ラジオ深夜便でインタビューさせていただいた岡真裕美さん(@hinadori2016)が、指導教員と共に本を出した。
『子どもを全力で守る本〜事故・ケガで我が子を死なせたいために』(中井宏・岡真裕美編著、いそっぷ社、2024年6月30日刊)だ。クラウドファウンディングで、多くの人の支援があって出版されたこの本には、ハッとする“気づき”がいっぱい詰まっている。
(写真:『子どもを全力で守る本〜事故・ケガで我が子を死なせたいために』<中井宏・岡真裕美編著、いそっぷ社刊>の表紙)
ラジオのインタビュー「川で亡くなった夫が教えてくれたこと」(2020年9月5日放送、21年6月19日再放送)では、「心理学を基にした安全教育のプログラム」を社会に発信したいという、岡さんの強い思いがあふれていた。
きっかけは2012年春。大手電機メーカー研究員のご主人・隆司さん(当時34)が、川で溺れている子どもを助けようとして亡くなったことだった。
川面を横切るように並んだ護床ブロック。その上で遊んでいた子どもが、転落し溺れている場面にジョギング中に遭遇したのだ。私たちの日常に、ふと入りこんでくるのが、こうした子どもの「事故」だ。
岡さんは、やり場のない思いから、河川の安全策を訴える声をあげ始めたが、行政は「これまでもパトロールはしていた」、「河川は自己責任の中での自由使用」というばかり。
ようやく、川のそばに『川に気をつけて』という看板が立てられたが、「どう危ないのか。どうすれば危険を回避できるか」には触れられていなかったという。
その経験から、大阪大学の大学院「人間科学研究科」の門をたたき、安全行動学の研究を始めた。
2020年、子どもの事故防止をわかりやすく伝える本の出版を企画し、クラウドファウンディングを行なった。その成果が、今回の『子どもを全力で守る本』だ。
上田バロンさんの楽しく豊富なイラストで、家族が遭遇するさまざまな「ひやり」の場面が描かれる。「これ、あるある」、「うちと同じ」と読み進むうちに、危険が身の回りにたくさんあることに気づかされる。
データや法令もきちんと押さえられている。
「車から降りるのは、だれから降りるのが安全か?」では、降りる時は大人が先、乗る時は子どもが先。当たり前のように感じるが、急いでいる時や、何かに気をとられた時に、この原則が崩れる。
▽チャイルドシート・シートベルトはなぜするの?
▽交通事故多発!! 〝魔の7歳〟とは
▽危険を感じたら〝プラン変更〟!!
▽引っかかりを防げ!! 遊ぶ時は手ぶらで身軽に
▽楽しいはずの駅には危険もいっぱい!?
▽思わぬ〝はさまれ〟にご用心
▽手すりが背丈より高くても
などの項目は、日常の生活周辺の事例ばかり。
「祖父母の家や大人だけの場所は要チェック」と言う指摘は、自分の幼い頃のことも思い出してしまう。
俺も子育てを…という父親には、思わぬ落とし穴があることも指摘されていて、ヒリヒリする。
「自宅車庫での事故」、「ベランダからの転落」、「お泊まり保育での水死」、「送迎バスや園舎内での熱中症」などニュースで伝えられる事故は、自宅や、安全と思い込んで任せた場所で起きている。
この本では、まず子どもの特性を知ることから始める。
子供は想定外の遊びの天才。一方で、学んだことの応用は苦手。
「気をつけて」「注意して」といった、漠然としたアナウンスは彼らには通じないと言う。
何に、どう気をつけるのか。具体的に理由も説明しないと、伝わらない。
本当にそうだ。
まずは、家族で「ヒヤリハット」を感じる<心と目>を身につけ、子どもと共に学ぶ。そして、それを実家の親や保育園・幼稚園、社会へと周囲の人々にも広げていく。
そのきっかけになる、大切な一冊になるはずだ。
【編著者】
▽中井宏
1982年香川県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科 安全行動学研究分野 准教授/同研究科附属 未来共創センター 子どもの安全ラボ 代表。
▽岡真裕美
1980年香川県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科附属 未来共創センター 子どもの安全ラボ所属。現在、全国の保育・教育関係者、子育て中の保護者等に子どもの事故予防について講演や啓発活動を行う。
『子どもを全力で守る本 事故・ケガで我が子を死なせたいために』
いそっぷ社(https://isopsha.com)、1500円税別
