My Dear Things

asukaと申します。まさに”NO MUSIC,NO LIFE”を地でいく毎日かも♪♪♪

「山崎まさよしの4枚」 その6 (Bridge 2003年9月号掲載)

2007-02-26 22:10:24 | 山崎まさよし
今まで長々と書き綴ってきたこのロングインタヴュー。今回でようやく終わりとなります。



S:「なるほどね。じゃあ、今回はヴォイス・アレンジにしても、ちょっと次元の違う感じを表現したかったのかな?1曲目なんかサイケデリックですよね。」

Y:「うん、自分があまり動いてないから。取材好きでさ、すんげぇ飲むのが好きで、もう人間なんかをたくさん見てものを書いたら、また違うんだろうけどね。何日もひとところに落ち着いて、ずっとやってたわけだから。あらぬ方向、いろんな方向にいっちゃったんじゃないかな。面白いこと考えてたんだよ。だから7曲目とか、みみずのこと考えて書いた歌なんだよね」

S:「みみずぅ?”サマエルの記憶”って曲ですよね。この、サマエルって何なんですか?」

Y:「アダムとイヴをそそのかした蛇。サターンの化身らしいんですけどね。みみずって両性具有じゃない?もともと両性具有はセックスする必要ないんだけど-男と女がくっだらねぇ理由でケンカしてもね、セックスしちゃったりするのは、もともと前世がみみずでひとつの体だったからだと。それが太陽の下に出てきちゃったもんだから、男と女に引きはがされちゃったっていうようなことを書いてたのよ。でも”みみずの記憶”じゃ色気ないじゃん?」

S:「うん(笑)」

Y:「にょろにょろしてるじゃん?で、天使も両性具有だからさ”堕天使”とか”天使の記憶”にしようとしたんだけど・・・・・・松田聖子みたいじゃん?」

S:「ははは。」

Y:「(笑)それでまあいろいろインターネットで調べてたら、サマエルっていう堕天使が蛇になってどうこうって。蛇もにょろにょろしてるからみみずみたいじゃない?それでいいかっていう」

S:「へえ。面白いですね。ほんとの時間かけて書いたって感じだ。」

Y:「時間かかったよ。別に救いだとかさ、そんなもん俺は必要ないのね。”こんなじょうた~い!”って終わるんだけどさ」

S:「それはなんでなの?救いを信じてないの?」

Y:「わからん。信じちゃないんじゃなくて、なにをもって救いなのか、よくわかんないんだけどさ・・・・・・やっぱ思ったよ。深みとか重みとかいろいろあると思うんだけど、そういうことって口を塞ぎやすいし、日頃は出てこないしね。ほら、ドロッとした部分からは目を背けがちじゃない?でも、歌ってそれを非常にソフトに打ち出せたりするでしょ?歌とか音楽は、歌っていっぱい量産されるわけだけどさ、作品性っつうか、質みたいな部分はそういった物事で保たれるような気がするんだよね。それがあると残っていってくれるんじゃないかなあ、と思ったりするんだよな、歌としてね。音楽が人の間を渡っていくにはさ、ある程度の生命力が必要だと思う。でもテーマなんてそうそう転がってないしさ、なんで俺はこんなことにこだわってるんだろう?っていうこともないんだよ。でも、動物的な勘みたいなもんで、世のなかがなんとなく不景気だなとかさ、戦争があったなとかさ、そういうのを思うと自分もザワザワするよね。それがちょっとした手がかりになるんだよね。だからって、それに対する運動をするかっつったら、そこまでのバイタリティもないわけだよね。だから、言葉のチョイスにしても、そういう方向に行くんじゃないかな。だから、ある意味、救われたいと思ってんじゃないの、自分が」

S:「なるほどね」

Y:「歌によって誰かを救おうっていうんじゃなくてね。自分の意識のなかで自分が抜けていこうとしてるんじゃないかな?それを聴いたって、人は救われないかもしれないけどね。”頑張れ、元気だせ!”みたいなことはさ、やっぱ言えないんだよね。それよりも”こうなっちゃってる”みたいなさ(笑)、物事のほうがやっぱり多いんだよ。ほんと単純なんだよ。要は言い当てられなかったことが、いろんな物事によって浮き彫りになってくるっていう」

S:「ずっと一貫して、そういう作業をしていますよね。」

Y:「まあ、好きなんだろうね。好きっていうか、ほんとうはしんどいけどね。そういうふうに意識が向かいがちなんですよ」

S:「まさに”ステレオ”以降っていうのは闇の顕在化っていうか。今、目に見えるもの以外の気配を感じ取る、そういう表現者になってる気がします。」

Y:「いや、どうなんだろうね。感じてるか勝手に思ってるだけかわからんけどね。ただ、それがね、生活なんだよ。人の生活っていうのはさ、家から外なのか、街から外なのか、水辺から向こうなのか、絶えずわからないものと関わって生きてきてるわけじゃない?都会においては”隣は一体何をしてんだ?”とかさ。そんななかで、人がドア1枚隔てた外に向かう意識っていうのは、なんとなく不安であったり、自分対体制みたいな感じかもしれないよね。摩擦が人の生活のなかにあるんだよね、絶えず。それは恋人同士でもいいし。でも、そこになにかしらの歌になるような願いがあるんじゃねえかなあ。まあ。ブルースでもいいよね」

