「ぼくら党」のブログ

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支持すべきでない-米印原子力協力

2006-05-31 00:20:04 | 日米関係
■アメリカが日本にインドと合意した原子力エネルギー開発協力について、支援表明するように求められているらしい。このアメリカとインドの原子力エネルギー開発協力は、アメリカの恣意的外交のひとつであるが、なぜ我が国が、これについて支持表明しなければならないのだろうか。

■アメリカは、イランに対しては核の放棄を核先制攻撃をちらつかせながら迫り、片方ではインドの核開発には目をつぶり容認する。これほど偏った外交はない。グレゴリー・シュルト大使の言うように、インドが「国際社会とも協調している」なら、なぜNPT(核不拡散条約)、に加盟しないのだろうか。他の外交姿勢がどうであれ、これは核の問題なのだから、NPT加盟の有無によって判断すべき問題だろう。NPTに加盟せず独自に核兵器を保有するインドに対しては、厳しく対応すべきである。

■その他には、「インドは民主国」という発言もあるが、なぜ、民主主義国なら核保有してもいいのだろうか。民主主義であっても、国家利益の追求の過程では、戦争も引き起こす可能性はあるだろうし、核兵器を使用する危険性もある。

「民主主義=安全な核」であるとは必ずしも言えないのが事実であり、現在の小型核開発を目論んでいるアメリカを見ればよく分かる。この言説は、過去に日本で「社会主義国の持つ核は綺麗な核(正しい核だったかもしれない)」といっていた人々と何ら変わらない情緒的なものであり、まったく核保有の正当性を証明するものではない。

■アメリカは常に「自由と民主化」という大義名分を使うが、自国の国益のためなら、いかなる独裁者とも手を結んできた歴史がある。フセインやポルポトとも協力していたこともある。この大義名分に隠された本質は、露骨な国益追求であり、そこには「自由と民主化」それと国際協調など何処にも見受けられないのである。「損か得か」これが自由と民主化の裏にある本質だろう。

それにしても、米国の国益という観点からも、インドに対して核保有を認めてしまいかねない、原子力開発協力はけっして得策とは言えないのではないか。ブッシュ大統領の思惑がよく分からない。

■ブッシュ大統領の露骨な国益追求(しているつもり)がNPT条約を形骸化させようとしている。(議会での反対が根強い事がせめてもの救いか)NPT条約が全く公平であるとは言わないが、これを発展させることがあっても、後退させることは許されるべきでない。

■この不平等な米・印原子力エネルギー開発協力にも、日本は支持を表明しようとしている。この問題については、日本はもっと憂慮すべきだ。このままこの不平等がまかり通れば、非核保有国は核保有を目指して行動することになり、世界が不安定化することになる。これでは核廃棄など夢のまた夢になってしまう。

■支持の理由に-英仏などは賛成している-とあるが、先進国が原則を忘れて談合的に核保有の成否を決定すれば、発展途上の国々に対して、どの様に説明するのだろうか。日本は非核保有国なのだから、不満を持つ国々の声を代弁すべき立場であり、「インドがNPTに加盟しない限り、支持や協力は出来ない。そうでなければ、他の国に示しがつかない」と言うべきだ。日本は堂々と、非核保有国の代表として発言すべき責任がある。





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-以下引用記事-
http://www.asahi.com/science/news/TKY200605260369.html
米印原子力協力 米が日本に支持要請
2006年05月27日
米国とインドが合意した原子力エネルギー開発協力について、日本政府が米政府から支持表明を求められていることが明らかになった。複数の日本政府関係者が明らかにした。6月29日に開かれる小泉首相とブッシュ大統領との首脳会談で提起される見通しだ。日本政府は理解を示す方向で検討しているが、同合意に対しては核不拡散条約(NPT)を形骸(けいがい)化させるとして批判が強く、政府内には「被爆国として慎重に対応すべきだ」との意見も根強い。  

