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日々、心地よく

日々の雑多なことを書いてます。備忘のための日記が多いかも。

陛下、お味はいかがでしょう

2024-09-01 17:46:00 | 読書
陛下、お味はいかがでしょう
「天皇の料理番」の絵日記  工藤 極 著

前回に続き、食に関する本を読みました。
とっても面白くてあっという間に読み切りました。

1951年生まれの工藤さんが宮内庁の大膳職(洋食担当)として腕を振るわれた時のいわば回顧録で、工藤さんの人生のアドベンチャーを天皇家への尊敬と愛情をもって綴られています。

まず、宮中晩餐などを除いて普段は昭和天皇は腹八分目で質素な物をお召しになっていたそうです。でも地方行幸などの際は宮内庁から事前に「量を少なめに」と伝えていても地元の幸を使ったご馳走を用意してくれる事が多く、そのような時は残さずに全て召し上がったそうです。「残すのはおもてなししてくれた人に対して失礼」とのお考えからだそうです。尊いです。

また、「身土不二(その土地で生産された物を食べる)」「一物全体(食べる時は一部だけでなく全体を食べる)」をモットーとされていたそうです。

お正月も天皇家は朝から宮中祭祀と一般参賀で朝からゆっくりお召し上がりになる時間がないので、ワンプレートでおせちのようなものをお出ししていたとか。

普段は質素な食生活とはいえ、華やかな宮中祭祀のエピソードも多くあり、読んでいて「へえぇ」と何度も思いました。

笑ってしまったのは、宮内庁で働く、言ってみれば工藤さんの同僚であるAさんが侍従として皇太子御一家にお仕えしていた頃(皇太子=現上皇。今上天皇がまだお子様の時)に葉山の御用邸でご家族で手漕ぎボートに乗られていた時のエピソードです。

海の外側には海上保安庁が護衛、近くは護衛官と侍従達が手漕ぎボートで見守っている時になんとAさんは海に転落し、カナヅチのAさんは手足をバタバタさせて溺れたそうです。

それを見た当時の皇太子殿下(上皇)はAさんを助けようと海に飛び込みAさんのところに近づいていったらこともあろうかAさんは皇太子にしがみついたとか。

二人ともすぐさま他の護衛官によって引き上げられたそうですが、本来お守りすべきお方にしがみついたというので周囲はショックを受けたそうですが、皇太子殿下は「良かったです」と笑顔だったそうでAさんも何のお咎めもなかったそうです。
なんとも微笑ましいエピソードですね。


さいごに。
誰であっても「食べる人のために心を込めて調理をする」事を私は忘れていました。家族のために丁寧に料理しようと思える、一冊でした。しばらくの間は、ね😉





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ゆうべの食卓 角田光代

2024-08-25 23:12:00 | 読書
ゆうべの食卓 角田光代

引越し準備の都合で、段ボールを置いていくスペース確保のために早々とピアノを運び出したのでピアノが弾けなくなり😂

おかげで読書が捗ります。
角田光代さんの「ゆうべの食卓」。

何の予備知識もなく読み始めたらこの本、短編集で。2編くらい読んだあたりから違和感が。。登場する人々が物分かりの良い善良な人しかいないのです。

あとがきのほうにワープしてみて腑に落ちました。オレンジページへの連載だったのですね。よく見たら本の表紙の下部にちゃんと「オレンジページ」と入っていたのに気づきませんでした💧

確かにオレンジページで、ドロドロの愛憎劇やドキドキの冒険ストーリーなどありえない😄

食べ物にまつわるお話で、ほっこりしたりちょっぴり切なくなったり幸せをお裾分けしてもらったり、読後爽やかな気分になりました。

今回主人公の脇役の人が次のストーリーでは主役になっているのも面白い。

多忙な女性の話の中で、ミールキットを自分で作って冷凍しておくくだりがあって、何だか参考になりました。平日はいつもヨシケイの宅配を利用しているのですが、使い勝手が悪いなぁと思う事が割とあるので、今度自分でミールキットを準備してみようかと思いました。

実は私にはこれがこの本を読んでのいちばんの収穫だったという😄




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失恋カレンダー 林真理子

2024-08-19 00:18:00 | 読書
失恋カレンダー 林真理子

旅に出るといつもより本を読めるので、いつも何冊か持参しています。帰りの飛行機の中で読みました。

林さんの作品はほぼ読んでいる(はず)のですが、そういえば失恋カレンダーはまだ読んでいませんでした。旅行の少し前に古本屋でこれを見つけて即買い。

内容的に読者は当時20代前半〜中頃の女性だったのかな。自分よりだいたい7-8才くらい上の方々でしょうか。高校生の私から見た大学生、社会人の女性は憧れの存在でした。バブルという事もあってかとても華やいで見えて。

当時の大学生やOL(今や死語)の、携帯はなく家電(いえでん)を使う・ディスコに行く・クリスマスをロマンティックに過ごすなど、そういえばそうだったなと懐かしく。

もしも失恋カレンダーが現代バージョンになったらと考えると、半分以上話が成り立たないような気がします。そのくらい時が経ったという事ですね。いろいろな意味で。

この本は林さんの中では初期の作品という事になるのでしょうが、林さん独特の感情の機微の描き方は明確に存在していて、林真理子ワールドを楽しめました😌


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文化の脱走兵 奈倉有里

2024-08-16 00:00:00 | 読書
文化の脱走兵 奈倉有里 著

旅行のお供に何冊か連れてきた本のうちの一冊。夜寝る前と機内で一気に読みました。

ロシア文学者・翻訳家である奈倉さんのエッセイ集です。

エッセイというとこれまで軽めのものを好んで読んできましたが、こちらの本は一つひとつに重みがあって、涙が出たり深く考えさせられたりしました。

どのエッセイもロシアの詩が引用されているのですが、どれも鋭い感性が光り、そしてとても自然で上品な日本語だなと思いました。

奈倉さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思います。


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テヘランのすてきな女

2024-08-05 00:03:00 | 読書
テヘランのすてきな女  
  金井真紀(文と絵)

著書の金井さんがイランで、現地コーディネーターの協力を得ながら様々な分野の女性へ取材したレポートです。

女性のために働く弁護士、チャドル(イスラムの教えに則り身体や髪を覆うための布)をかぶるのをやめた主婦、サッカー選手、トランスジェンダー、テヘランで暮らすアフガンからの難民などとにかく色々な分野の女性たちが登場し、誰もが生き生きと描かれています。

イランの法律では同性愛は死刑であるとか妻は夫の許可がないと海外に行けないなど、信じられないような事がまかり通っていることをはじめて知りました。

ただ、女性に共感するあまり、特にイランの法律がおかしいよねという事を言いたいのはわかるのですが、「はぁ?」などのリアクションが多く、この部分は正直読んでてあまり気持ちのいいものとは言えませんでした。

奇しくも数日前にハマス幹部のハニヤ氏がイランでさつ害された事でイスラエルとの間に緊迫感が一気に高まっています。










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