「休みの時にごめん、社長にお歳暮送った?」
それは社畜JKみなみが充実した午前を終えてさてもう一踏ん張り掃除を頑張ろうとしていた矢先に来た電話だった。
「はい、本日中に届くかと」
「分かった」
それで電話は切れた。プライベートの電話番号を知られているということは即ちこういうことなのである。私の日曜日は約15秒奪われてしまった。
それにしてもお歳暮とは素晴らしい文化だ。最初に思い付いた人間を助走をつけてから思い切り殴りたい。
現代の搾取体制としてこれ以上のものはないだろう。社内規則にも明文化されていない無形文化遺産、無くすべき無駄金の遣い方第一位である。
私は形式上一応社長には酒を贈った。
「これを一滴でも多く摂取して一秒でも早く寿命が訪れたまえ」
社畜JKのみなみはそんな怨嗟の言葉と共にアマゾンでの配達ボタンを押したことを記憶している。
果たしてこんな思いをされながら贈られるプレゼントに意味はあるのだろうか。私ならば受け取りたくはない。プレゼントというものは受け取った人間の笑顔を想像しながらワクワクしつつ選ぶものだと思う。
反対に私は本日心から嬉しいと思える贈り物を頂戴した。思いもかけない贈り物というものは日々辛い仕事をこなす社畜には大きく刺さる。午前中から涙に暮れたとしてもそれは誰にも責められるものではないだろう。
誰かから何かを贈られる経験をあまりしたことがない為に、より心に来た。
残り2営業日、年末だからといって油断せずに頑張りたいと思う。
残る勤務時間は24時間である。
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