時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

おふくろの味

2021年03月12日 | 時のつれづれ・弥生 

多摩爺の「時のつれづれ(弥生の10)」
おふくろの味(きんぴらごぼう)

先週の水曜日(3日)、オヤジの葬儀のため、急遽実家に戻ってから、
早いものでもう10日が経っている。

決められた時間どおりに、通夜から葬儀、そして火葬へと滞りなく済ませたが、
正直なところ、葬儀が終わってからの方が・・・ けっこうハードで、本当に大変だった。

オフクロと数日かけて市役所や年金事務所、金融機関、介護施設などに出かけ、
様々な手続きをしたが、
私が担当の方に、いろいろ尋ね・・・ 手続きを教えてもらってると、
傍らにいるオフクロが、どうでも良いことを担当の方に話しかけて、
その都度説明が中断してしまった。


なんと言ったら良いのだろう?
久しぶりに親子で出かけたことを、母は楽しんでいるかのように・・・ ニコニコしていた。

さらに、手続きが一段落したら、次は私に「今晩、なにが食べたい?」と聞いてくるもんだから、
憎めないとは思うものの、やらなきゃならないことが・・・ ちっとも捗らない。

周りから見れば、二人合わせて150歳を超えた、
なんとも仄々とした年老いた親子の光景なんだろうが、

実のところは、ちょっとばかり違ってて、
たぶん、私が大人になり切れてないのだろうと思うが・・・ イライラの連続
口にこそ出さなかったが、これが私の腹のなかだったから、この歳にしてまだまだ未熟者なのだろう。

それでも「きんぴらごぼうが食べたいね。」と返すと、食べきれないほど、たくさん作ってくれた。
以前、息子に「おふくろの味」はなんなのと尋ねたとき、
彼は間髪入れずに「鶏のから揚げ」と云ったが、

私にとって「おふくろの味」と云えば、なんてたって・・・ 「きんぴらごぼう」である。

安あがりで恐縮だが、子供のころから、食卓にこれさえあれば、
不思議なことに、なん杯でもご飯のお替りができたことを・・・ ふと思い出す。

おふくろ独特の、ピリ辛の味付けも良いが、綺麗にささがきされたごぼうの大きさが絶妙で、
女房が「こんなに上手くささがきできない。」と云うぐらいだから、
たかが「きんぴらごぼう」とはいえ、私にとっては・・・ されど「きんぴらごぼう」である。

コロナ禍で、昨年は口にできなかった「きんぴらごぼう」だが、
そろそろ、食べたくなったんじゃないかと・・・ オヤジが呼んでくれたのだろう。
そう思えば、さまざまなことを振り返ることができた、とっても貴重なひと時だったのかもしれない。

我が家の食卓には、驚くようなご馳走が並ぶわけじゃないが、
決まって真っ先に箸が伸びるのは、魚や肉のメイン料理じゃなく「きんぴらごぼう」だから、
恐るべし・・・ 「おふくろの味」である。

納骨もあるし、この次に口にする機会は・・・ そんなに遠くはない。
心配なのは、新規のコロナ感染者数が、下げ止まりからリバウンドに向かい始めてることだが、
来月になれば、私のような65歳以上には、ワクチン接種の案内が届くらしい。

いまとなっては、ワクチンだけが頼みの綱だけに、遅滞なく接種できるよう願ってやまない。
頼むよ・・・ ホントに


そういえば・・・ 毎日三食、こればっかり食ってたような気がする。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
« 忌引き休暇 | トップ | せりのおひたし »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kazzdokk)
2021-03-12 09:44:29
ストレートなきんぴらですね
返信する
Unknown (kaminaribiko2、)
2021-03-12 12:18:21
素敵なお話です。
返信する
Unknown (多摩爺)
2021-03-12 17:17:48
kazzdokkさん
kaminaribiko2、さん
たいしたことじゃないのに、コメントを頂戴し恐縮です。
ありがとうございました。
返信する

コメントを投稿

時のつれづれ・弥生 」カテゴリの最新記事