俺だけでいい……
お前には俺だけでいいんだ。
壊してしまえばいい。
壊ればいいんだ。
俺の手で……お前を………
ずっと咲かない花。
永遠に咲かない花。
どこか、僕と似ている花。
いつ、咲くのか分からない。
僕がそっと、咲くことのない花に触ろうとしたら、兄に握られてしまった。
「どうかしたのですか?」
立ち上がろうとすると、兄さんに引き寄せられてしまう。
「……ない…」
顎を軽く持ち上げられ、目線を合わせられる。
いつものと違うアメジストの瞳が、僕を睨みつけている――
「誰にも渡さない」
誰の事を?っと言えなかった。言うことができなかった。
兄さんにキスをされて、言わせてくれなかった。
どうして。
どうして、こんなことをするのですか?
どうして……
その後、僕の頭は白くなっていった――
気がついたときには、自分の部屋のベッドの上にいた。
起き上がろうとしたときに。
「…っ……」
体中から、痛みを感じていた。
あの時――僕は兄さんに抱かれた
飢えた獣のように、激しく。
優しさなんてない。
僕は、心にうえつけられた。
何かをうえつけられた……
部屋に戻ると、ベッドに座った。
両手にはまだ、弟の温かさが残っている……
俺は欲望のままに、あいつを抱いた。
抵抗する水奈の泣き顔が、今でも思い出す。
どうすることもできなかった。
自分で自分を抑えられなかった。
まだ、足りない……
もっと……あいつを感じたい――
たとえ、あいつが壊れようとしても。
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