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高校研究

高校入試に関わってから早20年の月日が過ぎました。ブログ執筆も10年目。様々な角度から、入試の今を見つめていきます。

都立西高校と都立国立高校 校風による比較の面白さ

2017-05-20 03:02:04 | 日記

※この記事は2017年5月17日最新内容に更新済みです。


都立トップ校と言えば、日比谷高校、都立西高校、都立国立高校の3校を指す受験用語ですが、この3校は校風や教育方針がバラエティに富んでいて、興味深いものがあります。

あるウェブサイトの掲示板に、都立西高校と都立国立高校のどちらを第一志望校として据えるべきか悩んでいるという相談がありました。その相談には、教育関係者や、都立西高校と都立国立高校の保護者が回答されていて、高校受験生にとって大変参考になるものでした。



■教育関係者から見た都立西高校と都立国立高校の違い

東京都内の受験事情に精通する教育関係者の方は、都立西高と都立国立高の2校は、クラス替えが校風の違いを象徴していると話します。


国高 → 3年間クラス替えがないので、異常なほどクラスの団結力が強くなる。行事に熱くなれるタイプの子向き。合う子には国高を超える学校がないほど居心地の良い学校。合わない子には本当に合わない。行事にあまり興味がないクールな子には向かないのかも。


西高 → 毎年クラス替えあり。どちらかというとクラスよりも部活動に自分の居場所を見出す子が多い?西高の校長先生曰く「西高にはどんな子にでも居場所があります」と。知り合いの子は、行事参加にあまり積極的でないどちらかというと冷めた子らしいのですが、そんな子のグループもちゃんとあるみたいです。西高が合わないという話はあまり聞きません。


国高は「一直線」な印象。西高は(良い意味で)「バラバラ」な印象。学区撤廃以前よりも、明らかに国高と西高の校風が際立って異なるようになった気がします。2校とも都立トップ校ですから、進学実績で比較するよりも、校風とかで決めたほうが良いと思います。学校説明会とか行事に参加すれば、「なんかこの高校は違和感がある」「この高校は自分に合ってそう」といった空気を感じることができると思います。

 

■息子が西高を選んだ理由 母が国高を気に入った理由
続いての回答は、息子さんは都立西高校を気に入って志望したものの、お母さんは都立国立高校を気に入ったという、親子で好みが分かれたという方の投稿です。

息子は両校を検討し、西高を選びました。
理由は・・
・説明会、学校見学会に参加して、西高の方が自分に合っていると感じた。 (国高の説明会での先生の熱さにひいてしまった!)
・クラス替えがあった方が良い。

ちなみに、母である私だったら、国高を選んだと思います。
理由は・・
・若干、通学時間が短い。
・駅から学校までの環境が素敵。
・「みんなで全部頑張る」熱さが好き。 

実際に両校に足を運んでみると、その雰囲気の違いは結構わかりますよ。 どちらも甲乙つけがたい良い学校です。 カリキュラムや行事の違い(例えば、西高は第2外国語が学べる、国高は第九演奏会に参加できる等) は多少ありますが、どちらを選ぶかは子ども本人に一任すべきだと思います。



■都立西高校の保護者から見た「西高」と「国高」
続いては、都立西高校に通う生徒を持つ保護者さんからのアドバイスです。都立西高校と都立国立高校の校風や教育方針の違いを的確に指摘しています。

西高・国立高の募集要項をご覧になってください。
それぞれのホームページに「期待する生徒像」、つまり「こんな生徒がほしい」という学校の考えがうたわれており、2校の違いがはっきりと出ています。

大学進学実績に誇りを持ち、「全教科において成績の優れている」「将来は社会のリーダーになるような」生徒を期待しているのが国立高校。
一方の西高は「確かな学力をつけさせ希望の進路を実現させたい」「この学校に入れて・学べてよかったといえる学校でありたい」「教科と教科以外のそれぞれにおいて得意分野を持っている生徒」・・・等あまり細かいことはいわず許容範囲の広そうな感じです。

