スポイチ編集長日誌

最近はGTAオンラインの攻略ばっかりです。
日付そのままで修正・追記したりします。

原発と老人は相性が良い

2012年06月17日 | 社会
大飯原発の再稼働が決まったようで。
もちろんこれは大飯原発だけの特別扱いではなく、この国政府のいつものやり方である、「ちょっとだけ!ちょっとだけだから!」→「いつの間にやらズッコンバッコン。生で。」のパターン通り、今後すぐに他の原発、それも建設から40年をとうに過ぎたような老朽艦でさえも、次々と「戦列復帰」してくることであろう。
実質老人達が動かす国では、そうなるのが当然というものである。

ここで、ちょっとイヤなことを書く。

・原発推進である
・合理的である
・若者である


この三つは一人の個人の中で同時に成立し得ない。

つまり、
原発推進かつ合理的な人間なら、若者ではない。
合理的な若者は原発推進ではない。
原発推進を唱える若者は合理的ではない。


なぜか。順番に説明する。
ここで言う「原発推進である」というのは、単に「もっと原発をたくさん造って原発依存度を深める」というだけでなく、これまで原発を任されてきた人々の行為や事故の原因について不問のまま、再び原発を稼働させることを認める、つまり、今のままの体制で何となく既存の原発を再稼働させ、そのまま何となく動かし続けることを是とする態度を指す。
こう問えば、老人から老人保守政治家までの多くが、「いずれ原発は段階的に別のエネルギーへと転換するべき」と口にはするが、代替エネルギーの確保どころか、これまでこの狭い地震列島に建設しまくった原子炉の廃炉手続きや予算の目途すら立たないのだから、そんなものは画餅である。
つまり、「いずれ」とは、自分の死後に誰かがやればいいというぐらいの意味であり、黙っていてそんな「いずれ」の日が来ることは永久にないだろう。

老人にとっては、この先短い自分の人生の間にいつ起こるか、あるいは起こるかどうかも分からない原発事故の心配をするよりも、この夏を猛暑で死ぬことなく乗り切り、自分の寿命までの「逃げ切り」を図るほうが大事だ。
そして、老人は放射線に対する感受性が低い。仮に事故が起きたところで、放射線の晩発障害で死ぬよりも寿命が来るのが先だろう。
そう考えるのが合理的というものである。

この種の構造は、例えば「年金」とか「就職氷河期」とか「増税」とか、あらゆる問題の根っこに存在する。

実は老人だけでなく、官僚や企業の役員等にとってもこの構造は同じだ。何か重大な決定を推進したり、画策したりした者が、自分の異動や引退の後になって責任を問われるケースは、そう多くはない。
つまり官僚や企業役員らもまた、合理的に振る舞おうとするほど、老人的な発想になっていく。もっとも、政策を実行出来たりする官僚や、企業の役員自身が老人に近い年齢であるという場合も多いが。

今、日本に蔓延する、「あと○年保てばいいや」という思想。

彼らが死ぬか、役職から引退するか、異動するまで事故が起きなければ彼らの勝ち。
だから、先の短い彼らがこの賭けに出るのは、ある程度合理的と言える。
老人帝国は、自分の想定寿命よりも先の将来に対する感受性が低い。

そして、福島第一はこの賭けに負けた。
その代償はあまりに大きかった。
福島第一の事故は、確かに最悪レベルの事故だが、それでもまだ「最悪」にはなっていない。

もしも溶融燃料の落下時に爆発が起きていたら?
もしも放射性物質の放出時にことごとく陸地側に風が吹いていたら?
もしも4号機燃料プールが完全に干上がっていたら?
もしも余震で建屋が完全に崩壊していたら?
もしも余震で再度津波が来襲していたら?

これらはほんのちょっとの偶然や奇跡で回避されたが、この先も回避できるとは限らないし、他の原発でも同じことだ。
確率論的にはだいたい40~50年に一度は原発の過酷事故は起こるのだ。「不沈艦」など存在しないように、「事故らない原発」なども存在しえない。だから、若者がこの賭けに乗るのは、とても合理的とは言えない。

同じ理由で、若者が今回の事故についていわゆる安全厨として「あんぜんあんしん」論を振り回すのも合理的とは言えない。現在老人の安全厨ならば、無責任なことを言ったり書いたりしていても、近いうちにあの世へと逃げられるが、今若者である者はそうは行かない。

福島の原発事故があろうとなかろうと、この先ガンや白血病になる人は必ず一定数出てくる。その時に批判され、恨みを買うのはその時には既に死んでいるであろう現在の老安全厨ではなく、オッサンや老人となってまだ生きている元若者の安全厨である。

日本は今やガン大国だが、冷戦期の大気圏内核実験によって地表にまんべんなく降り注いだ放射性物質のせいだと言う人は居ない。
今回の事故でも、まるで状況を「冷戦期の核実験で全国に放射性物質が降下した」のと同じにするために、いろいろなことが行なわれることだろう。万が一にも癌等の発症に有意の地域差が出たりしたら困るからね。あれは、そういうことなんだと解釈している。



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