了
『子どもを全力で守る本〜事故・ケガで我が子を死なせたいために』(中井宏・岡真裕美編著、いそっぷ社、2024年6月30日刊)だ。クラウドファウンディングで、多くの人の支援があって出版されたこの本には、ハッとする“気づき”がいっぱい詰まっている。
(写真:『子どもを全力で守る本〜事故・ケガで我が子を死なせたいために』<中井宏・岡真裕美編著、いそっぷ社刊>の表紙)
ラジオのインタビュー「川で亡くなった夫が教えてくれたこと」(2020年9月5日放送、21年6月19日再放送)では、「心理学を基にした安全教育のプログラム」を社会に発信したいという、岡さんの強い思いがあふれていた。
きっかけは2012年春。大手電機メーカー研究員のご主人・隆司さん(当時34)が、川で溺れている子どもを助けようとして亡くなったことだった。
川面を横切るように並んだ護床ブロック。その上で遊んでいた子どもが、転落し溺れている場面にジョギング中に遭遇したのだ。私たちの日常に、ふと入りこんでくるのが、こうした子どもの「事故」だ。
岡さんは、やり場のない思いから、河川の安全策を訴える声をあげ始めたが、行政は「これまでもパトロールはしていた」、「河川は自己責任の中での自由使用」というばかり。
ようやく、川のそばに『川に気をつけて』という看板が立てられたが、「どう危ないのか。どうすれば危険を回避できるか」には触れられていなかったという。
その経験から、大阪大学の大学院「人間科学研究科」の門をたたき、安全行動学の研究を始めた。
2020年、子どもの事故防止をわかりやすく伝える本の出版を企画し、クラウドファウンディングを行なった。その成果が、今回の『子どもを全力で守る本』だ。
上田バロンさんの楽しく豊富なイラストで、家族が遭遇するさまざまな「ひやり」の場面が描かれる。「これ、あるある」、「うちと同じ」と読み進むうちに、危険が身の回りにたくさんあることに気づかされる。
データや法令もきちんと押さえられている。
「車から降りるのは、だれから降りるのが安全か?」では、降りる時は大人が先、乗る時は子どもが先。当たり前のように感じるが、急いでいる時や、何かに気をとられた時に、この原則が崩れる。
▽チャイルドシート・シートベルトはなぜするの?
▽交通事故多発!! 〝魔の7歳〟とは
▽危険を感じたら〝プラン変更〟!!
▽引っかかりを防げ!! 遊ぶ時は手ぶらで身軽に
▽楽しいはずの駅には危険もいっぱい!?
▽思わぬ〝はさまれ〟にご用心
▽手すりが背丈より高くても
などの項目は、日常の生活周辺の事例ばかり。
「祖父母の家や大人だけの場所は要チェック」と言う指摘は、自分の幼い頃のことも思い出してしまう。
俺も子育てを…という父親には、思わぬ落とし穴があることも指摘されていて、ヒリヒリする。
「自宅車庫での事故」、「ベランダからの転落」、「お泊まり保育での水死」、「送迎バスや園舎内での熱中症」などニュースで伝えられる事故は、自宅や、安全と思い込んで任せた場所で起きている。
この本では、まず子どもの特性を知ることから始める。
子供は想定外の遊びの天才。一方で、学んだことの応用は苦手。
「気をつけて」「注意して」といった、漠然としたアナウンスは彼らには通じないと言う。
何に、どう気をつけるのか。具体的に理由も説明しないと、伝わらない。
本当にそうだ。
まずは、家族で「ヒヤリハット」を感じる<心と目>を身につけ、子どもと共に学ぶ。そして、それを実家の親や保育園・幼稚園、社会へと周囲の人々にも広げていく。
そのきっかけになる、大切な一冊になるはずだ。
【編著者】
▽中井宏
1982年香川県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科 安全行動学研究分野 准教授/同研究科附属 未来共創センター 子どもの安全ラボ 代表。
▽岡真裕美
1980年香川県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科附属 未来共創センター 子どもの安全ラボ所属。現在、全国の保育・教育関係者、子育て中の保護者等に子どもの事故予防について講演や啓発活動を行う。
『子どもを全力で守る本 事故・ケガで我が子を死なせたいために』
いそっぷ社(https://isopsha.com)、1500円税別
了
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