少佐の義体化と、初恋の淡く切ない話。
つか、少佐かわいーなぁ
少佐って言うか、チビモトコ。
飛行機の墜落事故にあって、たった二人しか生き残れなかった。
幼い少女と少年を残して全員死んでしまった。
先に目覚めた少年は、隣で容態の悪化していく少女に祈りを込めて鶴を折る。
しかし、願いもむなしく彼女が遠いところへ行ってしまったと、聞かされる。
それから、少年は言葉を発しなくなり、来る日も来る日も鶴を折り続ける。
ある日、完全義体化をすすめられるが、唯一の仲間だと考えていた少女もすでにいなくなり、家族とよべるものもなく、昔の時を取り戻したいとも思えなくなっていた少年。
彼には、「動機」がなかった。
そんな少年の元に連れられてきた、活発な少女。
彼女は、全身義体化して日々を過ごしている。
ふさぎこむ少年に、笑顔を見せる少女。
しかし、「義体化しても鶴は折れるのか」という少年の問いに、少女は応えられなかった。
義体化してまだ間もない少女は、力の加減をうまく末端に伝えることが出来ずに、折り紙を破いてしまう。
「今度はあなたのために、私が鶴を折れるように練習する」
そういい残して少年の元から去っていった、傷ついた少女。
その少女こそ、過去に死んでしまったと思っていた、隣の少女だったと、少年は気づくがすでに時は遅く。
義体化を受け入れ、少女が乗り換えてしまった義体を見つけた少年。
彼は、戦場で消息を絶ってしまった。
そんな、少佐の淡い初恋と、義体化についての過去を実に綺麗に描いていたと思う。
鶴を折る少年があまりに痛々しいのと、「動機」という重要なキーワードを語ること。
もう、鶴など簡単に折れるほどの屈指の義体使いとなっている少佐。
その手で折った鶴を、少年の義体が置いてあるそばに置くのが、またいい。
それが、少佐の外部記憶媒体。
彼女もまた、あの店に残留思念を残した。