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小覇王の徒然なるままにぶれぶれ!!!

映画、ドラマ、漫画!
「小覇王の徒然はてな別館」の旧ブログです。2008年から2009年にかけての徒然なることを。

ダークナイト 総論③

2008年09月23日 | アメコミ

「オレ、あんたの映画何回観たっけ」

「こう、見えてもアメコミ暦20年。だめな映画化と傑作の違いくらいは分かる。教えてやる、6回だ」

(6回も!?)

 

 

           Joker1

 

 というわけで、最終的に6回「ダークナイト」を観賞しました。八月は1日に「インクレディブル・ハルク」を観た以外は、週一で、「ダークナイト」を観てたことになる。ちなみに映画館で他の映画は一切見ていません。同じ映画何回も観るなら、他の映画観ろよ!という突っ込みは無しでお願いします。 

 

 僕が何回も観ることで、日本では芳しくない「ダークナイト」の興行成績に多少なりとも貢献できれば次回につなげることが出来るでしょう。

 今回の日本と世界の盛り上がりのギャップは酷いからね。

 関連書籍は全然出ないし。

 というわけで、一応今回の記事で、最後まで解説&感想をしたいと思います。

 

 ジョーカーの情報によってデントとレイチェル、それぞれが拉致された場所へ救出へむかうバットマンとゴードン(と警察)。どっちへ行くとゴードンに聞かれ「レイチェル!」と即答するバットマン。観客はバットマンとレイチェルの関係を知っているから即答ぶりに、思わず笑ってしまうかもしれないが、ゴードンたちには、そんな余裕はないだろう。

 

 デントとレイチェルはそれぞれ別の場所に拉致されているが、互いに声のやり取りは出来るようになっていて、それぞれの状況を確かめ合う。

 

 椅子に縛り付けられている二人。ここで、レイチェルはデントのプロポーズを受け入れる。デントは自力で脱出しようと試みるが、倒れてしまいドラム缶から流れたガソリンを顔半分に受けてしまう。

 

 バットマンが先に現場に到着、ドアを開けるとそこにはデントがいた。ジョーカーは二人の居場所を逆に教えたのだ。なぜ、こっちに来た!と叫ぶデント。バットマンも一瞬、戸惑うがすぐにデントを救出する。

 

 一方、レイチェルの方(結果的に)にむかったゴードンたちは間に合わず、ビルが爆破してしまう。

 デントを救出した直後、デントが囚われていた建物も爆発、デントは左半分、ガソリンを被っていた部分に火が点き大火傷を負ってしまう。

 

 ここは、単にバットマンのほうが時間に間に合ったということなのか、どちらかが助かると時間差で爆発する仕組みになっているのかは、不明だが結局、バットマンとゴードンは二人とも助けることは出来なかった。レイチェルは死に、デントも大きな傷を負ってしまう。

 仮にジョーカーが正しく、教えていたとしても、それはレイチェルは助かったかもしれないが、「光の騎士」デントが死んでいたわけで、バットマンには大ダメージだったろう。この一連のシーンではどう転んでも、バットマンたちはジョーカーの手のひらで踊らされた感じがする。

 

 一方、そのジョーカーだが、取調室で、お目付け役の警官を挑発していた。

 

J「おれ、あんたの仲間、何人殺したっけ?」

「オレは警官暦20年、本当の悪人といたずら好きの小僧の区別はつく。教えてやる、6人だ」

J(6人も!?)

 

 冒頭でこのやり取りを、パロディにさせてもらいました。本当は、この記事を書いてる最中に7回目を観にいったんですが、7回だと面白くないので6回のままで。ジョーカーの挑発は続く。

 

「オレがなぜ、ナイフを使うか分かるか。ナイフだと銃と違って死ぬ時の相手の感情が分かるんだ。だから、あんたよりオレの方があんたの仲間をよく理解してるって事だ。ところで誰が死ぬ時に泣いて命乞いしたと思う?」

 

 こんな事を言われた警官暦20年の人はカッとなって、ジョーカーにタイマンを挑んでしまう。そして、あっさりジョーカーに人質になってしまう。このときジョーカーが使う、凶器は先ほどバットマンに激しくどつかれた時に生まれたガラスの破片だ。電話をかけさせろと要求。

 そして、留置所ではジョーカーの部下が腹が痛いと訴える。すると、その腹には携帯電話らしきものが縫いこまれている。ジョーカーが電話をかけると、腹の電話が反応する。そして・・・

 このシーンで警察で爆発したのが部下の腹の中の電話だったのか(それにしては爆発が大きい)、それともあれは単なる起爆装置で、もともと警察内に爆弾を設置していたは謎だが、ジョーカーは見事、ラウをつれて警察から脱走に成功する。

