自粛解禁後にいきなり忙しくなってしまい、更新滞っておりました。
映画館解禁という吉報を受け観たかった作品の駆け込み観賞をしまくったので、ポツポツ紹介していきます。
TBSの保有する貴重映像がドキュメンタリー映画化。
平野啓一郎や内田樹など知識人や、実際に全共闘に参加した活動家のコメントなどを交えながら、当時どういう思想で何が起きていたのかを紐解いていきます。
懐かしき学び舎900番講堂を舞台に展開される三島由紀夫と東大全共闘の公開討論会。900番講堂って昔からこんな感じだったのね。
(ここで社会学の授業受けたこととか駒場祭で演奏したこととか思い出されて一人別の感傷に浸っていました)
東大全共闘の圧倒的な熱量とそれに一人で対峙する三島由紀夫。今の日本からは考えられない愛国者たちの集い。今の投票率とか信じがたいのでしょうね。
近年、良くも悪くも冷めていて、どこか諦めていて、物分かりの良い悟り世代とも揶揄される者たちと正反対の位置にある熱量です。
生きている三島由紀夫の姿、インテリの熱弁ぶりは観ていて気持ちいいものがあります。
東大法学部を出て文壇デビュー、エリート街道を突き進んでいた三島は天皇の神聖さを主張する立場に。
対して全共闘と言えば共産主義を掲げる全国の学生運動。三島の思想とは真っ向から対立するものだった……かに見えます。
しかし、この作品で描かれる直接対決は、根底に反米思想という共通のものがあったことを明らかにします。
学生達の本物の熱量に歩み寄りたいが天皇信仰は譲れない、そうした三島の生の葛藤が垣間見えるのが本作の醍醐味であるように思います。
「君らが天皇と言いさえすれば」
この台詞が彼の葛藤そのものであり、最も胸に響きました。彼はこの討論からわずか1年で三島事件を起こし自害します。
しかしながら、このテレビっぽい編集……民放の特番以上でもそれ以下でもない。映画館で観る必要性はないのかなと思いました。
皮肉にもドキュメンタリー番組とドキュメンタリー映画の違いを強く感じた作品です。
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