時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

聴衆の面前で起こったテロ未遂

2023年04月21日 | 時のつれづれ・卯月 

多摩爺の「時のつれづれ(卯月の39)
聴衆の面前で起こったテロ未遂


選挙期間の真っ只中、現職の総理が多くの聴衆を前にして、
いままさに演説を始めようとしていたとき・・・ 突然、爆発物が放り込まれるといった、
無差別のテロ未遂事件が起こってしまった。

あれから1週間・・・ 結果からみて、本当に幸運だったのは、
放り込まれた爆発物が直ぐに爆発せず、爆発するまでに1分弱というタイムラグがあったこと、
爆発物の一部の飛んだ方向に、たまたま人がいなかったこと、
さらには、多くの聴衆がいたにも拘わらず、数名の軽症者がでただけで済んだことと、
二つ目の爆発物が投下される直前に犯人が取り押さえられ、二次被害が防がれたことだろう。

そのような視点で捉えれば、いくつかの偶然が重なって、
たまたま、ホントにたまたま・・・ 数名の軽症者で済んだのだと思う。

それにつけても・・・ 容疑者は、未だに黙秘を続けているにも拘わらず、
前例踏襲が基本のこの国のメディアは、卒業文集や、SNSへの投稿、近所の評判などから、
動機がどうだこうだと仮説を立て、生い立ちからテロに至るまでの経緯をストーリー仕立てに編集し、
感情移入したコメントを付け加えて、政治批判という新たな論点にすり替えようとし始めている。

政治に対する批判はあって当然だし、批判を批判するつもりなど・・・ サラサラないし、
さらには、そのストーリー化されたものはおそらく正しいので、異論はないものの、
動機に感情移入するコメントは、いつしか事件を批判するコメントに対等以上に力を持ち始め、
数日も経てば、事件から切り離されて・・・ 批判だけが一人歩きすることを、
私たちは、作夏の元総理の暗殺事件で学んでいる。

ストーリー化することで、様々なことが分り易いと云えば、確かにその通りだが、
生い立ちや、思考になにがあったとしても、全ての人々をフォローすることはできないし、
民主主義の基本が多数決であることを踏まえ、反対意見を持つ人は必ずいること客観視すれば、
なんでもかんでも政治に結びつけることが・・・ 必ずしも正しいことだとは思わない。

けっして・・・ 少数意見を切り捨てよというのではないが、
容疑者の生い立ちや、生活環境、思考にまで、メディアが感情移入してストーリー化してしまうと、
編集サイドのウェイト掛け方によっては・・・ 犯罪の抑止力という箍(たが)が緩み、
あっという間に、その箍(たが)が外れてしまい、模倣犯を排出すると思うが、如何なものだろうか?

作夏の元総理の暗殺事件で学んだことは、
凶悪な殺人事件であったにも拘わらず・・・ 事件から数週間が経っただけで、
国民の多くが、驚くほどに容疑者に寄り添って理解を示し、
異常とも思えるぐらい・・・ 凶悪犯に、優しくなっていったことを忘れてはならない。

人々の思いなんてものは、それぞれだから・・・ 異論を唱えるつもりはないものの、
結果としてメディアが行った誘因は、
容疑者がやったことは間違っていたが、問題を提起をしたことは正しかったという評価がされ、
社会がそれを追認したことによって・・・ 事件が軽視される、大失態を招いたことだろう。

仮に目的(問題提起)が正しかったとしても、
その目的を達成するために・・・ 手段(殺害)は、
なにをやっても構わないなんてことは、絶対に許されてはならない。

さらに、先の先まで考えれば・・・ この国のメディアは、
本来なら、模倣犯対策を講じる報道姿勢を取るべきであったにも拘わらず、
容疑者の主張に加えて、お節介にも容疑者の私情まで代弁したストーリーを作り、
模倣犯予備軍のハートをくすぐって、義憤に駆られた行動を後押したのではなかろうか?

メディアは本来・・・ いかなる生い立ちや、思考的な背景があるにせよ、
犯罪者には、相応の処罰があることを、ことあるごとに訴求し続け、
同様の犯罪を起こさせぬよう、抑止力とならねばならない立場であった拘わらず、
それを起こったことも然る事ながら、今尚そのことに気づいてないんだから開いた口が塞がらない。

海外でこのような事件が起こったとき・・・ どういった報道をするのだろうか?
生い立ちや、思想的背景や、犯行に至るまでの経緯など、こんなにも詳しく報道するのだろうか?

