よろず戯言

テーマのない冗長ブログです。

マイ・インターン

2015-10-25 20:11:57 | 映画

先日の休みに映画を観てきた。

ロバート・デ・ニーロアン・ハサウェイ主演のドラマ、"マイ・インターン"だ。

現題は、"The Intern"。

監督は"恋するベーカリー"などの、ナンシー・マイヤーズ氏。

原案も脚本もすべて監督が手がける。

キャッチコピーは、"アドバイスひとつで、人生は輝く"。

 

 

10年くらい前に公開された映画、"プラダを着た悪魔"。

同じくアン・ハサウェイが主演する、ニューヨークのファッション業界を舞台にした、

ひとりの女性のサクセスストーリー?を描いた面白いドラマだった。

それの続編だという謳い文句で紹介されたのが今作。

あのとき、鬼のような上司(メリル・ストリープ)の元で一所懸命だった女性が、

今度はファッションのネット通販で大成功を収めた若き女性社長を演じる!

そのとき初めて名前を知った女優さん、アン・ハサウェイ。

くっきりとした目鼻立ちに大きな口。

チャームポイントは、なんといってもタレ目!

この作品でブレイクして、その後の活躍はご存知のとおり。

 

監督はナンシー・マイヤーズ氏。

自分はあまり知らないが、女性主役の映画で数多くのヒット作を手がけた女性監督。

記憶に新しいのは、数年前にメリル・ストリープ主演で公開された、"恋するベーカリー"。

メリル・ストリープの演技はもちろん、内容もすごく面白い作品で、

スクリーンに映し出される、食卓から部屋の小物、庭木に菜園、

パン屋のディスプレイなど、あらゆるものの描写がとてもきれいで、

こういう部分は、女性監督ならではの繊細さだなあって強く印象に残っていた。

そんな監督の最新作でもあるのだから、さらに期待大。

 

そして・・・あの大御所ハリウッドスター、ロバート・デ・ニーロが出演!

しかも、今回の役は、タイトルにもあるように、シニア・インターン!

ゴロツキでもマフィアでもボクサーでも博打打ちでもなく、フツーの年配会社員だ!

若い頃はギラギラした目つきで、狂気に満ちたキャラクターを演じていたが、

実はコメディもけっこう演じていて、ファンからすれば珍しくもないのだとか。

自分はやっぱり、ゴッドファーザーPartⅡやアンタッチャブルのイメージが強いため、

彼の今回の役はとても新鮮に感じ、最も期待していた要素。

そんなふうに期待いっぱいにして観に行った。

 

 

 

ニューヨーク、マンハッタン、ブルックリン区。

古い町並みの一角に、工場を改装してできたおしゃれなオフィスがあった。

ファンション通販で成長著しい、新鋭企業、アバウト・ザ・フィット。

社長は若い女性、ジュールズ・オースティン(アン・ハサウェイ)。

起業の成り立ちは、彼女の自撮り動画からスタート。

趣味で始めたおしゃれ動画が話題になって、

ジュールズは、主婦ブロガーから、あっという間に社員200人以上を抱える社長に!

 

これまで一人で全てをこなしてきたジュールズ。

だが、会社が大きくなるにつれて、彼女の負担が増え、

家族との時間も取れず、食事も思うようにとれず、

社員の負担も増して、煩雑になった業務にミスやトラブルも多い。

ジュールズをサポートしている、キャメロン(アンドリュー・ラネルズ)は、

いっぱいいっぱいになっている会社の実情を指摘し、

顧客や投資家を納得させるためにも、

外部からCEOを迎え入れるようジュールズに進言する。

 

自身がこれまで邁進して築き上げてきた会社。

そこへよそから人を連れてきて、会社のトップになってもらい、

自分はその人の元で働かなければならない・・。

気が強く、女性の独立志向が強い彼女は、それを受け容れられない。

なによりもトップ失格の烙印を押されたように感じてショックを受ける。

なんでも完璧にやってきたはず・・・。

だが、書類や荷物が山積みになって片付かないデスク、

家族と一緒の時間がまったくとれない事実。

悔し涙を流しながらも、指摘されたことを真摯に受け止め、

キャメロンの進言を受け容れるしかなかった。

 

そんなとき、シニア・インターン制度で、会社に新人社員がやってきた。

72歳の新人、ベン(ロバート・デ・ニーロ)だ。

ベンは十数年前に定年退職し、妻に先立たれ、

たったひとり、旅行に散歩にカルチャースクールに、悠々自適な生活をしていた。

だが心にぽっかり穴が空いたように感じ、

また刺激が欲しい。社会に貢献したい。そう強く思っていた。

そんなときに見かけた、シニア・インターンの求人広告。

是が否にもとの思いで応募し、見事に採用されたのだった。

 

そんな彼が配属された部署は、社長ジュールズ直属の部下!

