スポイチ編集長日誌

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福島第一原発が汚染水をぶちまける日

2013年07月15日 | 社会
それは、約束された未来だ。

空撮写真でも明らかなように、福島第一原発の敷地内には、もはや汚染水タンクを設置する場所が無くなりつつある。
しかし汚染水を別の場所へ移送しようにも、受け入れる場所も移送の手段も無い。
一方、低レベルな汚染水を海へ放出するという打診は、当然ながら地元自治体に拒否されている。
よって、各地の原発の再稼働が決まったあたりのタイミングで、世論の反応を見ながら「低レベルなもの」が海洋に放出されるという「事故」が起こり、世論の反発が少なければ、事故ではなく本格的な海洋放出という方針が打ち出されることだろう。だって、「他に方法がない」「仕方がない」というのが彼らの考え方なのだから。

この2年間の状況は、たとえて言うなら、穴の開いたお玉と、穴の開いた鍋で、ひたすら核燃料カレーを作ってきたようなものだ。
事故から2週間の時点で、原子炉圧力容器の圧は大気圧と同等レベルであり、注水量を増やしても水位が上がってこないのだから、既に圧力容器と格納容器に穴が開いており、核燃料もこぼれ落ちていることは自明だった。だが、東電はあくまでもそのことを認めようとしなかった。
カレー汁が鍋から落ち、コンロから床にこぼれ、床下から家の敷地外まで臭いが広がって近所から苦情が来ているにもかかわらず、「安全です!」「大丈夫です!」「今やってます!」と言い続けていたようなものだ。これが事故後約2か月間の状況である。

彼らに原子炉容器破損と核燃料漏出(メルトスルー、メルトアウト)を認めさせたのは、皮肉なことに、自ら強行した「水棺」作業の失敗がきっかけだった。
水棺とは、原子炉格納容器と圧力容器を水で満たして核燃料を冷却しようという、当時の計画のことだ。しかし、本来原子炉格納容器は全体を水で満たすような設計にはなっておらず、容器が水という重量物で満たされることによる倒壊や、再度の地震や津波による被害を懸念する声があった。とくに激しく水棺の実施に反対していたのは共産党であった。
すると、なぜか東電はシャカリキになって、いつもの尻の重さからは考えられないくらいのものすごい勢いで水棺作業の実施に取りかかり、そして案の定、これでもかと注水したのに全く上がらない水位という現実のデータを突きつけられて、ようやく彼らは原子炉格納容器の破損と、溶け落ちた核燃料がさらに容器の外に漏れ出ている可能性を認めた。

これを見て分かるように、彼らは、共産党から「やれ」と言われると、絶対にやらないし(津波対策等)、やるなと言われると、ものすごい「こだわり」をもって強行してしまうのである。この性質を、もっと原発反対派は利用すべきだろう。

それでもなお、燃料の大部分は容器内、つまり地上よりも高いところに残っているという希望的観測を捨てていないものだから、今も注水を続けるほかなく、汚染水も増え続けている。

敷地内に置かれた汚染水は、突貫工事と手抜きのせいでたびたび漏洩事故を起こしている。というより、そもそも原子炉容器が容器の役目を果たしておらず、事実上、敷地の土とコンクリートが核汚染の広がりを防ぐ最後のフィルター・壁になっているというのが現在の偽らざる状況だ。
もはや、何号炉がどうのこうのという状況ではなく、敷地全体そのものが核燃料と土と水の混ざった原子炉状態なのだから、その前提で考えることになる。これは事故に対する包囲網の後退を意味するが、遅かれ早かれそういう対処にならざるを得ないだろう。
そして、これはもはや事故時に原子炉内にあって、今は地下のどこかに堆積している核燃料の回収など、少々の技術の進歩では無理だということを意味する。スリーマイルのような核燃料の回収はもはや望めず、チェルノブイリと同じく、漏洩対策を施した後に、内部に放置する他ない。問題は、これをいつ政治が決断するかになる。しかし、「国土喪失」が現実のものになることを認めた上で、原発を使い続けることなどできるのだろうか。


ここ数日、敷地内の井戸や縦坑からの放射性物質の検出というニュースが相次いでいるが、海への漏出だけでなく、内陸側への地下水の流れにも気を配る必要がある。
地下水の動きというものは数十~数百年単位で考える必要がある。今は海側への漏出に心を奪われているが、1Fから内陸部への途上にある井戸水の定期的なチェックは必須だろう。



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