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Life in Oslo.

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街角のアート

2012年04月07日 | 生活
しばらく日本に帰国していたので、更新が滞ってしまいました。コメントいただいた方々、返信が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

 さて、ノルウェーでの生活も二年目に突入。肩書きも変わり、さらに二年の単身赴任生活が再びスタートです。
 しかし、再スタート早々の4月4日午後から約1週間のイースター休暇が始まり、職場はもちろん、スーパーやショッピングモールなど大半がお休みです。ノルウェー人は家やキャビン(別荘)に引き籠もり、なぜか犯罪小説を読み耽ります。昨年の記事でも紹介したように、牛乳パックにまで推理マンガが描かれます。今年は僕もノルウェーの風習に倣い、自宅に引き籠もって"龍が如く"というゲーム(ヤクザが主人公なので犯罪ばっかり)をやっています。ただ、カツアゲのチンピラを返り討ちにして5000円もらったり、関西弁の刺青の方々と男気溢れた死闘を一日中繰り広げていると、さすがに気が滅入ります。というわけで、気分転換に初春のオスロを散歩。

 今年のオスロは暖かく、街に雪は全く残っていません。日中の気温は5度前後で、天気が良ければ散歩できる気温です。僕は冬用のジャケットを着ていましたが、中には半袖や短パンの人もいました。いくら何でも少しはしゃぎすぎです。
 ノルウェーに限らないかもしれませんが、街を散歩するだけで様々なアートに触れることができます。例えば工事現場でさえもスタイリッシュに彩られています。



これはオスロではなくベルゲンで撮影したものですが、ストリートアートの本にも掲載されている有名なものですウルリケン山のロープウェイに行く途中にあります)


 また、街のあちこちに銅像が建っています。銅像が街角に建っているのはノルウェーに限ったことではありませんが、ノルウェーの銅像には特徴があります。それは、何となくヘン、というか、(少なくとも素人から見ると)下手っぴな銅像が多いことです。以前の記事でも触れましたが、ノルウェーの工芸品は何となく大雑把で、ディテールがショボいのです。いわゆる北欧デザインが面と色彩を駆使した表現であるのは、ディテールで勝負できなかったためでは?と思ってしまうほど、素人の僕には小学生の工作レベルに大雑把に見えてしまいます。例えば、典型的な"ノルウェーっぽい"銅像はこんな感じです。



これは王宮広場にある誰かさんの銅像(たぶん有名人なノルウェー人)です。一見普通の銅像ですが、顔をアップすると、その杜撰さが文字通り浮き彫りになります。



もう少しどうにかできなかったのでしょうか。瞳が大雑把を通り越して、もはや気持ち悪いですね。どことなく「怪物くん」のドラキュラに似ています。こんなのが家にあったらトイレには行けません。

 次は、オスロ随一のおしゃれスポット、アーケブリュッゲ地区から。再開発された臨海地区にショッピングモールとレストランが建ち並ぶ、東京のお台場をおしゃれにしたようなところです。このおしゃれなアーケブリュッゲの子ども広場に、おかしな裸婦像が唐突に立ちはだかります。





何もそんなところだけ極彩色にしなくても。。。これをあえて子ども広場に設置した趣旨が分かりません。


そして最後は、オスロの由緒正しい教会に建つ斬新な像。


一見、ただの大雑把な像ですが、良く見ると



まさかのVサイン。

春の兆し

2012年02月25日 | 生活
 一ヶ月ぶりの更新です。オスロは日中の気温がプラスになる日が続き、雪が雨に替わり始めました。日照時間も1日5分ずつ長くなり、春まっしぐらです。ちょっと前まで9時から15時の間しか現れなかった太陽は、7時から18時まで長居するようになりました。ノルウェー人は「いやっほぅ!待ちに待った夏だ!!」と嬉しそうです。冬場の彼らの、明るい夏への憧れは異様です。
 さて、最近は忙しくて寝週末が多かったのですが、気分転換に買い物がてら散歩しました。まず、近所に大手スーパーKiwiの大型店舗がオープンしたので、さっそく行ってみます。入り口にはM&M'sにヘタが生えたような微妙なマスコットが出現。店の名前"Kiwi"から察するに、原型は恐らくキウィフルーツでしょうが、ギョッとするほどの大きさ。しかも巨体が店に通じる歩道を完全に封鎖して客が通れないという本末転倒さ。何となく頭悪そうな顔してますもんね。風になびいた右手は道路標識を直撃してミシミシと不吉な音を立てていました。


1500平方メートルの広い売り場に豊富な品揃え、平日夜11時まで営業、値段も割と安めで期待以上だったのですが、おかしなマスコットのせいか、新規開店なのに店内はガラガラでした。便利だからつぶれないといいけど。


 せっかくなので、買い物ついでにヴィーゲラン公園にまで足を伸ばしました。ヴィーゲラン公園は過去の記事にも何度か登場した、ヘンな彫刻が所狭しと並んでいる公園です。この公園は晴れた日もお勧めですが、個人的には夕暮れ時が最も美しいと思います。というのは、明るい時には単なる「ヘンな像」に過ぎなかったものが、北欧特有の幻想的な夕暮れを背景にすると独特の尊さと哀愁を漂わすのです。









相変わらずのシュールな彫刻たちですが、ノルウェー暮らしも1年が経つと、以前とは少し違った視点で鑑賞できるようになってきました。ノルウェー人は家族との時間をとても大切にしますが、ヴィーゲランの彫刻にもその精神がしっかりと刻まれています。赤ん坊を誇らしげに掲げる母親、しっかりと胸に抱く父親、赤ん坊を肩車する思春期の女の子、背中の子どもに語りかけるお爺さんなど、家族という枠組みの中のあらゆる世代間のつながりが、時に温かく、時に哀愁を漂わせて、そして往々にして意味不明に表現されています。










