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余白が広すぎる

数学の話とかをちまちまと

単射と全射と全単射

2012-06-29 | 数学

写像と関数」において、写像という概念を学びました。この写像について、もう少し深く学んで行こうと思います。

前回と同様に、合コンをイメージしながらやっていきましょう。

まずは写像の定義を紹介した状況の図から始めます。

 

この状態で、dくんが席をはずしたとしましょう。するとこのようになります。

このとき、同じ女性に好意を送っている男性はいません。言い換えると「異なる男性を選べば、その男性が好意を送っている女性も異なる」ということです。このような写像を単射と言います。

正確な定義を書きます。

「写像は、Aの任意の元に対し、が成り立つとき、AからBへの単射であるという。またこの条件の対偶をとるととなる。」

 

dくんが戻ってきて、yさんが席をはずしたとしましょう。すると次のようになります。

このとき女性陣は全員、誰かしらの行為を受け取っていることになります。このような写像を全射といいます。

定義を、わかりやすい言い方で書きます。

「写像は、任意のBの元に対してとなるようなAの元が少なくとも1つ存在するとき、AからBへの全射であるという。」

 

席に戻ってくるyさんを見たとき、、aくんは今まで気付かなかったyさんの魅力に気付き、wさんから乗り換えました。

このとき、この"好意"という写像は全射かつ単射となっています。このような写像は全単射であると言います。

全単射である写像というのは、とても性質の良い写像になります。その1つの理由として、逆写像の存在があります。

 

今までは、"好意を送る"という対応を考えてきました。ではこの逆の操作にあたる"好意を送られる"という対応について考えてみましょう。要するに、今までの図の矢印を逆向きに考えればいいわけです。

このとき、"好意を送る"が写像になれば、"好意を送られる"も写像になるでしょうか?最初の図で考えてみましょう。

このとき、矢印を逆向きにして"好意を送られる"という対応を考えると、wさんからは2つ矢印が出て、yさんからは1つも矢印が出ていないことがわかります。

これでは写像になりません。写像の定義を忘れた方は、「写像と関数」を読み直してみてください。

 

それでは、全単射となっている状況で、同じ事を考えて見ましょう。

このとき矢印を逆向きにしてみると、女性陣全員から1本ずつの矢印が出ていることがわかります。よってこの場合、"好意を送られる"も写像になります。更に言うと、全単射な写像になっています。

以上のことを簡単にまとめると

「写像が全単射であるとき、逆の対応も全単射な写像となる。このを写像逆写像という。」

となります。

逆を考えることが出来るというのは、数学にとってとても有利に働くことが多いです。なので、全単射であることはとても重要なこととなります。

次回は、全単射となる写像が存在することによって起こる、集合と集合の間の関係について書いていきます。

 

それでは今日の問題

【問2】写像が全単射でないとき、逆の対応は写像にならないことを示せ。

 

ヒント:全単射でない=全射でないor単射でない

解答は後日まとめて載せます。


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