住田功一のブログ

メディアについて考えること、ゼミ生と考えること……などをつづります

夏ゼミを開催 富田林市きらめきファクトリーで考えたこと

2022-08-08 23:59:59 | ゼミ関連
新型コロナが再び感染拡大の様相です。
このため、長崎の雲仙で行う予定だった3年生のゼミ合宿を延期し、
8月8日(月)11時から、
とんだばやし観光交流施設「きらめきファクトリー」(富田林市本町)で、
「夏ゼミ」を行いました。


(写真:近鉄富田林駅前にある「きらめきファクトリー」)

前半は昨年の広島・平和記念式典での、
菅首相(当時)の「あいさつ読み飛ばし」について考えました。
メディアはこの突発事案をどう報じ、
ネットメディアがどのように指摘し、
政府はどう対応したかを
さまざまな報道記事を読みながら検証しました。
とりわけ、誤った情報が拡散することで
情報操作が行われかねないネット社会について考えました。


(写真:1979年米映画『チャイナ・シンドローム』/ ジェームズ・ブリッジス監督、122分カラー作品)

後半は、米映画『チャイナ・シンドローム』を見ての合評を行いました。

『チャイナ・シンドローム』は、
1979年のアメリカのサスペンス映画です。
原発の企画を取材中に事故を目撃したテレビクルーが、
事故をやりすごそうとする発電所の経営者と、
原因を告発しようとする技術者、
そして局の上層部との間に立って、
どのように事実を伝えるか模索する姿を描いています。

とりわけ、技術者の告発シーンは、
テレビで中継するという
緊迫感あふれるタッチで描かれ、
エンタメ作品ですが、テレビ局の報道現場も
よく取材して制作されたことがうかがえます。

「チャイナ・シンドローム」とは炉心溶融のことで、
この映画では計器メーターの故障から誤って冷却水を放出し、
あわや炉心溶融が起きそうになるシーンが描かれています。
アメリカ本国で公開されたのは1979年3月16日でしたが、
12日後にはペンシルべニア州で
実際にスリーマイル島原子力発電所事故が発生し、
この作品が注目されました。

1986年にはソ連(現ウクライナ)の
チェルノブイリ原子力発電所で、
そして2011年には福島第一原子力発電所で、
この映画で描かれたシーンを思わせる
重大な原発事故が発生しました。

それまで、科学の進歩や、フェイルセーフの設計から
安全が強調されていた原発でしたが、
人間の操作ミスや、設計の限界が
大きな事故を引き起こすということが
現実のものとなりました。

そこに、どうジャーナリズムが向き合うのかも
問われる時代になっています。

夏ゼミでは
1970年代という
テレビジャーナリズムの転換点で
ENGが果たした役割や、
そこで日本製のカメラが活躍したことも
知りました。

なおゼミ合宿はコロナが落ち着き次第実施する予定です。

(写真下:お昼休みは、富田林の寺内町を散策しました)