 ひとしきり写真を撮った後に帰宅したのですが、その頃には近所のスーパーのふざけた顔の巨大マスコットは撤去されていました。やはり邪魔すぎたのでしょうが、ちょっと可哀想。

ノーザンライト

2012年01月27日 | 生活
日本でもニュースになっていましたが、2012年1月23日頃に発生した太陽活動によって磁気嵐が発生し、オスロでもオーロラが観測できる可能性がにわかに高まりました。オーロラは英語で"northern lights"と言う方が一般的ですが、このノーザンライトがオスロで観測できるのは稀なので、スーパーバイザーや友人が立て続けに「今日明日はノーザンライトが見えるかもよ!」と教えてくれました。この機を逃す手はないので、仕事は18時に切り上げ、スノーシューズ+ウールソックス+ヒートテックももひき+セーター+スキーウェア上下+スキー用手袋+フェイスマスク+ウールの帽子という、ドラクエ天空シリーズばりの最強装備(不審者レベルはエリミネーターばり)で郊外の湖Sognsvannに乗り込みました。



凍った湖を歩いて渡り、街の灯りから最も遠く、北の空を一眸できる湖畔に陣取りました。真冬の夜の森にも関わらず大勢のノルウェー人がジョギング(!)などを楽しんでいましたが、オーロラ目当てと思われる人も数名いました。また、余談ですが、湖の中央付近で氷が解けており、いきなり底が抜けて水中にずっぽりと足を踏み入れて死の戦慄を覚えました。以前の記事「人々は何となく雰囲気で湖面に足を踏み入れているだけだと思われるので、全面が十分に凍っている保証はなさそう」と書きましたが、果たしてその通りでした。湖の真ん中で湖面が十分に凍っていないことに気付いても手の打ちようがなく、サメがいる海域を手漕ぎボートで取り残されたような心境でした。
 さて、オーロラを見るためには辛抱強く待つことが肝要ですが、氷点下10度以下という極寒の中でじっと待つのは、想像以上に厳しいものです。天空シリーズばりの重装備でも、1時間もすると寒さをはっきりと自覚します。2時間もすると、冷え切った身体から発せられる冷気がスキーウェアの保温性によってウェア内に充満します。防寒具が温かいのは偏に自分の体温のおかげだということが明快に理解できます。寒さ故に携帯やiPodの電池はあっという間に消耗し、シリコン製イヤフォンも不愉快なほど冷たく硬くなります。観測を始めた時は「風邪で死ぬ確率は、人生でオーロラに出会える確率よりも低い」と風邪をも辞さない覚悟でしたが、度を超えた寒さと暇さによって時の流れが遅く感じられる「逆ウラシマ現象」(大泉, 1998)が生じ、3時間を超えると本能として中断せざるを得なくなります。チンピラの「今日はこれくらいで勘弁してやる」の心境で、北の空の白い雲(上の写真で、ちょうど僕の頭の上あたり)を恨めしげに30秒解放シャッターで撮影し、無念の退却。



 ところが、この白っぽい雲が曲者でした。周囲に白い光源がないにも関わらず、雲の一部だけが何となく白っぽく見えるので変だとは思っていたのですが、帰宅して写真を大画面で見てみると、なんとうっすら紫色と緑色に輝いていました。



高精細ディスプレイじゃないと分かりにくいかもしれませんが、確かに紫色と緑色に輝いています。人間の目にはうっすら白く見えただけですが、30秒間シャッターを開きっぱなしにしたカメラはオーロラらしき光を記録していました。こんなことなら、もっと撮っておけば良かった。ただ、あまりの低温環境にフル充電の電池が5分で残量30%にまで低下し、バシバシ撮れるような状況ではありませんでした。全体的にオーロラ観測をナメていた中で撮れた1枚なので、まぁ上出来でしょう。

 ちなみに念のため翌日も、場所を海岸に移してオーロラ観測を決行しました。風下の森の中よりも風上の海岸の方が雲が少ないと考えたのですが、海風の冷たさが尋常じゃなく、知らない間にベンチに座ったまま寝てしまいました。寒くて眠れなかった経験はありますが、寒すぎて眠ってしまったのは生まれて初めてです。寒いと本当に寝ちゃうんですね。幸い、たまたま通りがかった放し飼いの犬に物凄い剣幕で吠えたてられて目が覚めましたが、危ないところでした。そして、今度は夜空の白っぽいところを片っ端から撮影しましたが、残念ながら全て単に白っぽいだけで紫色や緑色の光は写っていませんした。





これはこれで綺麗ですが、湖畔で撮ったあの1枚とは全く異なるものです。やはりあの1枚はオーロラである可能性が高いと考えられます。ノルウェーに滞在する間に空いっぱいに輝くオーロラを見てみたいものです。

ホームパーティ

2012年01月22日 | 生活
ノルウェー滞在が長引きそうなので、前のアパートの住人から5000円で買った中古へぼベッドを処分して、IKEAの新春セールで5000円引きになっていた収納付シングルベッド(引き出しを利用することでダブルサイズに変形!)と高反発マットレスを購入しました。また、先日撮った雪のSognsvann湖の写真を引き伸ばしてアクリル加工し、部屋に飾りました。アパートのオーナーに気に入ってもらえたおかげで賃貸契約も好条件で更新でき、本格的な長期滞在に備えた快適空間作りが進行しつつあります。

