時のつれづれ(北多摩の爺さん)

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自動車の走行距離税に目が点!

2022年11月05日 | 時のつれづれ・霜月 

多摩爺の「時のつれづれ(霜月の24)」
自動車の走行距離税に目が点!

あまり大きな話題には・・・ なってないが、
政府の税制調査会は、今すぐというわけではないものの、自動車税制の見直しに着手し、
自動車の走行距離に応じて課税する、驚くような新たな税について、議論するよう促してきた。

その発端は、ハイブリッド車の普及などによって、低燃費化が図られたことにより、
ガソリン税の減収が、深刻なものになりつつあることに加えて、
脱炭素社会の実現に向けて、税制優遇などでEV車の普及に舵を切っていることから、
ガソリン税の減収に・・・ 今後は益々、拍車が掛かってくることが要因らしい。

ガソリン税の財源が減ると・・・ いったい、どうなるのだろうか?
端的に言えば、道路のメンテナンスが遅れたり、できなくなるということであり、
路面にできたデコボコの補修や、横断歩道や路側帯などの維持整備に、即応できなくなることから、
安全に支障を来すような環境の保全に、厳しい優先順位を付けざる得なくなってしまうだろう。

ガソリン価格の約半分を占める税金が原資となって、道路のメンテナンスが行われていることは、
ドライバーの大半は、おおよそ理解していると思われるが、
運転しない人は、目的税であることも知らないだろうし・・・ 理解があるわけではない。

今回の「自動車走行距離税」の検討については、与党の議員からも異論が出ているようだし、
自動車が生活や仕事の足となっている、地方からの反発は相当のものだろうし、
物流コストの上昇にともなって、商品価格への転嫁も想定されるとして、
この国の経済に、トドメを刺してしまうとの・・・ 厳しい声もあるようだ。

なんとなくスッキリしないので、「自動車走行距離税」の検討を聞いたときには目が点になったが、
よくよく冷静に考えてみれば、現行の「ガソリン税」そのものが、
これから走るために、必要なガソリンを給油をして、ガソリンスタンドを介して納税してるんだから、
前払い型の「自動車走行距離税」といっても・・・ あながち間違ってはいない。

それが今後、EV車が主流になると・・・ ガソリンスタンドに行くこともなくなってくるので、
走行距離に応じて、車の所有者が自ら納める、後払い型に変更されると捉えたら、
「ガソリン税」が「自動車走行距離税」に置き換わっただけであり、
「ガソリン税」に「自動車走行距離税」が加算された、二重の走行距離課税にならないのであれば、
目が点になったものの、目くじらを立てるほどのことでは・・・ ないのかもしれない。

課税する額は、税率で巧みに調整して、現行とほぼ変わらないようにするのだろうから、
よって、心配される物流コストが商品に転嫁されるといった心配についても、理論上はあり得ないし、
気になるのは、今後も電気代が上がり続けるのか、否かということだけだと思う。

むしろ、心配になってくるのは、
前払い型から、後払い型へ変わることへの、国民の理解と納得に加えて、
取りっぱぐれのない納付方法というか、インチキのない徴収方法を、いかにして実現するのかであり、
課税の基となる走行距離を、お上がどのような段取りで把握するかではなかろうか?

EVスタンドで充電する際に課税するとすれば、いまのガソリンスタンドと同じ前払い型だが、
EV車に充電するスタンドは、おそらく無人だろうから、セルフ充電になるので、
無賃で充電されることを避けるため、現金支払いは不可となり、カード決済が必須となることから、
カードの取り忘れなど、ありがちなトラブルも出てくるだろう。

また、自宅でも充電するとなると、「自動車走行距離税」とは無関係な家庭用の電力と、
「自動車走行距離税」の対象となる、EV車への電力をどうやって区別するのかという問題があり、
手っ取り早い解決策として、EV車を所有する家庭では、補助金を使ってメーターを切り分け、
電力会社との契約を、2つ(家庭用、充電用)結ぶことになるかもしれない。

さらには緊急避難的に、友人や、ご近所さんの車の充電を、気安く引き受けたりすると、
それは電気代だけでは済まず、他人の税金まで納付することになってしまうし、
うっかりして、充電ケーブルを家の中にしまい忘れてしまうと、
夜中に自宅の前で、かってに誰かが充電してるなんてことも、起こりうるかもしれない。

