳格な基準が必要だと思います。これが宗教を認知する条件だろうと思います。簡単に言えば、マンションの修繕積立金の様なものです。

❸これらの規準は誰が作成し、国民の支持を取り付けるか?
現在は政治家が議論し先送りしようとしているのは大いに問題があります。理由は、政治家と宗教とは何らかの繋がりがありますから決めることには無理があります。「カネと選挙票」が影響しますから法律を作れというのは無理だろうと思います。

やはり、第三者的立場からの「法律の専門家」による立案をしないと決断のスピードから言っても無理があると思います。また、気を付けないといけないのは法律家も宗教信者がいるということですが、ここまで厳密に考えると前には進めないと思いますので「基本」を作る意味では妥協せざるを得ないと思います。

❹宗教の組織は原則として税金は無税です。➡(❷の部分を含めて)
会計部分は全く中身が見えてこないブラックボックスです。なので、できれば無税であっても税務署の様な「収支内容を明確」にする為の精査が必要だと思います。狙いは、「目的外使用」はないのか?時々、聞くのは夜の巷で大盤振る舞いをしている住職もいることが問題です。基本は彼等の生活費は寄付と募金だからです。入出金にはその根拠の書類が必要です。

また、信者から集金したカネは宗教に必要なものに使用されているのかどうかだろうと思います。これらは公表の義務があり、特に信者には「決算報告内容」を説明する必要があると思います。

❺宗教には必ず組織及び団体があります。本家及び支部的な存在。
これらは連結決算の如く繋がりがあるか?殆どが「分離独立」の場合が多いと思います。従って、過疎の地区においては宗教家の生計が成り立たず放置、或いは廃墟となっていることが多い。どうして同じ宗教で独立経営なのか?

なので、同じ宗教、或いは宗派は場所の如何を問わずカネを流動化すると健全化となり、自己宗教を守ることができ易いと思われます。基本は自分達の維持したい宗教団体の問題ですから「継続するも良し」「廃業するも良し」の選択は宗教にある筈です。この部分は良く分からないのは本末転倒だと言えます。

❻マインドコントロールに明解な定義がなく、だれがそれを認定するのか?
疑問に思われる点ですが、こんなものを定義しても全く意味をなさないと思います。要は、全ての信者は多かれ少なかれ盲信している訳ですから個人の選択と個人の判断は自由と考えざるを得ません。なので、法規制は無理です。

❼信者の寄付や布施をどうするか?
これは、❹の部分での応用だろうと思います。明朗会計の中でなぜ余分なカネを徴収したいのか?使途目的は何か?過分な集金は論外だと思います。従って、上限である一人当たりの徴収金額は規定しないと歯止めがかからない。

これは、信者側ではなく、「宗教団体への罰則規定」があると個人から徴収できない事になりなます。また、違反行為をした場合は、当人以外の親族が返還請求できることです。なぜなら盲信者はほどんと冷静な判断はできないと思われます。宗教で本人及び家族にまで生活の基盤を失うほどの宗教の自由を認める必要はないと思われます。

宗教の基本は信者に対して「救いの手を差し延べ」精神的な部分を含めて正しい道に導くことが本文だろうと思います。他人を犠牲にして、自分の宗教活動を維持しようと考えるのは全く意味をなさないと自覚して欲しい気がします。

❽宗教以外にこの様な団体及び組織はないのか?
この部分も併せて整理し解決してほしいと思います。要するに、寄付・募金・布施などは全く持ってブラックボックスです。どうして、こんなに「多くの団体が募金活動」できるのか?私見ですが、国民を救う団体は多くは必要がありません。国家が管理し、精査し、内容を明確にしない場合での集金活動は法律違反とすれば分かり易い。

簡単に言えば、赤十字以外はその活動を禁止すれば足りると思われます。時々、耳にするのはいかがわしい団体が政治と絡み寄付金を目的外使用しているのがあるらしい?この部分も政治団体との繋がりがあるのかと疑念が多い。

やはり、これも同様に政治家が法律改正を発議するには無理があります。大きな問題は法律の専門家である「司法が主導権」をとるべきですがなぜ動かないのか?この点が良く分かりません。司法の役割を全く無視して、順番で回ってくる最高裁のトップを国民の審判(選挙)も得ずに知らないうちに決まっていることです。条文では「罷免」は可能ですが実態では不可能に近い。ですから殆ど危機感はないと思われます。どう考えても、最高裁の15人位で政治家よりも高い位置で物事を決定しているのは非常に違和感があります。

簡単に言えば、衆議院及び参議院の議決よりも優先しそうな判決は疑問が多いと思います。彼らがこの法治国家を左右することは国民の信託を得ていないと思います。彼らの判断は常に正しいか?大いに疑問があります。悪意で言えば、この15人を抱き込むとどんな法律も都合よく判決できる?この疑問はないかと思います。私見ですが、最近の判決には疑問が多いと思われます。

長い文章で、意味不明で申し訳ありません。単なる意見としてご理解下さい。適当な駄文ですからご容赦下さい。どうも失礼しました。
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Unknown (多摩爺)
2022-11-07 09:53:05
アリスさん、いつも丁寧なご指摘と解説をしていただきありがとうございます。

今回は読み込むのに、いささか難儀しましたが、仰っていること良く分ります。
個人的にはいかなる組織であろうと、それを維持し継続していくためにお金が必要なことは当然と思っています。
それをガラス張りにすることは当然だと思いますが、
団体数があまりにも多く、そこには憲法で認められた歴史があって、そこを抜本的に見直すことは無理だとも思っています。
たまたま宗教団体に矛先が向いてますが、労働組合の家賃問題や、政治闘争資金の是非など、
全ての団体や結社に目を向けると、それを毎年チェックする側も、それなりの組織が必要となり、
ミイラ取りがミイラになりかねません。
よって、小火を大火事にしないよう、政治が火消しに躍起なのも分らんことではないと思っています。
なにが言いたいのか、曖昧になって恥ずかしいのですが・・・ アリスさんのコメントを読んでいて、そんなことを思いました。
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