古いベッドは、ネットで「タダであげるから引き取りに来て」と掲示したところ、15分以内に3件も連絡が来ました。結局若いカップルに譲ることにしたのですが、彼らは徒歩30分の距離を、セミダブルベッドを素手で持って帰りました。若さは偉大です。

 アパートを快適にしたこともあり、ノルウェーの友人達が初めて我が家に遊びに来ることになりました。ノルウェー人(欧米人全般?)はホームパーティを頻繁に開催します。物価が高いノルウェーでは日本ほど外食が一般的ではありません。それよりも気の合う友人同士で酒を持ち寄って家で飲み明かすことが圧倒的に多いです。自分のパートナーや友人同伴であることも多いので、必然的にパーティは大人数になり、友人もネズミ講式に増えていきます。
 ノルウェーのホームパーティで驚くことは、まずその圧倒的な酒量です。とにかく飲みます。ひたすら飲みます。10時間は平気で飲みます。何リットル飲んだか誰も分からないほど飲みます。僕は日本では割と酒が強い方でしたが、ノルウェーでは抜群に最弱です。ノルウェー人のペースについていけず、夜中2時頃に途中退場することがほとんどです。一部の電車とバスは終日運行(車内は酔っぱらった若者だらけ)ですが、街が小さく治安も良いので一人でふらふら歩いて帰ります(酔った女性が夜中一人で歩くのは危険です)
 また、日本とノルウェーでは、飲み会に大きな違いがあります。それは「酒は持参」というルールです。物価が高く、また一人当たりの飲酒量が尋常じゃないノルウェーでは、ホストが酒を用意すると甚大な負担になります。そこで出席者はビールなりワインなりを、自分が飲む分だけカバンに詰め込んで持参し、自分の酒だけを飲みます。パブで飲む時も各自1杯ずつ購入が主流で、よほど親しかったり飲んだ量が同程度であったりしない限りは、割り勘ではなく"飲んだ分だけ"のレシート精算です。フェア精神が基本なので、パブでビールを奢ってあげると、必ずお返しに1杯奢ってくれます。奢り合いが無限に続くところは日本的でもあります。

 さて、我が家でのパーティに話を戻しますが、発端はノルウェー人が旨い日本酒の味を知らないことでした。リアル/フェイクを問わずオスロには日本料理店がたくさんありますが、その多くは熱燗しか扱っていません。理由は、冷酒に適した銘酒が手に入らないからです。親日で日本料理好きが多いノルウェー人に美味しい酒を飲ませてやりたい!ということで、仕事で一時帰国した際に純米大吟醸や焼酎を買ってきました(ゲストにいちいち英語で説明するのが面倒なので、メニューを用意しました)


また、せっかくだから美味しい日本料理も作ってあげよう!ということで、大使公邸料理人である義弟や、料理上手の義母や叔母に教わった僕の好物も作ってあげました。



 6畳ほどのワンルームに7人の友人が詰め掛けましたが、長身痩躯揃いだったため意外に余裕でした。


箸置きを折り鶴にしたり、大根や人参を花型にくり抜いたりと、細かな日本らしさも演出してみました。また、ノルウェー産タラやノルウェー産ラムなど、ノルウェー特産の食材を使うことも心がけました。「食の基本はもてなしであり、自国の文化をひけらかすだけの自己満足に陥ってはいけない」という海原雄山先生の教えに従ったものです。下の写真1枚目は右から、ノルウェー産ラムステーキのおろしポン酢ソース、生姜ご飯のおにぎり、椎茸の甘煮、ノルウェー産タラの南蛮漬け、ザンギ(北海道風唐揚げ)、2枚目の写真はザンギと炙り唐墨です。




ノルウェー人に特に評判が良かったのは、鱈の南蛮漬けとザンギ、そしてラムステーキに添えたおろしポン酢でした。生姜ご飯、ノルウェー産スモークサーモンとクリームチーズの巻寿司もすぐに売り切れました。ただ、唐墨は評価が分かれました。旨い日本酒には最高の肴ですが、確かにちょっとクセがあるので敷居が高いかもしれません。そして不評だったのは椎茸の甘煮。キノコが甘いというのは気持ち悪いようです。ほぼ全員が残してました。本州の人が甘い赤飯(僕の故郷の北海道では甘納豆と赤色2号で赤飯(ピンク飯)を炊きます)を気持ち悪がるのと同じですね。美味しいのに。
 そして肝心の純米大吟醸ですが、いつもの熱燗とは別次元の芳醇で雑味のない味わいに、すっかり驚いた様子でした。アルコール臭がきつくて日本酒が嫌いだった人も、これなら飲めると喜んでいました。わざわざ日本から持ってきて良かった!焼酎は、クセの強い芋焼酎よりも軽めの黒糖焼酎が好評でした。ただ、最も好評だったのは、友人が買ってきてくれた麒麟一番搾り(通称"Ichi-ban")でした。やっぱりビールが一番のようです。

 今回は夜中1時過ぎで解散という"軽め"のパーティでしたが、それでもテーブルは酒瓶で埋め尽くされていました。ビール(500ml)だけで29本ありました。しかもソフトドリンクは一本もなし。恐るべし!

