「写像と関数」において、写像という概念を学びました。この写像について、もう少し深く学んで行こうと思います。
前回と同様に、合コンをイメージしながらやっていきましょう。
まずは写像の定義を紹介した状況の図から始めます。
この状態で、dくんが席をはずしたとしましょう。するとこのようになります。
このとき、同じ女性に好意を送っている男性はいません。言い換えると「異なる男性を選べば、その男性が好意を送っている女性も異なる」ということです。このような写像を単射と言います。
正確な定義を書きます。
「写像は、Aの任意の元
に対し、
が成り立つとき、AからBへの単射であるという。またこの条件の対偶をとると
となる。」
dくんが戻ってきて、yさんが席をはずしたとしましょう。すると次のようになります。
このとき女性陣は全員、誰かしらの行為を受け取っていることになります。このような写像を全射といいます。
定義を、わかりやすい言い方で書きます。
「写像は、任意のBの元
に対して
となるようなAの元
が少なくとも1つ存在するとき、AからBへの全射であるという。」
席に戻ってくるyさんを見たとき、、aくんは今まで気付かなかったyさんの魅力に気付き、wさんから乗り換えました。
このとき、この"好意"という写像は全射かつ単射となっています。このような写像は全単射であると言います。
全単射である写像というのは、とても性質の良い写像になります。その1つの理由として、逆写像の存在があります。
今までは、"好意を送る"という対応を考えてきました。ではこの逆の操作にあたる"好意を送られる"という対応について考えてみましょう。要するに、今までの図の矢印を逆向きに考えればいいわけです。
このとき、"好意を送る"が写像になれば、"好意を送られる"も写像になるでしょうか?最初の図で考えてみましょう。
このとき、矢印を逆向きにして"好意を送られる"という対応を考えると、wさんからは2つ矢印が出て、yさんからは1つも矢印が出ていないことがわかります。
これでは写像になりません。写像の定義を忘れた方は、「写像と関数」を読み直してみてください。
それでは、全単射となっている状況で、同じ事を考えて見ましょう。
このとき矢印を逆向きにしてみると、女性陣全員から1本ずつの矢印が出ていることがわかります。よってこの場合、"好意を送られる"も写像になります。更に言うと、全単射な写像になっています。
以上のことを簡単にまとめると
「写像が全単射であるとき、逆の対応
も全単射な写像となる。この
を写像
の逆写像という。」
となります。
逆を考えることが出来るというのは、数学にとってとても有利に働くことが多いです。なので、全単射であることはとても重要なこととなります。
次回は、全単射となる写像が存在することによって起こる、集合と集合の間の関係について書いていきます。
それでは今日の問題
【問2】写像が全単射でないとき、逆の対応
は写像にならないことを示せ。
ヒント:全単射でない=全射でないor単射でない
解答は後日まとめて載せます。