あくまでも推測であって・・・ 間違ってたらゴメンだが、
この国とは違って、銃社会であり、移民社会であることを踏まえれば、
この国のようなストーリー化をし、容疑者の私情と思考に寄り添ったとしても、
容疑者の行動に、評価を与えるような報道はあり得ないと思うが・・・ 如何なものだろうか?

ひょっとしたら、多くの聴衆を巻き込んだテロ事件になっていたかもしれないのである。
それが未遂で終わったことは、本当に運が良かったに尽きるが、
あえて、一つだけ・・・ 云いたいことを言わせてもらうと、
例え未遂であろうと、テロ事件を起こした責任だけは、けっして疎かにしてはならない。

さらには・・・ お隣の半島ならいざ知らず、
メディアが、私情を持って世論を誘引し、
法治国家の判断に影響を与えるような行動だけは、厳に慎むべきである。

なん年の懲役刑になるのか、そこまでは想像もつかないが、
もしかして、精神鑑定に異常が見つかれば、罪を問うことは出来ないし、
有期刑であれば・・・ なん年か後には、
かつて爆発物を作り、刑に服した人間が・・・ 社会に紛れ込むのである。

選挙の期間中に、聴衆の面前で起こった、
元総理へのテロ事件と、現総理へのテロ未遂事件の容疑者である。

聴衆に被害がなかったことは、ホントにホントに不幸中の幸いだと思うものの、
私は怖くて堪らないので、無期刑であってほしいと願うが、
被害者よりも、加害者に優しいこの国の法律では・・・ 残念だが、そうはならないだろう。

幸いなことに、首相の爆死を企んだ犯人に対しては、
昨年、元総理を銃撃した暗殺犯とは違って・・・ 社会の反応は冷たく、
いまのところ、英雄視されるようなコメントは聞こえてこないが、
さて、どうなることやら・・・ 今後のメディアの扱いから、目が離されなくなってしまった。

追伸
ここに記したことは、あくまでも個人的な思いであって、
コメントを頂戴しても、議論するつもりはないので・・・ ご理解いただければありがたい。


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4 コメント

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Unknown (wada67miho)
2023-04-21 07:48:30
多摩爺さま

事実のみ。日本ほど高い選挙の供託金を取っている先進国はないそうです。またその反対運動をしてる団体に誹謗中傷が来て、迷惑してるそうです。
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Unknown (多摩爺)
2023-04-21 08:57:11
和田さん、おはようございます。

貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。
容疑者が問題にしている被選挙権と供託金ですが、
私も供託金は少し高すぎるかなと思っています。
だからといって、泡沫候補の乱立で自治体の公報経費がかさむのも問題であり、妥当な金額が私にも分りません。

また、被選挙権は、これは私の持論で、議員という公職に就く方は、
せめて10年程度の勤労と納税を果たした方であってほしいと思っており、
個人的には年齢を引き下げるより、一律30歳以上が妥当だと思っています。
高卒や中卒が社会人のスタートだった時代に作られた公選法なので、
大卒や専門卒が社会人のスタートとなった現在とは、噛み合わなくなった部分があると思いますが、
議員になりたい人は、頭の中で思うことを訴える前に、まず10年程度の汗を流せだと思っています。
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Unknown (naotomo3451)
2023-04-21 09:30:47
おはようございます!わたくしも全く同じ意見です。どのような事件にも正しく真実を理解をしたいと思います。面白可笑しく仕立て上げる
マスコミに踊らされる事は、絶対したくないと、いつも思っています。広島サミットが無事終了する事を祈っています。また記事を楽しみにしています。 なおとも
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Unknown (多摩爺)
2023-04-21 10:38:12
なおともさん、こんにちは

仰るとおりで、分かり易く説明することは大事なことだと思いますが、
それがその後、どういった影響を与えるのか、
そこまで考えないと、メディアは宗教団体や労働組合などを凌駕する影響力があることを、もっと自覚すべきだと思っています。
私も、あと1ヶ月後に迫ったG7サミットに、悪ふざけをする輩が出てこないことを願っています。
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