オスロのクリスマス

2011年12月18日 | 生活
一ヶ月ぶりの更新です。今年のオスロは暖冬で、何度か雪は降ったものの全て解けてしまいました。クリスマスまで残すところ1週間となりましたが、未だホワイトクリスマスにはほど遠い状態です。

 雪はまだですが、クリスマスはノルウェー人にとって一大イベントのようで、繁華街にも住宅街にもイルミネーションが飾られています。日本のようなLEDイルミネーションは少なく、昔ながらの暖かみのある電球色のイルミネーションが主流です。


オスロ駅(Oslo S / Jernbanetorget)に隣接するショッピングモールByportenのイルミネーション。


Byporten内のオーナメント。

目抜き通りであるカールヨハン通り(Karl Johans gate)には、クリスマスベルが釣るされたモールが等間隔に並び、近隣の店はクリスマスシーズン限定で日曜も営業しています。商業施設が日曜も営業するなんて、ノルウェーにおいては驚くべきことです。




デパートなどもそれぞれがイルミネーションやオーナメントを飾り、普段はゴーストタウンのような日曜の目抜き通りも、大勢の人で賑わっています。


Torggataのイルミネーション


同じくTorggataのイルミネーション


老舗デパート"グラスマガジン(Glas Magasinet)のイルミネーション


Lille Grensenのイルミネーション


 冬期になると王宮広場には無料のスケートリンクが出現します。おそらく税金で運営されているスケートリンクで老若男女が楽しげにスケートに興じる様子は、ノルウェーを象徴する光景です。実に平和で、僕は好きです。



王宮広場に沿ったカールヨハン通りには、露店も登場します。露店ではチーズやサラミなどのクリスマス/冬向けの食品や、セーターや防寒具などが売られています。エルク(ヘラジカ)のハンバーガーの店もあります。



ノルウェー北部に住む少数民族であるサーミのテントもありました。テント内ではセーターやファー付き帽子、木彫りのマグカップ、シカの角の工芸品などの民芸品が多数並んでおり、テント内の囲炉裏(!)で暖を取りながらコーヒーも飲めます。火にかけられたやかんから勝手に注いで飲むシステムでしょうか。焦げ茶色に煮詰まっていそうなコーヒーは20NOK(=約260円)とオスロでは格安ですが、もちろん誰も飲んでいませんでした。






 クリスマスが近づくと、住宅街に近い広場などではモミの木が並びます。我が家の近くでも、人が通るスペースを占領してモミの木が並べられていました。初めはツリーでも飾るのかと楽しみにしていたのですが、オーナメントを飾りつけるわけでもなく、モミの木だけが異様に増えていきます。不思議に思っていたところ、どうやらクリスマスツリー用のモミの木を特売しているようです。看板に"JULETRESALG"と書いてありますが、Juleがクリスマス、Treが木、Salgがセールですね。日本の正月飾り売りを思い出します。無数のモミの木が並んでいる光景は、門松のようにも見えます。




 ノルウェーでは大晦日/元旦よりもクリスマスの方が大きなイベントらしく、職場では忘年会の代わりにクリスマスパーティーが開催されます。僕が働くオスロ大学心理学部のクリスマスパーティーは、オスロ有数の格式高いホテルBristolで開催されました。ご存知の通りノルウェーは福祉国家であり、福利厚生が(日本と比較すると異様なほど)充実しています。朝のミーティング時には会社が朝食を用意しますし、残業時には会社が夕食を負担します(ただし、ノルウェー人は基本的に残業しません)。オスロ大学心理学部のクリスマスパーティーも、まさかの職場全額負担です。オスロ大学は国立大学なので、税金で高級ホテルのディナーをいただくことになります。日本では大変な騒ぎになりますが、ノルウェーでは当たり前のようです。つくづくQ.O.L.の高い国です。
 パーティーはウェルカムシャンパンに始まり、グラヴラクス(ラクス=サケを地面や塩などに埋めて軽く発酵させたノルウェー名物)、ラム、デザートのコースと、各料理に合ったワインやデザートワインまで振る舞われる豪華っぷりでした。いずれも美味しい料理でしたが、中でもラムは原始人の武器のような巨大な塊で、骨付き肉をじっくり煮込んでグレービーソースをたっぷりかけた逸品でした。携帯で撮ったので画質が酷いですが、棍棒っぷりは伝わるかと思います。


 ノルウェー人は日本人と似ているところがあり、食事中にやたらとスピーチが入ります。学部生による余興もあります。日本の典型的な結婚式をイメージすると分かりやすいですね。ただし、日本人と違うのは、スピーチがジョークだらけです。基本的にノルウェーは相当"ゆるい"ので、悪ふざけレベルのジョークも多々あります。ディナー後は同じ高級ホテルのホールを貸し切って、教員バンドによる生演奏とダンスパーティーが開催されたのですが、教員バンドのバンド名は"Brain Damage"でした。これは悪ふざけの度が過ぎていますね。

幻霧

2011年11月14日 | 生活
更新頻度が減ったと書いた翌日にまた更新です。オスロは昨夜から急激に冷え込み、気温は氷点下になりました。また、朝から断続的に濃霧が発生し、霜と霧に包まれた幻想的な光景を楽しむことができました。


落ち葉が白いですが、良く見ると枯れているからではなく、凍っているから白いことが分かります。



僕が勤める心理学部から徒歩5分ほどのところに、医学部付属病院があります移植臓器をエントランスに放置プレイするところですね)。写真は今朝8時過ぎのオスロ大学医学部付属病院の様子です。

ほとんど何も見えません。これはもう、綺麗を通り越して危ないですね。

  一面を銀色に染め上げた濃霧ですが、昼にはいったん消えて空は冬晴れとなりました。ところが、15時を過ぎた頃から再び立ち籠めだし、気付いた時には僕のオフィスからは何も見えなくなっていました。普段ならホルメンコーレンジャンプ台なども見えるのですが、今日は中国奥地あたりの秘境のような光景です。



同室のノルウェー人同僚も「これは珍しい」と驚いていました。せっかくカメラを持ってきたこともあり、早め(といっても16時半なのでノルウェーでは普通)に帰宅がてら散策を開始。

