時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
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危機管理という妄想

2021年01月31日 | 時のつれづれ・睦月 

多摩爺の「時のつれづれ(睦月の15)」
危機管理という妄想

昨今の国会中継や、情報番組で持論を展開するコメンテーターが、
最近よく口にする「危機管理」のあり方について、
最近ちょっと、疑問というか・・・ 迷いが生じている。

一般的に危機管理と言えば・・・最悪の事態を想定し、
予め決めておいた約束事(マニュアル)に基づき、
いざ、そのような事態に陥った時、迷うことなくマニュアルどおりに整然と行動することだが、
現実の社会では・・・ そんなに簡単なことではない。

災害時の危機管理にはマニュアルがあっても、
取引先との間で生じたトラブルはケースバイケースであり、
そこにはマニュアルなんぞは・・・ あり得ない。

危機の捉え方一つとっても、自社に閉じた危機なのか、取引先に与えた危機なのか、
それとも、社会に与えた危機なのか、
その内容によって、危機管理の行動パターンは大きく変わってくるが、
そこまで緻密に検討などされてなく、当事者となった管理職や、その組織のトップの出来不出来が、
大きな影響を及ぼすのが、紛れもない現実である。

それでも・・・ 企業が起こしてしまった危機の大半は、企業がつぶれない限り、
大概のことはお金で解決がつくが、
今回の新型コロナウイルス感染症になると、
そこには人の命が関わってくるので・・・ そう簡単にはいかない。

だから・・・ 最悪の事態を見据えて、先手先手で手を打てとメディアや野党はいう。
いかにも正論のように聞こえ、耳触りは良いが、この国の仕組み(法律)はそうなっていない。

有事に備えて、私権を制限できるような権限を為政者に与える、憲法改正に関わるような議論に対し、
一貫して反対の姿勢を取ってきたのは、誰あろう・・・ 大手メディアと野党である。
どさくさに紛れて、恥ずかしげもなく、よく言うよと呆れてしまう。

難題なのは、医療に重きを置けば経済が影響を受け、経済に重きを置けば医療が影響を受ける。
医療の現場にも、経済の現場にも、最前線で働く人がたくさん居て、
どちらかにシフトすれば、対極の分野で、職を失う人や、疲弊する人、命を落とす人が出てくる。

別に政府の肩を持つわけじゃないが、
だから・・・ 49対51の論理で判断し、出来得る政策を講じている。
49対51の論理とは、その差は僅か2%の判断であり、
結果的にはどちらも正解になる可能性を持ち、
どちらを選択しても、必ずほぼ同数の反対意見がそこにはある。

国庫にお金が無尽蔵にあるなら、何でもできるだろう。
私権の制限は補償とセットだという・・・ 確かにその通りだと思うが、
そういった補償が、必ずしも生産者、仲買、物流、小売りにまで行きつくことは考えづらく、
どこかで泣く人は出てくる。

コロナ禍が治まったら、増税を覚悟するなら別だが、それをやったら消費は一気に冷え込むし、
増税で財源を確保しなければ、教育やセーフティネットなど、
社会保障の低下を覚悟せざる得なくなる。

さらに補償で救われた業界には、
後から目的税(居酒屋税・飲食税・施設利用税)が掛かってくる可能性が高く、
一次的に救われたからといって、後々その商売が安泰とも言えず、
結果的に、なるようになるだけで正解はありえない。

どこまでいっても・・・ 最後は49対51の論理で判断せざる得ないのだ。
例えが適切でないことは承知してるし、申し訳ないと思うが、
49だろうが、51だろうが、どちらを選択しても反対は半数いて、皆が満足することはあり得ない。
そう捉えれば、予め危機管理を議論し、整備しておくべきなんてことは絵空事にしか思えない。

なぜなら、「これこれこうなったら、補償はしますが、後々目的税が掛かるけど宜しいですね。」と、
関連する業界や、利用者に念押しすることになり、
補償とセットになるのは、実は罰則ではなく・・・ 増税だということを、
いま、このタイミングで、口にだすことができないからである。

にも拘わらず・・・ 野党の幹部は、鬼の首を取ったかのように
今国会では「緊急事態宣言が遅い。対策が後手後手になっている。失政であり人災だ。」と、
ワンチームになることを頑なに拒み、抑揚までつけて罵詈雑言を繰り返す。
メディアはメディアで、野党に相乗りして面白おかしく揶揄しながら・・・ 政局へと誘引している。

