蕎麦屋 - 休屋

椎名町というか南長崎に休屋という蕎麦屋がある。
ハッキリ言って旨い。僕はあまり蕎麦は好きではな
かった。むしろ饂飩の方が好きだった。ここの蕎麦を
食べるまでは。ここで蕎麦を食べてから、蕎麦に対
する見方が変わった。今までボソボソして粉っぽい
蕎麦しか知らなかったが、こんなに薫り高く、歯ご
たえがあり、のどごしがなめらかな蕎麦があったと
は、・・・それ以来、この店の虜。

この店の魅力は、蕎麦つゆにもある。今まで僕が蕎
麦つゆに持っていたイメージは、醤油っぽさ残った
ダダ辛いつゆ。そば湯で蕎麦つゆをのばしてみると、
それがよくわかる。僕の経験から、できの悪いそば
つゆほど、薄めたときに味が分解する。できがいい
つゆは、そば湯で薄まっていても、味が一体となっ
ている。実際、ほとんどの蕎麦つゆが、薄めたとき
にいつまでも醤油の辛さと鰹節のうまみだけが口の
中に残る。１つ１つの素材の味がわかるのは、味が
分解されているからだ。色々な蕎麦の名店と呼ばれ
るでもそうだ。藪しかり、達磨しかり・・・
もちろん蕎麦つゆの主成分は醤油と出汁だから、そ
れらの味がして当然なのだが、口の中でそれらがお
互いに主張し合うのは、十分に熟成されていないか
らだろう。休屋の蕎麦つゆは、ほんのりと甘く蕎麦
にからみついてくる。そば湯でのばしても、味が分
解することもない。

結婚して、２年ほど休屋に行かなかった時期があっ
たが、今は、休屋の近所のマンションを買ったほど。
家族全員がこの店のファンだ。土日の昼食は、ほと
んどここで食べている。　子供達(７歳と５歳)も、
何故かここの蕎麦しか食べない。もちろん他の店で
蕎麦を食べさせれば食べるが、蕎麦ちょこに１杯分
程度しか食べない。理由は美味しくないかららしい。
だけど休屋の蕎麦だと２杯、調子がいいと３杯はお
代わりする。

今まで他人に旨い店を紹介した事がない。せいぜい
訪ねてきた友人，知人を誘って食べに行く程度。だっ
て紹介して、混んだら食べられなくなるから。
だけど、今回は特別。
だって２００４年１２月をもって閉店予定ですから。

蕎麦好きの方は、一度行ってみる事をお勧めする。
ただし藪蕎麦のつゆを旨いと思っている方にはお勧
めしない。食べ物の嗜好は、平行線をたどるだけだ
から。

豊島区南長崎１－３－４
11:30～14:30（水, 第３木休）
目白か落合南長崎，椎名町駅
都バス、南長崎２丁目下車