そして、最も難解なのは・・・ 走行距離に準じて課税するとなると、
だれが、どうやってその距離を把握し、どのような納税の手法をとるのか、
良い知恵があればいいんだが、残念ながら・・・ いまの私には、その知恵がない。

性善説に立てば、確定申告のタイミングで、走行距離の自己申告を求めて試算した後、
その場で請求書を交付するか、郵送で送ることになるのだろうが、それはあくまでも性善説であって、
当局が自らの目で、課税の基礎となるデータを確認しないまま、課税に至ってしまうと、
無用なトラブルを招くことになる恐れがあり・・・ 私は支持できない。

また、2年ごと(新車の場合は3年目)にある車検の際に、
整備工場から距離を報告することを義務づけ、工賃とともに徴収代行を委託することも考えられるが、
税収が年度を跨がってしまうこともあり、単年度予算が原則のこの国の税制度に、
はたして、それが出来るのか・・・ これもまた、課題が大きいと思われる。

「自動車走行距離税」という、言葉だけを捉えれば、
走行実績に基づいた、後払い型になると思うが・・・ それが、現実的に混乱を招くのであれば、
なんとかして、充電時点で課税する、前払い型に目途が立たない限り、
無責任な爺さんの考えで恐縮だが・・・ この新税の成立は難しいと思っている。

電気料金を入り口に議論すれば、現行のガソリンスタンドと同じで・・・ 前払い型となるが、
一方で、走行距離を入り口に議論すると、難解な後払い型を、どうやってクリアするのか、
その方法が・・・ 相当に悩ましい。

脱炭素社会に向けて、EV車の普及促進を加速化させることが、最優先なのは分るが、
これから先の5年から10年は・・・ EV車が普及し、
ガソリン車や、ハイブリッド車と入れ替わる、歴史に残るような時代なんだと思っている。

そういった過渡期だと捉えれば・・・ 自動車に関する税制の見直しが、必要なのは分るが、
くれぐれも「ガソリン税」と、「自動車走行距離税」が二重課税とならないよう、
納得できる議論をしていただきたいと、願ってやまない。

もっと突っ込めば、ガソリン代金にかかる消費税そのものが、ガソリン税への課税でもあって、
そもそも二重課税だと思われるので、
できれば、そこんとこも・・・ この際に、スッキリさせてほしいと思う。

そのうえで、可能な限り前払い方式となるよう、
インフラ(EVスタンド)の整備拡充を促進しなければ、
この問題の議論は、前に進まないと思うが・・・ 如何なものだろうか?

人間とは不思議なもので・・・ 税の前払いが必須な商品の購入なら、
だれも悩むことなく、すんなり支払うが、
これが後払いになると、その使途について理解していたとしても、
文句の一つも言いたくなるし、既に消費しているのに、支払いを渋りたくなってくる。

お金の問題は、難しいし、
それが税金だったら、なお難しい。
ということに・・・ 尽きるのではなかろうか?


追伸
現在68歳の私は、再来年に免許の更新が予定されているが、
余程のことがない限り・・・ それを最後に、車の運転からは引退するつもりにしている。

愛車は昨春買い換えたばかりのガソリン車だが、この後3回ほど車検を受けるつもりだが、
売れるものなら売るが、売れなければ・・・ 廃車でも良いと思っているので、
おそらく「自動車走行距離税」とは無縁だろう。

そんな爺さんの戯言だから、無責任で申し訳ないが、あくまでも個人的な思いであって、
本件について、議論するつもりはないので、そこんとこはご理解願いたい。

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2 コメント

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こんにちは、けんすけです (けんすけ)
2022-11-06 11:11:52
税収が少なくなったらまず議員数を減らせばよいのに
取る事しか頭にない議員連中です。それより不思議な議員手当をもっと減らすべきですね。
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Unknown (多摩爺)
2022-11-06 15:04:00
けんすけさん、こんにちは

おっしゃること尤もで、お気持ちは察しますが、
源泉と使途が決まった目的税の補填ですから、
議員定数の削減や手当の削減を、そっくりそのまま道路財源に充当することは無理だと思います。
なんか木で鼻を括ったような返答になってしまい、申し訳ございません。
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