 この後の、脱走中のパトカーから顔を出して娑婆の空気を感じるシーンはなんともいえぬ高揚感に満ちている。どんな残酷描写よりヤバイと思わせるシーンだ。

 

 アルフレッドはレイチェルに託された手紙を読む。レイチェルはデントとの結婚を決意していて、ブルースはバットマンを辞められないと知っている。アルフレッドはその手紙をブルースに見せようとするがブルースはレイチェルが自分を選んだというのを聞いて手紙をさげる。ブルースの勘違いは前作「ビギンズ」のラストシーンや、本作のキスをするシーンを誤解してしまったか。レイチェルはブルースに対して「マスクを脱げば私が戻ってくると思わないで」、「正体をさらせば結婚なんて夢よ」としっかり言っていたのだが・・・

 

 レイチェルの死亡現場で、バットマンはコインを拾う。それはデントがレイチェルにあげた、両面表のエラーコインだが、爆発で片面が黒く焦げ付いてしまっている。それをデントの傍らに置くバットマン。デントはそれを見てレイチェルが死んだことを悟るのだ。

 

 ゴードンもデントの病室に顔を出す。デントにわびるゴードン。デントを誘拐したのはゴードンの部下のワーツだった。デントは再三ゴードンに部下にマフィアのスパイがいると忠告したのに、一人で捜査は出来ない、と忠告を突っぱねてきた、その結果がレイチェルの死亡とデントの大火傷だ。誰を信じればいい、と聞くゴードンに対し、デントは顔を背けたまま、何故、今更聞く?と答える。そして昔、重犯課の内務調査をやっていた頃に、警官たちに付けられたあだ名を言えと言う。渋るゴードンに強く迫るデント。

 

トゥー・フェイス、トゥーフェイス・ハービーだ」

 

「そう、それが今のオレだ!」

 

 デントがゴードンに顔を向けると、それは左半分が火傷で変形し、肉がむき出しになった顔があった。だが、正確にはまだトゥーフェイスの誕生ではない。

 トゥーフェイスについては過去に書いた記事があるのでそちらを参考にしてもらいたいが、原作を知っている人にはトゥーフェイス=ハービー・デントというのは既知の事実なので、監禁されたシーンで顔半分がガソリンに浸されたところで、「ああ、こうしてデントが変貌するんだな」というのは、大方予想がつくのだが、知らない人には唐突だったようだ。アメリカ人はほとんど知っているだろうが日本人は知らない人も多い。いきなり漫画っぽくなっただの、デントの変化が唐突過ぎて説得力が無いなどの批判も見受けられたが、たぶん、前提条件が違っているからだと思う。

 病室を出る、ゴードン。そこにマローニが現れる。もはや、ジョーカーの狂気についていけなくなった、マローニはジョーカーの居場所をゴードンに告げる。

 

 そのジョーカーの居場所。港の倉庫にはマフィアの資金がピラミッド上に積まれていた。ジョーカーはその頂点にラウを置く。マフィアのボスの一人、チェチェン(ロシア系)が現れ、ジョーカーを褒める。だが、ジョーカーはその金にガソリンをかけ、燃やしてしまう。

「ゴッサムにはもっと上等な悪役が必要だ」

 チェチェンを始末し、金を燃やしたジョーカーはテレビ局に電話をかける。

 

 テレビではウェイン産業の会計弁護士のリースがバットマンの正体をばらす、トーク番組(生放送)に出ていた。彼は過去にウェイン産業の使途不明金の流れなどからバットマンの正体にたどり着き、それをネタにフォックスをゆすろうとしていたが、うまくあしらわれてしまっていたのだ。

 

 そして、ジョーカーからの電話。ジョーカーはそれまでと一転、バットマンは殺さないし正体も暴かない宣言をする。バットマンのいない世界は退屈だ、と。そしてその楽しみを無くそうとしているリース君を60分以内に殺せ、でないとゴッサムの病院を爆破する。

 

 港に向かおうとしていたゴードンたちはリースの保護と病院からの関係者の避難に終われることになる。

 ブルースは警察に家族に入院してるものがいないか調べる。そして自分は目立たないようにランボルギーニ・ムルシエラゴ(スペイン語でコウモリを意味するらしい)で、ゴードンの元へ、ってスーパーカーで日常ってのがブルースの金持ち振りを表現してるね。

 そして、ゴードンはリースを保護へ。テレビ局では発砲騒ぎまで起きた。そして、車がゴードンとリースを乗せた車に衝突しようとするが、ブルースのランボルギーニが間に入り、無事に済んだ。ブルースを見るリースの顔が興味深い。

 

