スポイチ編集長日誌

最近はGTAオンラインの攻略ばっかりです。
日付そのままで修正・追記したりします。

「改革派首長」を止めるのは「議論」などではない

2012年06月21日 | 大学・改革
まるで亀田兄弟?
なにかと話題を振りまいている大阪市の橋下市長について、「(改革で)楽に勝てそうな所しか敵に回さない。まるで亀田兄弟のマッチメイクだ」という内容のコメントを見つけて、おもしろいなと思いました。確かに橋下さんが叩く相手って、職員組合だとか日教組とか大学教員とか、どんなにガンガン叩いても相手が直接行動に出てくるおそれもなく、そこらの下流市民が拍手喝采しそうな「この不景気にも惰眠をむさぼってやがる感」バリバリの連中ばっかりですもんね。
いつぞや「現業職員の特別採用(つまりZとかB採用)をチェックする」とか言ってたので、ああ、この人死ぬ気だなと思ってちょっと心配しましたけど、いつの間にか雲散霧消で沙汰やみになってますし。
で、続いてのターゲットは図書館だそうです。

中之島図書館を廃止へ 橋下市長と松井知事

大阪・中之島図書館を廃止へ 橋下市長「あんなところに図書館を置く必要はない」

図書館が武装して反撃してくるのはアニメだけなので、また順当に楽に勝てる相手を選んだなあって感じです。


軍人みてえな人だな
「橋下徹」というのはある種の発狂誘発ワードなので、さっそく「廃止じゃない」くて「ただの移転」・「ただの統合」で「本を捨てるわけではない」そうですが、いずれにせよ、「先の先」どころか、今、手前が握っている駒すら見ない人は世に多いので、「改革派」としてはさぞ「次の次の一手」を打ちやすいでことでしょう。

橋下さんという人は、ツイッター等で自らの役割を、改革の尖兵という意味で「騎兵」にたとえるなど、なかなか軍事的な考え方をする人なので、決して組織が強固とは言えない自派の損害が増えるような戦いはしないでしょう。実際、相手が原発および関西原子力村の全戦力になりそうという展開の前にはさっさと撤兵しましたし。
こういう、原理原則にとらわれない、よく言えば柔軟、悪く言えば定見のない(定見があるとしたら「弱そうなヤツ」「左翼の連中」から叩くのが定見)人に対して、机上の頭でっかちの「学者」が原理原則論で立ち向かってもまず勝てないか、煙に巻かれるだけに終わる。


まず最大射程でブッ放せ
そう言えば、だいぶ昔のことになりますが、私の出身大学も、時の市長が行なった改革(いわゆる横浜市大「改革」)によって、以前とはまったく異なった学校に成り果てましたが、世の自称「改革派」というのは、いつもまずは過激で極端な案をぶち上げて、相手を慌てさせることを狙って来ます。これは別に改革派首長に限らず、まあ交渉ごとの基本みたいなものです。橋下さんだってよく使ってますよね。
改革派が、どこかの組織や施設を「廃止しろ!!」とか言っても、実は廃止する気はあまりなく、本当の狙いは「機構改革」を行なって自派のブレーンを天下りで押し込んで対象組織の人事権を奪取することだったりする場合があります。当初「廃校も選択肢」などと大々的に喧伝された横浜市大「改革」の場合もまさにそれでした。
教員が人事権を握っている「普通の大学」では、市職員出身のヤメ官僚コンサルタントが大学幹部になれる可能性などまずあり得なかったので、「廃校も選択肢!」などと地元マスコミをも使ったリークで世間知らずな大学人を震え上がらせ、「決めるのは大学です!」というかけ声の下、送り込んだ官僚や内応した教員の手で「機構改革」を行なわせ、めでたく新大学の下、彼を「大学経営幹部」にしてあげたというわけです。
この真の目的を達成した途端、彼らは大学改革に飽きたのか、肝心のカリキュラム運営だの現場の雑務の多くは、何も権限を持たなくなった現場の教員に丸投げにされましたとさ。改革派が現場に押し付けた「TOEFL500点問題」とかでバカにされてネタになったの、覚えてるかな!?


「要る」「要らない」の土俵に乗るな
で、狙った相手に対し、改革派は一方的に問いかけます。
その施設は、組織は、本当に「必要か、不要か」「その必要性を証明しろ!」と。
こういう話になったら、ターゲットにされている側がまず負けます。
なぜなら、人がつくったものの中に、「絶対に」必要なものなど存在しないからです。
いいや、物だけではない。人間でさえ、私も、あなたも、市長も、誰でも、絶対に必要などという存在はこの世になく、すべて他の誰かで代替可能な存在だ。
よって、「必要性の証明」という論争に乗ったが最後、いずれ「廃止か、規模縮小・予算削減か」という二者択一を飲まざるを得なくなり、後は予算削減の規模ぐらいしか交渉の余地がないというところまで自動的に追い詰められることになります。
そして、「廃止にされなかっただけでもありがたく思えよ」などと、難癖をつけられた側が、難癖をつけた側の慈悲と理解に感謝させられる、というおかしな光景が出現します。
これは、やくざのやり口と同じです。


防衛戦争はアホのやること
軍事的な思考パターンを以て攻めてくる相手には、軍事的な思考を以て相手をする必要がある。
ハンニバルにローマを攻撃されている時に、素直にローマの防衛に向かうのはどしろうとのやることです。ローマ攻略を失敗させるには、逆に彼の根拠、すなわちカルタゴを攻撃して陥落させてしまえばいい。

市大「改革」の場合、その推進役たる中田宏氏をして自ら市長の座を投げ出させたのは、結局のところ、「改革」に対する正面からの批判でも、大学人()による学問の自由()だの大学の自治()だのについての原理原則論でもなく、自らが大々的に進めていたイベントの大失敗による責任追及の動きと、女性スキャンダルによる精神憔悴でした。
真正面から政策論争()なんぞ挑むより、騎馬武者の乗馬の脚を撃つほうが早かったわけだ。


時代を変えるものは
私はね、別に大学だの図書館だのの一つや二つ、本当に必要とあれば別に潰しても構わないと思ってるんですよ。
ただ、自称改革派が、本当に手をつけなくてはいけないこの国のガンを放置したまま、どうでもいい弱小組織や外郭団体いじりによるマスコミ向けアピールばかりを繰り返している現状は違うだろうと思います。

しかし…、現在大手を振っている改革派が、そのメッキがはがれるとともに尻すぼみになっていき、「あの橋下さんでさえ、組合や教員をいじめて、外郭団体をちょこっといじっただけで終わってしまったな」「結局何も変わらなかった」と、まだ「正規の手続きによる体制変革」に望みを持っているそこらの他力本願一般市民を徹底的に絶望させることで、初めて時代は新しい段階に移るのかも知れません。



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