S:「摩擦があるがゆえの悲しみや願いっていう。」

Y:「そう。それがちょっと人間規模ででかく肥大したり、ピッって縮小したりするんだろうとは思うけどね、自分対街でもいいし、自分対不特定多数でもいいしね。自分対恋人でもいいし」

S:「そういうのがプライベート・アルバムには特に表面に出やすいんじゃないかっていう」

Y:「そういうことなんじゃないかな」

S:「バンドっていう他者と接することすらできないから、本当に世界と自分との摩擦に凄い敏感になってる。そういう作品としての一貫性があるんですね。」

Y:「だから凄く面白いよね。面白いと思ってる、自分でも。聴いててね。でもやっぱ重いって印象を持つ人は多いね」

S:「あ、そう?」

Y:「”未完成”のレヴュー見ちゃったんだ、インターネットで。”まゆ毛が濃いから星ひとつ”っていうのもあったんだよね」

S:「ははは」

Y:「やっぱり明るいのが好きっていう人が多いんだよ。聴いてると、もう辛気臭いわけだよ、多分。なんか・・・・・・明るくならないもんかね、スコッと、こう」

S:「人間が変わらないとダメなんじゃないですか。」

Y:「いやいや、そんなことはないよ、きみ。明るいんだよ、根は」

S:「じゃあ、表層的な部分が暗いっていうことで」

Y:「そうそうそう。でもそういう印象を持たれるんだよな」

S:「(笑)わかりました。ありがとうございました」

Y:」ありがとうございました」



この時期の山ちゃんって関心が内面に向かってたんでしょうか。外的刺激をあまり受けようとしなかった、受けることを拒んでたというか。
この時期ってある種の”引きこもり”期だった???(すんません、言い過ぎてます・・・)。なんか"自分対○○”ってことにこだわってるのは何故?なんて思います。”○○”に対して信頼感をもってない、ようにもとれるんですけど・・・。

”アトリエ”を完成後のOKST2003、DVDで見ましたが・・・いや、いいんですけどね、正直息苦しさを感じるところも見受けられたりして(^^;;)。ある種の”求道者”というか・・・とにかくあのライブは”異種”やなぁ~・・・と(誤解招く言い方でごめんなさい)。でもあのライブ、好きなんですよ、私。でもね・・・やっぱサンプラーに頼りすぎてないかい??ってこれは見るたんびに思うことで(以前にも書いたことありますが)。

とにかく”アトリエ””OKST2003”を経たからこそ、一つ”次の段階”へ行った、行くことができたんだろうなぁ・・・と感じるわけで。


さて、これにてこの「山崎まさよしの4枚」終了です。
おつきあい下さった方々、本当にありがとうございました。数々のコメント本当にうれしかったです。

さて、以後は・・・・・・まぁたうだうだと好き勝手なことを並べ書いていくことと思われますが、おつきあいくだされば幸いですm(_ _)m


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3 コメント

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お疲れさまでした (月音)
2007-02-26 23:56:33
すごく沢山ありがとうございます。

興味深く読んでました。私が知ってるまさよしさんはついこの間からで、知らない時にいったアトリエのライブ?2003年は知らない私が聞いても「暗い、重い」印象でした。

山崎まさよしって暗いんだって思ったほど。。。

でもアトリエは今では1、2を争うほど好きなアルバムです。

まさよしさんを知れば知るほどアトリエは聞きごたえがでるよーな気がします。

何かの殻を破ったADDRESSは誰にでも聞きやすいアルバムにですよね。

私はアトリエやステレオの方がスキなんですが、まぁコレも好みですから。。。

どんなまさよしさんであれ魅力的に見えてしまうのはアバタもエクボってやつですかねぇ(笑)
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今度こそ (みちママ)
2007-02-27 09:16:50
ホントに長い記事お疲れ様です。
まさよしさんは暗い自分は嫌いなのね。
個人的には好きなんだけど。
っていうか、内省って言っている歌の方が
好みなのが多いかも知れないです。
明るいのは聞きやすいし、
ライブなんかでは必要なモノなんだろうけど
物足りないですね。
私自身が暗いのか?
暗い葛藤している部分をどんどん曲にして欲しいです。
勝手な思いなんですけどね。
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Unknown (asuka)
2007-02-28 10:22:50
レス遅くなって申し訳ありません。
ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。山ちゃんのインタビューは数々あれど・・・ここまで突っ込んだのはそうはないよなぁ~・・・って改めてびっくりです。

月音さん>
私もこのインタビューを読んで”アトリエ”聴きなおして、改めてその良さを実感してます。ほんと聴けば聴くほどどんどん新しい魅力がでてくるようで”するめのようなアルバム(笑)”かな、と。でもね、好きになった当時は「暗っ・・・」って思ってほとんど聴いてなかったんですよぉ~(^^;;)。
”どんな山崎まさよし”も好き!と断言できる最近の私・・・まさにアバタもエクボ(笑)。

みちママさん>
ありがとうございます。
私も”暗い”のは好きなんです。歌詞・メロディーの隙間から内面を垣間見れるみたいで→深読み好き(笑)。
明るいのもいいし必要だと思うけれど、やっぱり自分が抱えている内面を描こうとして苦悩している、といった感じの曲、もっと聴いてみたいです。

でもファンのそんな思いなどおかましなしに自分の道を作って歩いていくのが山ちゃんなんですよね、きっと・・・。
一生ついていきましょう!!
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