我が家も西高と国高の間に位置しています。運動は苦手で嫌い・学校行事もできればゼロがいい、友達と遊ぶより自分ひとりで好きなことを
自由にやるほうが好き、という息子は、国高が行事に熱く燃える学校だと聞き「あ・・それはパス」と一度も足を向けることなく対象からはずしました。私も国高は絶対息子に合わない、と思いました。

西高の文化祭も「別にいい」と行きませんでしたが、夏に学校説明会に行った印象で「ここは悪くないぞ」と思ったらしく、その後第一志望からはずしたり迷ったりすることは、最後までありませんでした。

親からみてもかなり変わり者のてごわい息子ですが (この年頃の男の子はこういうもの・・・という典型から完全にはずれるので)力を入れている課外の活動や興味をもって自主的に勉強している(関連の本を読む程度ですが)分野が一応あるので、親である私も 「国高の期待する生徒からは大きくはずれる息子だが西高の期待する生徒にはあてはまっているかもしれない、西高なら受け入れてくれるかもしれない」と思い西高の受験に大賛成でした。募集要項のことばは西高のおおらかさ、ふところの深さを良く表していると思います。

現在、彼なりに生き生きとしている息子を見ていると、本当に西高は誰にでも居場所のある学校かもしれないという気がして今でも時々「西高にはいれてよかったね・・」とひとりつぶやいてしまいます。

国立高校の期待する生徒像に合うお子さん、それを目指すお子さんのことは個人的にまぶしく、好ましく感じます。 私自身どちらかというと熱く青春したい方でしたので。けれど、別の方々もおっしゃる通り合わない子には合わないだろうとは思います。悩んで考えて、自分が3年間過ごしたいのはここだ!と信念を持って言える学校に出会えるといいですね。

 

↑都立西高校に突如、鬼が出現!実はこれ、生徒会主催の節分豆まき企画。当日は吊るされた鬼のお面に向かって生徒達が豆まき!本当に何気ない西高生活の1コマなのですが、こういう日常こそが、西高の校風を象徴しているのではないでしょうか。皆さんおっしゃいます。「西高って、だれでも絶対に居場所のある学校ですよ。」と。アメフト部で関東大会に出場する体育会系西高生、白衣族としてオタク的活動に没頭する西高生、謎の秘密団体に入り極秘活動をする西高生。みんなそれぞれ、西高的側面を持つ生徒達です。白衣族?秘密団体?なんだそれ、と思ったら、あなたはもう、西高の扉の入り口にいるはずです。

■都立国立高校に恋をした理由
最後に、国立高校に恋に落ちてしまったという、国高ファンの保護者の方から見た都立国立高校の魅力です。


子供が国高に通っています。

たくさんの国立・私立・都立高校を見学しても今ひとつピンときた様子のなかった子でしたが、国高の説明会にいったところ、見事に恋に落ちてしまいました(笑)行くまでは「3年間クラス替えなしなんて信じられない」と言っていたのにもかかわらず、です。

よく「熱い」と言われる国高ですが、確かにその通りだと思います。全体的にテンションが高く、色々なことに貪欲な生徒が多いです。ただし、全員がいわゆるリーダータイプという訳でもなく、なんというか、キラリと光る名脇役があちこちにいるのがこの学校の面白いところです。

国高はクラスや部活、委員会、国高祭などでびっくりするほど細かく担当係が設定されており、(クラスの遊びをまとめるコンパマスターまでいます笑)生徒は何役もかけもちで役割をこなします。

自分が得意とするA係ではまとめ役になる子が、B係では支える側にまわる。それぞれ活躍できる場があると同時に、仲間の活躍に学ぶこともできるのです。

「全部やる、みんなでやる」のモットーはややもすると熱血体育会系に誤解されがちですが、どちらかというと、社会人になってから役立ちそうな高いパフォーマンスを実現する組織の作り方を学んでいる…そんなふうに感じます。

かくいう我が子もリーダーシップをとるタイプでは全くなく、各分野で抜群にできる仲間達を心底尊敬し、誇りに思い、自分なりに全力で支えることに喜びを感じているようで端で見ていて「青春してるね~」と微笑ましく思います。