 まず、いつも草ぼうぼうの心理学部前の空き地が紫色でした。

こんな絵画がありそうですね。工事用クレーンのシルエットがかろうじて見えますが、こんな視界で振り回されたら危なくて仕方ありません。当然、工事はお休み。思った以上に霧が美しいので、大学から地下鉄一本で行けるsongsvann湖に行こうとわくわくしながら駅へ向かいましたが、霧による視界不良で地下鉄は麻痺。。。

オスロの地下鉄は、市中心部以外は地上を走るので、この霧では危なくて運転できません。シカとか飛び出してきそうですし。

 仕方がないので、大学キャンパスを通りつつ徒歩で帰宅することに。大学キャンパス内は200周年記念だかクリスマスだかで、あちこちライトアップされています。霧を通すことで光が柔らかく拡散したり、逆に光跡がくっきりと浮かび上がったり、なんとも幻想的な雰囲気を醸し出しています。






 とても美しくはあるものの、その一方で、もちろん非常に危険でもあります。車は当然徐行、普段は歩行者絶対優先の横断歩道も注意して渡らなければなりません。LED点滅ライトをカバンにぶら下げたり、反射素材のバンドを腕に巻いたりしている人もいます。ノルウェー発のアウトドアブランド"HELLY HANSEN"などのジャケットには、冬の日照時間の短さを考慮してか反射素材を使った製品も多く、霧の中でも安心です。

車のライトに浮かび上がる人影はアルマゲドンのようでもあります。

 すっかり幻想的な世界に迷い込んだような感覚で歩き回っていたら、いかんせん景色が全く分からないので本当に迷ってしまいました。氷点下3度の中、1時間半も歩き回り、やっとの思いで帰宅。最初は肯定的に捉えていた濃霧も、途中から腹立たしくなってきました。腹が立ったので寿司でも握ってやろうと思い立ち、生まれて初めて自分で寿司を作ってみました(たぶん寒くて拳を握りっぱなしだったので「あ、寿司でも握ろう」と思いついたのでしょう)


「寿司」というよりは"Sushi"ですね。牛フィレたたきのポン酢づけのNigiriと、スモークサーモンとクリームチーズの"Ura-Maki"(海苔が内側、ご飯が外側の巻物)、キュウリとトビ子の"Maki"。キュウリに飾り包丁まで入れる始末です。"Maki"もさることながら、"Nigiri"は思った以上に難しいですね。怒りに任せてご飯を握っただけではダメだと実感しました。来月にノルウェーの友人達を招いて我が家で"Japanese night"を開催する予定なので、良い練習になりました。とりあえず"Nigiri"はやめて、おにぎり程度にしておきます。

ノルウェー生活雑記

2011年11月13日 | 生活
最近めっきり更新頻度が減ってしまいました。お陰さまで忙しいことに加え、秋と冬の狭間のオスロは魅力的な景色が少なく、紹介できるような写真がないことも大きな要因です。今週は気温が氷点下になるので、美しい雪景色が撮れるかもしれません。


 週末にスーパーバイザーが「神戸牛が手に入ったので一緒に食べよう」と自宅に招いてくれました(なんと優しいスーパーバイザーでしょう!)。セールだったので買ったらしいのですが、セール価格でグラム150NOK=2000円だそうです。ノルウェーの牛肉価格と比較すると破格の高さですが、神戸牛ならば驚きに値しない価格でしょうか。そして神戸牛はノルウェーでも"Kobe"です。



 妹の旦那さんに教わった神戸牛ステーキに合う大根おろしソースを作るため、マヨルスチュアにある高級スーパーCentraで大根を、同じくマヨルスチュアにある日本雑貨店Japan torgetでミツカンのみりん風調味料を購入。大根は、地に根ざす気が全く感じられないほどペにょんぺにょんでした。


余談ですが、アジア雑貨店などには以前は日本製の本みりんなどが置いてありました。ところが原発事故の余波か日本製の食品はめっきり減ってしまい、中国製や韓国製のフェイクか、ヨーロッパやアメリカに製造拠点を持つ企業(ミツカンUK、キッコーマンEurope、月桂冠USAなど)の現地生産品しか見かけなくなってしまいました。


 今回は僕とスーパーバイザーが二人でキッチンに立ったのですが、やはり日本食は外国人には難しいようです。ステーキの付け合わせとしてご飯も炊くことになったのですが、研がないままの米を鍋いっぱいのお湯に文字通りぶち込もうとしていたので、慌てて制止して僕が一からやり直しました。「何で米を洗うの?」「水から煮るのと、お湯から煮るのは違うの?」(「米を炊く」に対応する英語は"cook"か"boil"しかないので、「炊く」という概念を理解するのは難しいと思います)などなど、僕の手順の全てが不思議だったようです。彼は鍋がぶくぶく噴いた途端にフタを取ってしまい、その瞬間に僕が「あぁ~~っ(><)」と凄く悲しそうな顔をしたので、テーブルで料理の完成を待っていた奥様に「何もかも間違いだったみたい」としょんぼり告げていました。まぁ普通は鍋が噴いたらフタ取りますよね。「ご飯」はパンやスパゲッティに比べて作業が複雑です。ちなみに、彼の名誉のために付け加えますが、日本食のプロセスが特殊なだけで、彼の料理の腕前は素人レベルを遙かに超えるプロ並みです。


