時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

せりのおひたし

2021年03月13日 | 四季おりおり

多摩爺の「四季おりおり(その19)」
旬の味覚 せりのおひたし

「あなたが好きなものがあったから、買ってきたよ。」と、
玄関が開いたとたんに・・・ オフクロの声が聞こえて来た。

なんのことやらと思って玄関まで行ってみると・・・ 「せり」を持ち、
靴を脱ぐと同時に・・・ 「せりのおひたしが好きだったよね。」と言ってきた。
どうやら、朝っぱらから近所の農協でやってる、1袋100円の野菜の即売会に行ってきたようだ。

朝からゴクローさんだが・・・ さすが、オフクロである。
この時季が旬の「せり」は、私の大好物で、もし可能なら毎日食っても飽きることはない。
しかし、残念なことに女房は、私が大好きな「せり」が大嫌いで、
一緒に出掛けたスーパーで見つけることがあっても・・・ 買ってくれることない。

その理由は、実に明快だった。
女房の実家は農家で、家の前には田んぼが広がっていて、
この季節になると、畔や土手には「せり」が、これでもかと云うほど自生してるんだが、
小学生のころに、犬が「せり」におしっこをしてたのを見て、
それ以来、口にしないと固く誓ったそうだ。

女房にそんなトラウマがあることを、オフクロはいっさい知らない。
横にいた女房の顔を見ると、嫌な顔はしてなかったものの「私は食べないからね。」と、
顔に書いてあったから、幼い頃のトラウマは、歳を重ねたからといっても、
簡単に忘れられるものではないようだ。

とはいえ・・・ 「こんなに美味いものが嫌いだなんて?」、私には信じられないが、
一人で全部食えると思えば、それはそれでラッキーでもあった。
大好物を覚えていてくれたオフクロには、もう・・・ 感謝、感激、雨、霰でしかない。

安あがりな男で、少し恥ずかしいが、昨夜の「きんぴらごぼう」に加えて、
今夜の晩酌には・・・ 「せりのおひたし」が、
もう一品追加でついてくると思えば嬉しくて堪らない。

帰省のきっかけは、オヤジの葬儀だったのに、こんなに満足しても良いのだろうか?
いろいろ頑張ったし、お金もたいしてかかってないし、
これくらいのご褒美は、あっても良いんじゃなかろうか。(オヤジ、ありがとね。)


せりのおひたし・・・ ちょっと薬品っぽい香りと、ホウレンソウにはないシャキシャキ感が堪らない。

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2 コメント

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Unknown (kaminaribiko2、)
2021-03-13 09:07:44
お母様やさしいですね。私もせりは好きですが、スーパーでもあまり見かけません。犬がおしっこをかけたといってもきれいに洗えば汚いこともないと思うのですが…。そもそもおしっこは大便と比べると不衛生ではないということを何かの本で読みました。
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Unknown (多摩爺)
2021-03-13 10:00:18
kaminaribiko2、さま
コメントを頂戴しありがとうございました。

幾つになっても、親というものは有難いものだと痛感しました。
女房のトラウマは、頭ではわかってても好きになれないというので、我慢することにしています。
親切な助言を頂き、ありがとうございました。
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