 


↑都立国立高校の文化祭「国高祭」の3年クラス演劇のポスターです。そのクオリティの高さから、さまざまな雑誌等で「日本一の文化祭」紹介される、日本国内で最も有名な高校学園祭です。全国から文化祭好きが集まり、高3クラス演劇はプラチナチケットと言われるほどの大人気。クラスメイトみんなで団結して文化祭を作る様子は青春そのもの。高1から高2はバラエティー企画で、高3で集大成のクラス演劇という内容のバランスの良さも良いし、キャストだけでなく、監督、脚本、演出、衣装、内装、外装、宣伝、音響といった細かな部門に分かれ、様々な立場から文化祭で関われるのも良いですよね。だれにでも必ず、自分の能力の活かせる部門があるわけです。週刊ダイヤモンドの「最強の高校」特集では、都立国立高校がクリエイティブ系企業の就職に異様に強く“国高学閥”があることが紹介されました。国内最大手の広告代理店、電通の出身高校別社員数はトップ。さらに、博報堂、マイクロソフト、グーグル、NHK、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京といった企業の国高OB・OGの数も他校を圧倒だそうです。この際立った個性の校風が、就職で大いに活きていくというのだから面白いですよね。


■西高と国高が愛される理由
〈2017年5月に追記〉
2010年に初投稿したこの記事を、7年たった現在も受験生や保護者を中心に多くの方々に閲覧していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

私が申し上げたいことはまず一つ。「西高と国高の学校文化に触れて、最高の母校となる学校を選択してほしい」ということです。西高も国高も、校風の違いこそあれ、それぞれが最高の学校です。生涯の友と、個性のありすぎる(?)濃い先生たちとの出会いがあります。生涯の最高の母校になるだけの学校です。

最近、西高も国高もマスメディアに注目されることが多くなりました。都立国立高校は、「日本一の文化祭」が注目されています。日経の「1万人集客 都立国立高校 日本一の文化祭を拝見」をぜひご覧ください。都立西高校は、「都立西高校の偏差値と評判まとめ」という記事に、西高の部活動などがうまくまとまっています。西高志望の方はご覧ください。

西高も国高も、中高一貫校になる道を決して選びませんでした。周りの私立高校が次々と中高一貫校になろうとも、頑なに「高校入試の生徒達のためだけの学校」を堅持しています。中高一貫校にも多く足を運んでいるからこそ分かったことなのですが、西高と国高は、中高一貫校ではない3年制高校だから、これだけ高度な学校文化を形成することができたのだと思うのです。まだ心身共に幼い中学生と一緒の環境ではないからこそ、学校は、15歳から18歳の君たちを、一人の大人として扱ってくれます。校則はほぼありません。この体験は、何にも代えがたいものがあります。

高校入試全体を見てみると、2017年度は開成高校の募集状況が過去最も悪かったとかで、合格者の半数以上が辞退して他校へ進学したということですが、日比谷高、西高、国高への進学者が多いんですね。5年前と比べても隔世の感があります。高校受験生にとっては、内進生のような存在がいない学校のほうが、気楽に自分の個性を伸ばして青春を謳歌できるという認識があるわけです。

そうすると、2020年とか、2021年の大学合格実績もまだまだ伸びていくでしょうが、中学3年生はチャンスですよね。大学入試改革世代の一期生なので、浪人生との競争が非常に少ないと予想されるのですね。今、中学3年生の生徒達が大学受験するときには、国立大学がものすごく入りやすくなっています。詳しくは「2018年度入試は大学附属校より都立進学校を選ぶべきなのか」の記事を見て下さい。

一つ確かなことは、西高も国高も、21世紀型教育の実践校だということです。そして、大学入試改革では間違いなく、従来以上の非常に高い実績を出すことになります。自校作成問題が、新大学入試と形式が同じということもありますが、こういう学校の生徒を、結局、大学が一番求めているのだと、そこだと思います。

 


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