白鳥のオデットと黒鳥のオディールが同じダンサーが演じるのは
クラシックバレエの常識中の常識だが、初めて知ったときは誰もが
「そーなんだ」と思ったに違いない。
メイクや衣装が違っていても、演劇なら声で判るだろうが
体形も同じだし、メイクも衣装も、振りも全く違うのに同じダンサーだ!とわかるのは
前列席のお客さんぐらいだろう。
もともと判っていてください、で観るものなのだ。
魔法で白鳥のされた(いきさつで泣き落とす?)白鳥と
妖艶キャラでスポーティな黒鳥を
ダンサーが演じ分けるところが見どころの一つになっている。
湖であった白鳥に永遠の愛を誓う、と約束した王子は
パーティーに来た黒鳥が白鳥と同じ顔で「昨日の私です」と言うものだから
うかうかと永遠の愛をみんなの前で誓ってしまう。
それがストーリーの主軸なのだが
そんなに違うのに顔が同じ、というだけで王子は間違えるのか?
自然な疑問である。
「眠り」や「くるみ」と違って、王子のパートが1幕でしっかりあるので、
王子のキャラクターが、伝わりやすい。
様々な解釈が楽しめるところも、「白鳥の湖」のおおきな魅力だ。