さっそく社長に面会するも、ほんの数分。

年配の人間が苦手なジュールズ。

年寄りの古臭く説教じみた話や態度が苦手で、実の母親ともうまくいっていない。

そんなだから、ベンを敬遠してこれといった仕事を与えることをしない。

なんの仕事もさせてもらえない閑職に配属されたベンだったが、

それでも、ひたすらに雑務をこなす。

 

 

ベンは久しぶりのデスクワークで心躍らせていた。

若い社員に囲まれて、触ったこともないパソコンの電源を入れる。

目まぐるしく動く若いスタッフらを見て、会社の忙しさを知り、

若くして成功を収めた、ジュールズの偉大さを知る。

周りの若いスタッフの仕事だけではなく、

プライベートなトラブルにも、冷静に的確にアドバイスするベン。

逆にパソコンやSNSの扱い方には、真面目に教わる。

そんな人柄と経験豊富な知識から、彼はすぐにオフィスで人気者になり、

新入社員なれど、皆の頼れる人生の先輩になる。

 

はじめは敬遠していたジュールズも、

ベンの細やかな心遣いや、的確なアドバイスに信頼していく。

これまで会社に、自分に足りなかったもの、必要だったものが何だったのかを悟る。

またベンが夫や娘らともすぐに打ち解けて気に入られ、

会社への送迎から、娘の世話なども快く応じてくれる。

 

ジュールズにとって、最も頼れる存在となったベン。

そして二人は、サンフランシスコへとCEO候補者に会いにゆくことに。

ジュールズは崩壊しそうな家庭を取り戻すために、社員の負担を軽減するために、

外部CEOを受け容れようとしていたが、ベンの内心は違っていた。

だが新人社員であるベンはそれを心の中に留め置く。

ベンはジュールズの家庭環境の実態を知ってしまい、胸中複雑な思いだった。

ジュールズもまた、不本意だが決断しなければならないと覚悟を決める。

 

はたして、ATF社の未来は?

怖いものなしで突き進んで成功した若き女社長と、

コツコツと人生を積み上げてきた人生のベテランの新人社員とが、

様々な思いを胸に、サンフランシスコへと旅立つ。

 

 

なかなか面白かった。

ストーリーとしては実に短くてシンプル。

だが、その間に描かれる、人間ドラマが粒ぞろいで面白い。

ベンとジュールズの二人メインに、各々丁寧に描かれている。

二人を取り囲むキャラクターも個性があって楽しい。

蛇足だろ!?と思えるシーンも、観終わったあとに面白い。

ああいうシーンもアクセントで要るなあと。

脚本が上手いってことだろう。

 

 

アン・ハサウェイはいい!

プラダを着た悪魔のときと比べると、やっぱり歳を重ねてしまったのが判るが、

スタイルの良さ、凛としたしなやかなたたずまいが素敵で、

若くして成功した女社長というキャラクターがサマになっていた。

あの大きなタレ目の瞳で、涙流されてしまった日にゃ・・・もう。

ベンでなくても、親身になってしまう。

女性の本当の涙には男は防御する術がない。 

 

そして・・・ロバート・デ・ニーロ!

ただただカッコよすぎ。

歳を重ねて、こんなに格好よくなれるだろうか?

しかも、このベンってキャラクターは、ちっとも格好よく演じていない。

腰が低く実直でクソ真面目な老紳士。

ダンディにふるまっているわけでも、

今の若者や、今の時代に合わせているわけでもない。

なのに、やたらカッコイイのだ。

 

常にビシッとスーツで決めている。

舞台になっている会社は、新鋭企業なので、

若い社員達の格好はとてもラフ。

髪も最近のトレンドか?

だらしないバサバサで、無精ヒゲもそのまま。

だが、デ・ニーロ演じるベンは、頭髪を整えるのはもちろん、

毎朝ヒゲを剃り、磨かれた皮靴を履き、アイロンのかかったワイシャツ、

お気に入りのブランドスーツに、クラシックな皮製アタッシュケース、

日替わりネクタイに、アナログ式の腕時計に、ソーラー電卓、

旧式の携帯電話(ガラケーって呼び方嫌いなんだよ)。

古き良きビジネスマンのたたずまいが、いぶし銀でカッコイイ!

 

 

若い男性社員から言われた、

「ハンカチ持ってるなんて意味が解らない!」みたいな台詞に、

「男はハンカチを、女性の涙を拭くために持つのさ。」と返す。

こんな名台詞を発してくれる!

そうそう、それそれ!

男としてのエチケットだよ。

たとえ便所で手を洗わなくとも、男はこのためにハンカチを持たねばならない!

レスリング選手が相手の血をぬぐうために、ハンカチを所持してないといけないのと同じだ!

違うか。

 

いや、なかなか面白かった。

若者と年配者とで、意見の食い違いや意識の隔たりがある。

だが、実際はそんなでもないんだよなって感じさせられる。

年配の方だって若者から新しものを学びたがっているし、

若者も年配の方から古き良きものを学びたがっている。

温故知新なんて言葉もあるし、昔の智恵から新しいひらめきが生まれることもある。

実際にベンと同じ世代の方が観たら、どんな感想を持たれるかが興味あるな。

 

あと・・・だまされた。

プラダを着た悪魔、全然関係ない。

アン・ハサウェイが演じているのは別人だし、続編でも なんでもねえ!

雰囲気もまるで違う。

ただ舞台と主演が同じってだけ。

あの謳い文句は詐欺だ!

そう思ったら、"続編"なんて誰も言ってなかった・・・。

確かに何かで、"プラダを着た悪魔の続編"ってフレーズを見たんだけど。

見間違いかな・・・?

 

 

とんねるず 博士と助手  ロバートデニーロ

このひとのデ・ニーロのモノマネ好きなんだけど、最近テレビで見ないなあ。

 



コメントを投稿