 日本食もそうですし、研究で使う実験刺激や機材の扱いなどもそうですが、日本人は平均的に仕事が丁寧で、細かいことを気にする傾向があると思います。一方、ノルウェー人は一般的におおらかで、その"気にしない"ぶりは時に想像を絶することがあります。最近、オスロ大学付属病院の研究施設に出入りするのですが、エントランス付近に発泡スチロールが魚屋のように山積みになっていることがあります。職員も患者も素通りなのでゴミかと思っていたのですが、あるとき友人が「あれ全部、移植用の臓器だよ」と教えてくれました。おそらく前述の神戸牛の方がよほど丁重な扱いを受けています。
 別の例ですが、MRIを使った実験を行う場合、実験参加者に身につけている金属製品を全て外してもらう必要があります。金属パーツが多い服やワイヤーが多数使われているブラジャーを着用している女性は専用の検査着に着替えてもらうのですが、ノルウェー人女性はその場で全裸になる人がいるそうです。その話を聞いて「本当かよ?」と疑うと、その場にいた別の研究者も「俺も同じ経験ある」と真顔で言っていました。面倒くさいとその場で脱ぎ始めた女の子に、さすがに気にしたノルウェー人男性研究者が「あの、見えちゃいますけど大丈夫ですか?」と聞いたところ、「全然気にしないわ」と全裸のままMRIまで歩いて行き、終始全裸で実験を受けたそうです。移植臓器の放置も全裸の女性被験者も、日本では絶対に考えられないことです。へんな国。

深まる秋

2011年10月28日 | 生活
オスロは郊外だけでなく市中心部まで、どっぷりと秋です。オスロは植物の種類が豊富なのか紅葉のピークが一律ではなく、すっかり枯れてしまった木と、うっすらと色付き始めた木が入り乱れています。僕のマンションの庭では桜の葉が見事な橙色に染まっています。


 我が家は川沿いに整備された遊歩道に面しており、秋の散歩にうってつけです。遊歩道沿いには黄色く染まる木々が多く、落ち葉も相まって黄色一色の秋らしい光景が広がります。







遊歩道から少し外れると、ダウンタウンやグルネロッカ(若者が集まるおしゃれ地区)、グルンランド(後述)など、あちこちを徒歩で回ることもできます。


グルネロッカにて。橙、黄、緑と見事なグラデーションをなす1本の木。


オスロ大学庭園にて。エントランス前の並木道を行くカップル。







 秋は紅葉もさることながら、新鮮なラム肉などが出回る「食」の時期でもあります。普通のスーパーでもラムのフィレ肉が手に入るようになります。このラムのフィレは適当に自分で料理しても信じられない美味しく仕上がります。値段は1kgで300NOK=4200円前後なので安くはありませんが、味わったときの感動を考えればコストパフォーマンスは抜群に高いと断言できます。ラムが売り出されると同時にラム用スパイスも売り出されます。塩にローズマリーとガーリックを配合したもので、ラム以外に牛肉などにも使えます。このスパイスを馴染ませたラムをミディアムレアに焼き、おろしポン酢で食べると最高です(ローズマリー+おろしポン酢という組み合わせは僕が偶然に発見したものですが、これは僕の人生における最大の業績の一つと言って差し支えない画期的な発見です)



また、ラムの旬に続いてエルク(ヘラジカ)も出回り始めます。エルクは日本人には馴染みの薄い肉ですが、割と想像通りのワイルドな味と食感です。ただ、旬に出回るエルクのフィレはクセが少なく、肉質も柔らかいので、エルク初心者でも美味しく食べられます。ただし、価格が高いです。スーパーで発見した際に値札がついていなかったのですが、ラムと同じくらいだとナメてかかってレジでえらい目に遭いました(1kgで590NOK=8250円!)。



泣く泣く大金をはたいたエルクも、ローズマリー、ガーリック、塩胡椒を馴染ませ、ミディアムに焼いておろしポン酢で食べました。美味しいことは美味しいですが、ラムのフィレの方が美味しい上に安いのでお勧めです。また、写真右上の飲み物は、季節限定ハダンゲルフィヨルド産プレミアムリンゴジュースです。通常のリンゴジュースよりも酸味が濃厚で、個人的には普通のリンゴジュースの方が美味しいと思います。ちょっと高いし。(ただし、決して不味いわけではないし、フィヨルド産の珍しいリンゴなので、一飲の価値はあります。)


 さて、遊歩道の話でも登場しましたが、オスロ中心部からやや東側にグルンランド(Grønland)という地区があります。この地区は地価や物価が比較的安く、移民や若者が多く住む地区です(東京で言うと新大久保あたりでしょうか)。移民が多いため、各国から輸入した珍しい野菜や食品があるらしく、スーパーバイザーや同僚が「ブッダの頭みたいな謎の野菜があった」など興味深い話をしていたので、さっそく行ってみました。アラブなどイスラム諸国からの移民が多く、アラビア語の看板なども見かけます。そして驚いたことに、陳列されていたのは「謎の野菜」どころか、柿、大根、オクラ、里芋など日本人にはとても馴染みの深いものばかりでした。そして同僚が「ブッダの頭」と表現したのは、おそらくゴーヤだと思われます。同僚から聞いたときには全く想像がつきませんでしたが、言われてみれば確かに螺髪に見えなくもないですね。ゴーヤのトゲトゲも、ブッダの頭のイボイボも、西洋人から見ればどちらも謎の物体でしょうし。
 そんなわけで思いがけず懐かしい野菜を発見したので、ゴーヤと大根とオクラを購入しました。オクラは日本と同じサイズです。そのオクラと比較すると大根の小ささが際立ちます。もはや「大根」というのもおこがましいサイズです。



 ところで、スーパーバイザーに大根おろしを説明する際に「大根」の訳語として"Japanese radish"(英辞郎より)を使って説明したのですが、いくら頑張って説明してもうまく伝わりませんでした。最終手段としてgoogle画像検索で写真を探して見せたら