 再び、デントの病室。ここでも関係者の避難が行われていたが、デントの護衛は看護婦に扮したジョーカーに殺されてしまう。

 

            Joker3

 

 話題沸騰のナースジョーカー。金髪のかつらにスカートまで穿いてるのに何故か、顔はあのジョーカーメイク。そしてそのメイクのままなのにブリタニー・マーフィーそっくりだった。

 ジョーカーはデントにレイチェルをあんなにしたのはマローニで、オレはあの時留置所にいたという。オレは混沌から使者、スリルと興奮を求めて駆け回る犬で、デントやゴードンみたいな陰謀家とは違うと。デントに銃を渡し自らの額に銃口を押し付けるジョーカー。デントはコインを見せ、焦げたほう(裏)なら殺す、キレイなほう(表)なら殺さないと告げる。それは面白いと嬉々とするジョーカー。この後もあるがジョーカーは自分の命を惜しむ風が全く無い。

 この時点で、デントはトゥーフェイスになってしまったといえるだろう。検事として、本来はあそこで私刑を行うべきでは無かったのだ。それを自分で判断せず、コインに任せてしまったことがデントの堕落の第一歩だ。ジョーカーのほうはデントを復讐鬼にすることが出来れば自分の命など惜しくは無い、といったところだろう。

 そして、コイントスは表が出て、(おそらくジョーカーの部下の手引きで)デントは病院から抜け出し、ジョーカーは病院を爆破。このシーンは本当に建物(キャンディー工場を病院に偽装したもの)爆破し、その前でヒースは演技しているのだそうだ。すごすぎる。ヒース・・・恐ろしい子!

 

 デントはまず、自分を拉致したワーツを殺し、ついでマローニ(正確にはその運転手)を殺す。そしてマローニからレイチェルの誘拐した警官の名前を聞き出す。女刑事のラミレスだ。

 

 ジョーカーは、遂に市民全体に対して宣戦を布告。ゴッサムからの出口(橋やトンネル)に爆弾を仕掛けた、と告げる。いっせいにパニックになる市民たち。ゴードンは市長の許可を得、囚人たちをフェリーで避難させる。

 実はジョーカーの狙いは、陸上の脱出路を封鎖することで、出口を海上だけに絞り、フェリーでゴッサムを脱出させることにあった。二隻のフェリー、片方にはゴッサムの一般市民が、もう片方にはゴッサムの囚人たちが、乗っており、そこに再びジョーカーの声明が響く。

 

 夜の12:00までに、爆弾の起動スイッチを押せ。それは互いの船の爆弾に繋がっている。助かりたければ、相手より先に相手の船を爆発させろ、と。

 

 これを聞いていたのはフェリー乗員だけではない。バットマンも市民の携帯電話や通信をすべて傍受、盗聴し、音響の反応を利用して相手の位置や建物の内部を探索するシステムを使ってジョーカーの位置を特定していた。

 このシステムは香港でラウの位置を特定したときのシステムを応用したもので、フォックス曰く、「倫理に反する、このシステムが存在するなら私は会社を辞めさせていただく」

 バットマンは「このシステムを信用できる一人の人間に委ねる。フォックス君が管理してくれ。そしてすべてが終わったら君の名前を打ち込め」と言う。

 

 バットマンはジョーカーの潜むビルをゴードンに指示し、ゴードンたちは向かい側のビルに陣取る。突入を急ぐゴードン、早くしないとフェリーの乗員が爆破スイッチを押してしまう。バットマンは彼らは押さない、と断言。

 やはり、フェリーでは押すべきかどうか、議論していた。方や犯罪者と一般市民である。いわゆるカルネアデスの舟板と言うやつで、特に一般市民の乗った船のほうでは「自業自得だ、何故犯罪者のために我々が死ななきゃならん」といった意見まで出る始末。最終的に多数決をとることにした。

 バットマンは単身、ビルに飛び込み、ジョーカーに挑む。途中紆余曲折あったものの、ジョーカーとの一騎打ちに持ち込む。

 

 一方、ゴードンに妻のバーバラから電話がかかる。それはラミレスを脅してバーバラの家族を連れ出し人質にしたデント=トゥーフェイスからのもだった・・・

(ラミレスはコインの表が出たため「生き延びて悪と戦え」と言われ、なぐられたまま消息不明)

 

 ジョーカーはバットマンを押さえつけもうすぐ花火が見られるとうそぶく。だが12:00をすぎてもどちらのフェリーも爆発しない。

 「誰もが心に悪を隠していると?お前だけだ」

 

 実際には囚人のほうは一人の屈強そうな黒人囚人が官吏に対し「お前が十分前にするべきだったことをしてやる」と言って、起爆装置を窓から捨ててしまう。あきらめたような顔をする囚人たち。