インドは核保有国だが、NPTには未加盟。米国は民生用核施設に国際原子力機関(IAEA)が査察を行えば、核不拡散体制の強化につながると説明している。しかし軍事用施設は査察の対象外で、核兵器は事実上、国際的な軍縮体制の枠外に置かれることになるとの懸念がある。  日本政府関係者によると、米国はインドとの合意直後から、日本を含む主要国に支持を求めてきた。6月の日米首脳会談でも「ブッシュ大統領が小泉首相に支持を要請する可能性は十分ある」という。  米印合意から半月後に豪州で開かれた日米豪外相による戦略対話では、共同声明で「支持」に踏み込まず、「国際的不拡散体制の範囲拡大に向けた積極的な一歩になるだろうことに留意した」と位置づけるにとどめた。  

日本政府は米側からの支持要請にも態度を保留してきたが、(1)民生用施設については査察が可能になり、核不拡散体制の強化に役立つ(2)インドの経済成長を後押しする(3)英仏などは賛成している――などの理由から、基本的には理解を示す方向で検討している。  ただ、IAEAの保障措置の具体的内容が決まっておらず、民生用技術が軍事転用される可能性も否定できない。米議会などにも反対論が強い。  このため、日本政府の態度決定は日米首脳会談ではなく、「米印協力を支持する英仏も参加する7月の主要国首脳会議(G8サミット)をめどとすればよい」(政府関係者)と先送りする声も出ている。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060506-00000007-san-int
核が違う 米高官 インド/国際社会と協調 イラン/非民主的な国家  
【ロンドン=蔭山実】イランの核問題で在ウィーン国際機関米国代表部のグレゴリー・シュルト大使は四日、ロンドンの英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)で講演、核開発をめぐるインドとイランに対する米国の姿勢の違いについて、「インドは民主国家で、他国を地図から消し去るというような脅迫をする国家ではなく、国際社会とも協調している」とし、イランの核開発と比較するのは大きな筋違いとの見解を示した。 シュルト大使はそのうえで「イランは一握りの宗教指導者によって牛耳られている」と主張し、国際社会と協調せず、「非民主的で危険な国家である」イランに勝手な核開発を許してはいけないと訴えた。 

大使はイランが北朝鮮の支援で欧州からアフリカ、ロシア、インド、中国までが射程に入るミサイルを開発しているとの報告に触れ、イランの危険なアフマディネジャド政権に核兵器を保有させてはならないと強調。「平和利用目的の核開発まで否定する気は米国にはない。だが、平和利用目的でも国際原子力機関(IAEA)には協力しなければいけない」と訴えた。 さらに、イランには自らウラン濃縮を行わなくても核燃料を購入する経済的な余裕はあるはずだとし、イランの核開発の姿勢を批判した。大使は「企業はイランへの投資を控え始めている」とも述べ、イラン国民は政府の横暴で犠牲を強いられていると指摘した。 (産経新聞) - 5月6日16時55分更新


2 コメント

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難しく考えない (Chobi)
2006-05-31 10:09:54
こんにちは!始めまして・・・。

この前のコメントでは、挨拶が抜けてましたね。



>なぜNTP(核不拡散条約)、に加盟しないのだろうか。

エルバラダイ事務局長が、アメリカの考えを支持しているし、インド自身の国益に叶っているから・・・。



>ブッシュ大統領の思惑がよく分からない。

アメリカを国と思わず、利権団体と思えばいいでしょう!

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こんにちは (管理人)
2006-06-01 08:17:34
>なぜNTP(核不拡散条約)、に加盟しないのだろうか。



>>エルバラダイ事務局長が、アメリカの考えを支持しているし、インド自身の国益に叶っているから・・・。



これは、「インドが「国際社会とも協調している」なら、なぜNPT(核不拡散条約)、に加盟しないのだろうか。」と読んでください。



Chobiのコメントのようにインドは国際社会との協調からではなく、自国の国益を考えている分けであり、核についてはNPTに加盟してから初めて、「国際社会とも協調している」といえるのだと思います。ですから、そうしていないインドについて、「国際社会とも協調している」と、なぜいえるのかという問いかけです。



>ブッシュ大統領の思惑がよく分からない。

>> アメリカを国と思わず、利権団体と思えばいいでしょう!



それは、そうなんですが、自国の優位性を担保する核技術を渡しかねない、この度の協定は、ちょっと理解しかねる思いをもっています。「思惑がよく分からない」とは、まともに考えればそういう結論にはならないのでは?という意味です。
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