「なんとなくdaikonに似てるね」

という、まさかの展開でした。同僚にも"daikon"で普通に通じたので、「大根」は国際標準のようです。

豊かな緑とバーベキュー

2011年06月30日 | 生活
オスロはその後も順調に日照時間が長くなり、一日を通して「真っ暗」な時間は全くありません。先日、22時半頃にダウンタウンで花火が打ち上げられました。22時半から花火なんて、随分と遅い開始時間だと思われるかもしれませんが如何せん22時なんて「夜」じゃないので、玉屋も鍵屋もありません。

良く見ると微妙に赤や緑ですが、運動会の合図の花火みたいで味気ないものです。

 草木も気持ち悪いほどぐんぐん伸びます。あまりに生長が早いので、職場の前の原っぱの観察記録をつけてみました。

最大で僕の腰ほどもある草が伸び放題だったのですが、3週間前に草刈り業者が入り、荒野と化しました。


ところが、1週間も経つと、すでに表面の半分程度が草で覆われています。


そして2週間後。もはや何事もなかったかのように、青々と茂っております。



豊かな自然は緑だけではありません。先日、雨上がりの道を歩いていると、道ばたに京都名物「八つ橋」(乾いた方)もしくは、おいなりさんのような物体が点々と落ちていました。特に気にせず歩いていたのですが、あまりにたくさん落ちていたので、立ち止まって覗き込むと、なんと巨大なナメクジでした。ドラクエの敵として出てきてもおかしくないサイズです。

(おおなめくじ。特技:舐め回し)
冗談ではないので、すぐにバスに乗って逃げました。周りを囲まれなくて本当に良かった。


さて、日照時間の長いノルウェーですが、日差しが強烈な割には気温は高くありません。大学はすでに夏休み、街では夏のバーゲンが開催され、まさに"夏"真っ盛りですが、最高気温は20度以下、最低気温は1桁です。そんな涼しい気候のせいか、緑豊かな割には、野菜の質はあまり良くありません。ジャガイモやニンジンは良いのですが、特に葉物の鮮度は低く、ドイツで流行った大腸菌も怖いので、病院に行けない僕はサラダで食べるのを控えています。

 ただ、そんな中で、ハーブ系だけは抜群に鮮度が高いものが手に入ります。

一見、ガーデニングコーナーのようにも見えますが、これは野菜売り場のハーブコーナーです。「輸送過程で鮮度が落ちるなら、輸送してから収穫すればいいじゃないか!」という発想の転換により
ハーブや小ネギを鉢植えで売っています。消費者は鉢ごと家に持って帰り、必要なだけちぎって食べます。これは斬新!!試しにバジルを買ってみましたが、何しろ直前まで草として生えている正真正銘の"生バジル"なので香りは格別でした。

値段は400円前後と、お世辞にも安いとは言えない価格です。そして、ビニール製の鉢と土を捨てるのがとても面倒です。


さて、"夏"真っ盛りのノルウェーでは、そこら中でバーベキューが開催されています。オスロ市内の公園は、基本的にはどこでもバーベキューをして良いので、土日はもちろん、平日でも夕方になるとあちこちから肉を焼く良いにおいがしてきます。
(公園には必ずバーベキュー用ゴミ箱が設置されています。火の使用を禁止する日本とは大違いです)

先週末、大学の友人がバーベキューに誘ってくれました。ノルウェー人は職場の同僚と酒を飲む習慣がありませんが、その代わり(?)、気の合う友人とは朝までパーティーを楽しみます。ほとんどの人はそれぞれ配偶者/恋人も連れて来るので、気の合う友人とは家族ぐるみの付き合いをするのが基本のようです。バーベキューは18時開始で、24時までバーベキューをした後に友人宅に移動して、朝4時まで友人夫婦(妻は出産間近の妊婦!)の誕生日パーティーでした。外国人と話すと、彼らにとって日本という国はとても魅力的なのだということを強く感じます。僕の友人に日本好きが多いこともありますが、彼らは口々に「最先端のテクノロジーと古の文化が混在しているところが、他の国にはない魅力」と言います。僕なんかは「新しい物も古い物もごちゃごちゃで雑多」と、むしろ否定的に捉えていたのですが、そこが外国人にとっては珍しく魅力的なようです。ちなみに、日本の新幹線は外国人にとって驚異的な乗り物のようで
「都市間長距離鉄道が1分も遅れないで運行する!」
「車掌が客車に出入りする時にお辞儀する!」
などなど、新幹線の凄さを何度も説かれました。そして、僕の友人達の間で最も人気が高いのは、意外にも別府温泉祭りです。
「山ん中の水たまりみたいなところに、裸で入るんだぜ!」
「外で裸でいるのに、雷がなっても日本人は焦らないんだぜ!」
「風呂で酒だって飲んじゃうんだぜ!」
といった日本の温泉文化に加え、別府秘宝館という下ネタ博物館も外国人を惹き付けて止まないようです。また、日本通の友人が自信満々で披露してくれた日本語は
「キレイナメヲシテルネ(綺麗な瞳をしてるね)」

「エロホンガトクニスキデス(エロ本が特に好きです)」
でした。どこの国にも必ず、そういう言葉を教える奴がいるものです。


 さて、ノルウェー人と話をする中で(お互いに)最も驚いたのが、日本とノルウェーにおける博士号取得者の社会的地位の違いです。ノルウェーでは学士、すなわち大卒者が企業で出世することは極めて難しく、良い会社に入って出世するには博士号を取るのがベストのようです。友人の同僚はこのほど生物系の博士号を取得し、マッキンゼーに就職が決まったとのこと。心理学だろうが生物学だろうが、とにかく「博士号を取得するだけの能力」が高く評価されるそうです。一方、日本では博士(生物学)を取ってマッキンゼーに就職した人なんて聞いたことがありません。日本で一流企業に入って出世するには、有名大学に入って学士(せいぜい修士)で就職するのが一般的で、「社会経験」がない博士号取得者が一般企業に非研究職として就職するのはほぼ有り得ない、という話をすると、ノルウェー人はとても驚きます。「なんで?人格的に問題なければ、優秀な方がいいに決まってるじゃん?社会経験って何?」と聞いてきますが「社会経験」の無い私には答えようがありません。日本で重要視される「社会経験」とは、一体全体何なのでしょうかね。おそらく合理的、客観的、個人能力重視のノルウェー人には理解できないものでしょう。