 一般市民のほうは多数決でボタンを押すと決まったものの、なかなか押すことが出来ない。中年の男性が私が押そうと前に出るが結局、押すことが出来なかった。

 一般市民のほうは消極的に押さなかったのであり、決して悪に打ち勝ったなどという物ではない。しかし、バットマンは何故かボタンを押さないと確信していた節がある。この点については最後で述べる。

 

 ジョーカーは自分でフェリーの起爆スイッチを襲うとするがバットマンに阻止され、ビルの外に放り出される。だが、それを救うバットマン。ジョーカーは言う。

 

「お前は本当に持っているようだ、高潔な精神というやつを」

「お前はオレを殺せない。その精神が邪魔をして。一方、オレもお前を殺せない。殺したらオモチャで楽しめなくなるからな」

「狂気とは重力のようなもの。たった一押しで落ちていく」

「オレの切り札はデントさ、奴を俺たち悪党のレベルにまで落としてやった」

 

 そのデントはゴードンの家族を人質にレイチェルが死んだ場所にゴードンを呼び出していた。ゴードンがデントの忠告を聞いていればレイチェルは死なずに済んだ。息子の頭に銃をつきつけるデント。ゴードンが懇願する。私が悪かった。息子だけは助けてくれ、と。

 バットマンが現れデントを説得する。我々三人は悪を倒すために努力した。

 デントは何故、自分だけ愛する人を失わなければいけなかったのか、と反論。

 バットマンは「私もだ」と言う。もちろんこれはレイチェルのことだが、デントにもゴードンにそれは分からない。「憎しみの弾丸は悪党に向けろ!」

 デントは従わない。「公平さだけがすべてを裁いてくれる」

 そしてコイントス。まずはバットマン。裏。そして自分、表。最後はゴードン(の息子)、だがコインが空中にある隙にバットマンがデントに飛び掛る。デントは死亡。

 

 だがすでにデントは警官2名を含む5人を殺害している(詳細は諸説あり)。最も高潔だった人物が、ジョーカーの言うとおり悪に落ちてしまった。それがゴッサムの市民に知れたら希望は打ち砕かれるだろう。

「死んで英雄になるか、生き延びて悪に染まるか」

 バットマンがつぶやく。「私が罪をかぶろう」

 

 デントが犯した罪をかぶり、警察に追われるバットマン。アルフレッドはレイチェルから託された手紙を燃やす。フォックスが自分の名前を打ち込むとシステムはショートし崩壊した。真実を知っているゴードンは息子の「なぜ追われるの?」という問いに答える。

 
Because he's the hero Gotham deserves, but not the one it needs right now.
彼はゴッサムにとって必要な人だ だけど今は"時"が違う

So we'll hunt him.
だから追う

Because he can take it.
だが彼は強い

Because he's not a hero.
彼はヒーローじゃない

He's a silent guardian.
沈黙の守護者

A watchful protector.
我々を見守る監視者

A DARK KNIGHT
暗黒の騎士(ダークナイト)だ

                                          fin.

 ここまでのまとめ

 

 いやあ、長かった、はっきり言って後半はかなり解説がグダグダです。しかしこうやってストーリーを追うと、まず脚本のうまさが凄い!と言う一言に尽きる。

 はっきり言ってストーリー自体には決して難しいところはありません。基本的に時間軸どうりに進むし、わかりやすいストーリーです。

 たまにどうしてこんな勘違いをするんだろうというくらい分かってない批評も見受けられますが。ただし、伏線の張り方がとんでもなくうまいので、何回も見直すたびに発見がある。

 大きなテーマは二つ。一つは最初にデントが言い、最後にバットマンが言った

「死んで英雄となるか、生き延びて悪に染まるか」

 そしてもう一つは、バットマンとジョーカーの表裏一体の関係。バットマンにその気はないが、バットマンがジョーカーやスケアクロウやそして今後ゴッサムに現れるであろうヴィランたちを生んだ。そうして誕生した新しいタイプの犯罪者達はバットマンがいないと物足りないのだ。

 

 そして一つ目のテーマ。結局デントは爆発から生き残った結果、復讐に取り付かれ悪に染まった。だが、バットマンはデントを悪人として死なすことを拒み、自分が罪を被った。デントは死んで英雄となり、バットマンは生きて悪名をこうむった。

 

 バットマンがフェリーの乗員を信じていたのはもはや論理的な物ではないと思う。あそこで信じることで、ジョーカーに対しての心のよりどころにしていたのかもしれない。

 

 さて、長々と書いてきたがとりあえずここで終了。次は細かい疑問、ネットや雑誌などで見つけた否定的な意見に対して、僕が答えられる範囲で答えて生きたいと思う。


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