「……んっ…」
何かが撫でている感触がし、壱鬼は目を覚ました。
「起きた、壱鬼兄さん」
壱鬼の隣には、翼乃が立っていた。
「どこだ、ここ?」
壱鬼は立ち上がって、周りを見渡した。
そこはあたり一面、草が生えている野原であった。
「空間の中だと思うけど」
空の方を見上げて翼乃は言った。
ゆがんだ空がそこにあった。
「あのおばさんは?」
「ヒジリだよ、壱鬼兄さん」
「別にどっちでもいいだろ」
「よくないわよ!」
と、壱鬼と翼乃の前にヒジリが姿を現した。
「……」
翼乃は目を細めて、ヒジリを見た。
「なんなの、朱雀、その目は!?」
「いや……別に」
「ここは空間の中なのか、おばさん」
「ヒジリだって」
敵であろうと一応名前で呼ぼうよっと、翼乃はそう思って突っ込みをいれた。
「空間によって、場所はいろいろよ……あれも空間の中にあるらしいけど」
「「あれ??」」
「でも」
ヒジリは袖から扇子を取り出し、壱鬼と翼乃を指す。
「あれの所に行く前に、あなたたちはいないのだもの」
そう言った瞬間、ヒジリの周りに無数の矢が現れてきた。
「その矢は、おばさんのか!?」
矢の形を見て、壱鬼は怒鳴った。
「名前は覚えようよ、壱鬼兄さん」
「なんで俺ばっかり、当ててくるんだよ!」
妹の言葉を聞こうとせず、目の前の敵をにらみつけていた。
「白虎の毛って、白くてふわってしてて、かわいい」
「「かわいい――!!?」」
女子高生みたいな事を言い出したヒジリに、二人は驚きの顔を隠せずにいた。
「朱雀の赤い羽より、白虎の白い毛が気持ちよさそうな感じだったからよ!」
「翼乃。やっぱ、おばさんのままでいいか?」
「もう、勝手にして」
自分の事を言われて、あきれてしまった翼乃。
「とにかく! 死になさい!!」
ヒジリが言うと、無数の矢が壱鬼と翼乃に目掛けて飛び出してきた。
「「やばっ!!」」
壱鬼と翼乃は左右に別れ、矢をかわした。が。無数の矢は左右に別れ、二人の後を追う。
「どんどん逃げなさい!」
「どうすんだよ!」
「聞くなよ!……なんか武器があるといいけど」
「どこにあるんだよ!?」
「しゃべってて、いいのかしら?」
ヒジリは扇子を仰ぎ、矢を出現させる。
「「うそっ!?」」
二人は無数の矢から逃げ続けていたが。翼乃が足をつまずき、倒れてしまう。
「翼乃!」
妹の所へ向かおうとした壱鬼だが、正面に矢が現れ、飛んできた。
「なっ!?」
「死になさい! 白虎、朱雀!!」
矢のスピードがまし、壱鬼と翼乃に襲い掛かる。
――このまま死ぬのか
――こんな所で死んでいいの
「な、なんだ!?」
「この声……」
突然、壱鬼と翼乃の頭に呼びかける、なぞの声。
――自分たちの事を知らずにか
「知りたいに、決まってるだろ!」
――大切な事を忘れたままで
「大切な事……」
――立て。そして、あれを呼び起こせ
――私たちの……あなた達の武器を
「立ってやるよ!」
壱鬼は足を止め、翼乃は立ち上がった。
「呼び起こしてみせるぜ!」
「俺たちは……」
まだ死ぬわけには、いかないんだ!!
壱鬼と翼乃に呼び掛けた声。その時、泳地と水奈にも異変が!
何かが撫でている感触がし、壱鬼は目を覚ました。
「起きた、壱鬼兄さん」
壱鬼の隣には、翼乃が立っていた。
「どこだ、ここ?」
壱鬼は立ち上がって、周りを見渡した。
そこはあたり一面、草が生えている野原であった。
「空間の中だと思うけど」
空の方を見上げて翼乃は言った。
ゆがんだ空がそこにあった。
「あのおばさんは?」
「ヒジリだよ、壱鬼兄さん」
「別にどっちでもいいだろ」
「よくないわよ!」
と、壱鬼と翼乃の前にヒジリが姿を現した。
「……」
翼乃は目を細めて、ヒジリを見た。
「なんなの、朱雀、その目は!?」
「いや……別に」
「ここは空間の中なのか、おばさん」
「ヒジリだって」
敵であろうと一応名前で呼ぼうよっと、翼乃はそう思って突っ込みをいれた。
「空間によって、場所はいろいろよ……あれも空間の中にあるらしいけど」
「「あれ??」」
「でも」
ヒジリは袖から扇子を取り出し、壱鬼と翼乃を指す。
「あれの所に行く前に、あなたたちはいないのだもの」
そう言った瞬間、ヒジリの周りに無数の矢が現れてきた。
「その矢は、おばさんのか!?」
矢の形を見て、壱鬼は怒鳴った。
「名前は覚えようよ、壱鬼兄さん」
「なんで俺ばっかり、当ててくるんだよ!」
妹の言葉を聞こうとせず、目の前の敵をにらみつけていた。
「白虎の毛って、白くてふわってしてて、かわいい」
「「かわいい――!!?」」
女子高生みたいな事を言い出したヒジリに、二人は驚きの顔を隠せずにいた。
「朱雀の赤い羽より、白虎の白い毛が気持ちよさそうな感じだったからよ!」
「翼乃。やっぱ、おばさんのままでいいか?」
「もう、勝手にして」
自分の事を言われて、あきれてしまった翼乃。
「とにかく! 死になさい!!」
ヒジリが言うと、無数の矢が壱鬼と翼乃に目掛けて飛び出してきた。
「「やばっ!!」」
壱鬼と翼乃は左右に別れ、矢をかわした。が。無数の矢は左右に別れ、二人の後を追う。
「どんどん逃げなさい!」
「どうすんだよ!」
「聞くなよ!……なんか武器があるといいけど」
「どこにあるんだよ!?」
「しゃべってて、いいのかしら?」
ヒジリは扇子を仰ぎ、矢を出現させる。
「「うそっ!?」」
二人は無数の矢から逃げ続けていたが。翼乃が足をつまずき、倒れてしまう。
「翼乃!」
妹の所へ向かおうとした壱鬼だが、正面に矢が現れ、飛んできた。
「なっ!?」
「死になさい! 白虎、朱雀!!」
矢のスピードがまし、壱鬼と翼乃に襲い掛かる。
――このまま死ぬのか
――こんな所で死んでいいの
「な、なんだ!?」
「この声……」
突然、壱鬼と翼乃の頭に呼びかける、なぞの声。
――自分たちの事を知らずにか
「知りたいに、決まってるだろ!」
――大切な事を忘れたままで
「大切な事……」
――立て。そして、あれを呼び起こせ
――私たちの……あなた達の武器を
「立ってやるよ!」
壱鬼は足を止め、翼乃は立ち上がった。
「呼び起こしてみせるぜ!」
「俺たちは……」
まだ死ぬわけには、いかないんだ!!
壱鬼と翼乃に呼び掛けた声。その時、泳地と水奈にも異変が!
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