 ところで、先週は上記のバーベキュー以外にも、大学の同僚たちと飲みに行きました。僕が「日本では同僚と飲みに行くのは当たり前だ!」と教えたのが発端で、同僚7名と飲みに行ったのですが、(驚くべきことに)7名とも同僚と呑みに行くのは初めてでした。最後(開始から9時間後)には口々に「こーいう飲み会もいーもんだなー」と上機嫌でしたので、日本の呑みニケーション文化をノルウェーにも広められたようです。ただ、そのせいか、僕はすっかり飲み会大好きキャラになってしまいました。(実際に飲み会は好きなので問題ありませんが。)
先日、オフィスで仕事をしていると、友人がふざけて"Hey, party-man! Are you pretending to work?"(よぉ、呑み隊長!仕事してるフリかい?)と言いながら入ってきて、握手して帰っていきました。なんとも外国らしいワンシーンです。ちなみに、もちろん真面目に仕事してました。

National Day

2011年05月17日 | 生活
今日、5月17日は、ノルウェーの憲法記念日です。1814年5月17日の憲法制定にちなみ、「ナショナルデー」として国を挙げてのお祭り騒ぎです。4月末のイースターが明けると、どの店にも国旗をはじめ、赤青白(ナショナルカラー)のキャンドルやブブゼラのようなラッパ(うるさい)など、愛国心を表現するグッズがずらりと並びます。ナショナルデーは、クリスマスと並んでノルウェー最大のイベントで、前日にスーパーバイザーが「明日はナショナルデーだからね!」と、わざわざ念を押しに来てくれるほど、とても華やかで賑やか、そして何よりも愛国心に満ちたイベントです。(あまりの愛国心に、ノルウェー人ではない僕のスーパーバイザーは「何だか戦争みたいで奇妙」と笑っていました)



この日は街のいたるところに国旗が掲揚され、人々もそれぞれ国旗を持って歩きます。バスやタクシーはもちろん、自家用車や銅像、ショーウィンドウのマネキンにまで国旗が装備されます。



多くのノルウェー人は正装で、特に女性はノルウェーの伝統衣装であるブーナッド(Bunad)をまといます。男性もブーナッドをはじめタキシードやスーツといった正装、軍人や警察官は礼装でした。ブーナッドは赤、白、黒を基調としたものが多いようですが、地方によって色や刺繍のデザインが異なるそうで、青や紫や緑など様々なものがありました。











冠婚葬祭時に着用したり、既婚と未婚でデザインが異なるらしく、日本の着物のような感じでしょうか。外国人にとって着物が珍しく魅力的であるように、鮮やかで品のある刺繍が施されたブーナッドはたいそう美しいものでした。


 この日のメインイベントは、子ども達によるパレードです。目抜き通りであるカールヨハン通り(Karl Johans Gate)から王宮、そして海沿いの市庁舎までを、ブーナッドと国旗をまとった子ども達が朝から午後まで半日ほど練り歩きます。パレードは学校単位らしく、各学校の音楽隊が校旗を掲げて先導し、子ども達や先生が国旗を振りながら続きます。










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沿道は大勢の人でごった返しています。ノルウェー人は非常に身長が高い(180cm以上は当たり前)ので、170cmしかない僕はパレードを見るのにも一苦労です。

 ノルウェーは出生率が高く、子どもがやたらと多いので、パレードも盛大です。また、ノルウェー国旗に加えて国連旗を掲げる学校が多かったことも印象的でした。国を挙げての愛国イベントで国連の旗を掲げるなんて、さすがはノーベル平和賞の国!といったところでしょうか。日本では、自国のイベントで国連旗を掲揚するなんて考えもしませんでしたし、見たこともありません。国際協調を伴ったノルウェーの愛国心は、健全で崇高なものだと感心しました。

 パレードは目抜き通りから王宮へと進みます。


王宮にも多くの人が押し寄せます。余談ですが、ノルウェー王室は日本の皇室と違い、国民との距離が非常に近くオープンです。王宮敷地内の大半は常時開放され、市民の憩いの場になっています。
現王太子(日本の皇太子に相当)はシングルマザーと結婚し、IKEAにも買い物に来るそうです。日本では絶対に考えられませんが、そんな王室を国民は身近に感じ、心から支持しているようです。ちなみに、日本の両陛下が2005年にオスロを訪れた際には、護衛のノルウェー兵士を雨の中で傘も差さずに労う陛下と、妊娠中のノルウェー王女を気遣う美智子様の姿が一面トップで報じられ、ちょっとした日本ブームが沸き起こったそうです。知らなかったけど、ちゃんと外交成果を挙げてるんですね。

 パレードのクライマックスは、王宮のエントランス前広場です。宮殿のバルコニーには国王をはじめとした王族が姿を見せ、国旗を水平に掲げて敬意を表する子ども達に、笑顔で手を振ります。



衛兵や礼服姿の軍関係者も一応いますが。ここでもやはり国王と国民の距離は近く、平和で豊かなノルウェーらしい光景でした。