挙句の果てには、手に持ったペンを総理に向けて指さし、
「あなた(総理)
の言葉には熱意がなく、気持ちが伝わらない。」と言いたい放題
政策論争をそっちのけにして、感情むき出しで追及パフォーマンスを演じる、
どうしようもない野党幹部もいる。

違うんだ。
その発想が、その着眼点が・・・ そもそも違うんだ。
総理の言葉が、国民伝わってないようだから、あえて野党の私たちから、国民の皆様にお願いしたい。

「国民の皆さん、不要不急の外出を控えましょう。」
「マスク会食を徹底しましょう。」
「ワンチームになって、この国難を乗り切りましょう。」と、
総理になり替わって・・・ なぜ、訴えないんだ!

与党に危機意識がないと批判するなら、
野党が与党になり替わって危機意識を訴えなきゃ・・・ だめだろ!

本会議の代表質問で、それぐらい言ってたら、多くの国民は野党の政権担当能力を認めると思うが、
それがないから・・・ 野党は批判するだけと云われるのである。

最悪の事態を考えるということは、49対51の論理を取り下げ、
0対100の論理を優先するということである。

唯一、最悪の事態を想定して検討できることがあるとすれば・・・ それは医療体制だろう。
最近、風向きが変わり始め、居心地の悪さを感じて、
医師会(開業医の団体)もバックアップに前向きになってきたが、
医師会が政治に口を挟む前に、
もっと早くそれ(最悪の事態を想定した体制の見直し)をやってほしかった。

最前線の現場で、献身的にコロナウイルスと戦う医療従事者に、
けっして、足を向けて寝ることはできない。
とはいえ、毎週メディアに露出して訴える医師会(開業医の団体)の幹部は、
医療崩壊や医療壊滅などと軽々に繰り返す。

この人たちは、有事において想定すべき、医療体制の危機管理という視点があったのだろうか?
申し訳ないと思うが、そういった疑問がずっとあった。
最近、方向転換しているので、必要以上に問いかけることはしないが、
それが・・・ 喉に刺さった骨だった。

企業における危機管理に、49対51の論理はなく、基本的に0対100を想定するが、
今回のような、ウイルス対策の危機管理では、
49対51で苦渋の決断をせざる得ないのが、我が国の現状であり、
どちらに転んでも反対する人たちが、常に半数いるということを知っておかねばならない。

次の総選挙で、与党がこのまま政権を維持したとしても、野党が政権交代を果たしたとしても
ウイルス対策において、予め最悪の事態を想定するということは、
医療体制の再検討・再構築を除いて、出来そうでできない美辞麗句であり、
妄想なんだと思うがどうだろう?

権限を持たないトップができる危機管理とは・・・ 49対51という二者択一であって、
0対100のような、思い切った指揮命令が執れないことだけが、
今回、ハッキリ分かったことではなかろうか?

そういった視点で捉えれば・・・ 政府は、出来ることを一生懸命やってるし、
その対応をいくら批判しても、そこには虚しさしか残っていない。

こういった考えが、正しいかどうかは、正直なところ・・・ 自分でも迷いがある。
学術会議が軍事(細菌兵器)研究を拒否し、
憲法改正が議論されない、平和ボケが蔓延している国においては、
ワクチン開発で遅れを取ることは必然であり、最悪の事態を想定したとしても、
トップの権限には厳しい制約があり、
他国のような危機管理を期待するのは無理であり、そもそも、国民の頭の中にはないのかもしれない。

取り留めのない話になってしまい、尤もらしいオチが見つからないが、
この国が・・・ 平和ということだけは間違いないだろう。

野党も、メディアも、そして・・・ 多くの国民も、
コロナ禍という天下国家の一大事を、有事として捉えることができてないにも拘わらず、
政府に対して「危機管理ができてない。危機意識が足りない。」って吠えまくってるんだから、
申し訳ないが笑ってしまう。
ワンチームになれないって云うことは・・・ そういうことなのではなかろうか?


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2 コメント

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Unknown (kaminaribiko2、)
2021-01-31 08:10:40
おはようございます。

今日の記事で大いに勉強させていただきました。ありがとうございました。
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Unknown (多摩爺)
2021-01-31 12:20:14
kaminaribiko2、さま
コメントを頂戴し、ありがとうございました。

思いつきで、いろいろ書いてみたんですが、参考にしていただき恐縮しています。
今後とも宜しくお願いいたします。
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