時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

PCR論争

2020年08月12日 | 時のつれづれ・葉月 

多摩爺の「時のつれづれ(葉月の6)」
PCR論争

いつでも、どこでも、だれでも・・・ 20年ぐらい前に、
情報通信系の業界が使ってたキャッチコピーと似たフレーズが、
いままたワイドショーで話題になり、一つの論争を生んでいる。

無症状だろうとなんだろうと、PCR検査の拡大を声高に唱えるワイドショーに、
刺激を受けたかどうかは分からないが、いつでも、どこでも、何度でも、
PCR検査を受けられるようにしたいと、都内の特別区長から声があがった。

一方で・・・ 別のワイドショーでは、このことを取り上げて、
現場が分かってないとバッサリ切って捨てている。

PCRで陽性者がどんどん出ると、今の日本の保健所システムでは症状があろうとなかろうと、
濃厚接触者を追っかけるので、保健所から行政に至るまで、
あっという間にパンクしてしまうと反論した。

さらに、そのワイドショーに出ていた専門家は・・・ こうも云っていた。
新型コロナウイルに感染してから、ウイルスを出すまでに約4日ぐらいあって、
その後、感染力が強い期間が約10日、さらにPCR検査で陽性反応が出る期間が約20日だから、
いつでも、どこでも、何度でも・・・ PCR検査をして、陽性者をしらみ潰しに探し出すには、
短い周期で4日に1回、長くても10日から20日に1回はPCR検査をしなければならないと云う。

そもそも、感度が70%と云われてるPCR検査を拡大し、もっともっと検査対象者を増やして、
1ヶ月に2回から8回も検査をやるということは、現実的にみても厳しいと言わざる得ない。

個人的な思いとしては・・・ 医者が必要と認めた時、
躊躇なく検査を受けられる仕組みになっていれば良いと思っている。

やみくもに範囲を広げて、無症状の人までしらみ潰しに検査をして、
陽性者を探し出して隔離する考えは、何度か繰り返すことによって、検査対象者の範囲を狭め、
最終的に感染者をなくすというものになるが、
なにせPCR検査は感度が70%だから、
擬陽性や、偽陰性などもあって取りこぼしが出てしまうので、
いくらのお金をかけて、抗体ができていない人に、
どれぐらいの期間に、何度検査すればいいのかということに辿り着く。

よって・・・ PCR検査を受けるには、いくらぐらいかかるのか調べてみたら、
陽性者の濃厚接触者、並びに医師が検査を必要と判断された方は、
基本的に公費(無料=税金)で検査は受けられるが、
別に初診料などの自己負担分が発生する場合もあって、
保険適用(3割負担)で2,000~4,000円程度が必要とあり、
それ以外(医師が必要と認めていない場合)は、全額自己負担(約3~4万円)で
検査を受けることになるとあった。

ということは・・・ 直近の累計感染者数は約5万人だから、
陽性率が7%程度ぐらいだと仮定すると、約72万人が既に検査を受けたことになり、
陽性者は退院する前に、何度か再検査をす
るので、それを加算すれば、
約90万人程度が、いままでPCR検査を受けたことになるんじゃなかろうか。

その費用の殆んどは公費で、保健所勤務の公務員が対応していることから、
公務員給与で賄われており、
この仕事をやろうと、やるまいと必要なコストなので、新たな税負担になることはないが、
試薬等の材料費は別物で、これがいくらかかるのか分からないが、
検査数が増えれば増えるほど税負担は増加する。

これを民間の医療機関に、全て委託すると・・・ どうなるのか?
一般的には、人件費、諸経費、検査機関への再委託費などに、数パーセントの利益が上乗せされるから
3~4万円程度(自己負担)が必要になるのは、ちょっと高い気もするが分からん額ではない。

これまでに、PCR検査を受けたであろうと思われる約90万人に、
最安値の自己負担分(3万円)を掛けると、
最初から民間委託だったら、既に270億円が必要だったということになってくるから驚きだが、
都内の特別区長が云うように、いつでも、どこでも、何度でも検査を受けられるように拡大すると、
必然的に多額の税負担が必要となり、雪だるま式に増え続けるということも忘れてはならない。

また、自己負担をなくし、全て保険対象にして3割負担にしたらとも思うが、
そもそも、1ヶ月の保険料に3~4万を払ってる人は、そんなに多くはいないはずだから、
症状がないのに、検査を受けたい人が病院に殺到すると、
国民皆保険制度そのものが、あっという間にパンクしてしまう。

そう捉えると、保健所等の公務員のキャパシティーは有限で、
検査のためだけに公務員を増やすことは困難なため、
いつでも、どこでも、何度でもPCR検査を受けられる、
新たな検査システムは必然的に民間委託となり、
コスト(税負担)の裏付けがないと・・・ この話は成立しなくなってくる。

もし・・・ いつでも、どこでも、何度でも、安価にPCR検査を受けられるようになるとすれば、
短時間で大量の検査ができるような、ロボットなどを活用したシステムができ、
公務員が対応する部分が、検体の運搬と検査対象者への通知のみに省力化されたときじゃなかろうか?

思うに・・・ この国の技術力があれば、
既にどこかで、誰かがPCR検査システムの開発に着手してると思われる。
来年の東京オリンピック・パラリンピックの成功を願い、
本気で観光JAPANの復活を目指すなら、既に開発に着手してないと間に合わないだろう。

空港や港湾での防疫で、入出国者を対象に、
「さすが、ニッポン!」と云われるようなシステムがあれば、
朝っぱらから目くじら立てて、口から唾を飛ばしながら、
飛沫感染を助長するような議論も必要なくなると思うが・・・ 如何なものだろうか?

とにもかくにも・・・ 安全で、低コストで、短時間で、たくさんの検査ができるシステムが、
1日も早くできあがり、1日も早く稼働することを願ってやまない。

PCR検査に投入する、お金と時間と人があって、
医療体制が崩壊しない確約があるなら、検査をどんどん拡大すれば良いし、
それが厳しいなら・・・ 知恵を絞り、現実的な解を求めるしかない。
申し訳ないが、先立つものはやっぱり・・・ お金である。

どちらも前提条件付きの話であって、どちらを選択するかだけのことで、
考えはどちらも間違っていないから、両論あって・・・ ややこしい。
とはいうものの、メディアが言いっ放しで煽り続け、答えがない論争を繰り返すことは、
人心の分断を招きかねないと思うが・・・ どうだろうか?


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