少し前に本屋で目に留まり何気なく買ってみたシーラッハの「珈琲と煙草」。
あっという間に読み終え、そのまま引き込まれるように「犯罪(これだけはkindleで買ったので写真なし)」「テロ」「神」と続けて読んだ。
どうしてこんなにシーラッハに夢中になったのかといったら、たぶん、シーラッハは殺人や自殺などの重いテーマを淡々と、そして自分の価値観で人を裁いたりせず判断は読者に委ねるというスタイルが、どの作品にも貫かれていて非常に好感を持ったからだと思う。
シーラッハは作家になる前は刑事事件を扱う弁護士だったそうで、彼はドイツ人だけれども、もしも自分がこの先何か裁判に関わるような事があったら、こんな深い人間性を持った弁護士にお願いしたいなぁと思ってしまうほど。
同時に日本語に翻訳された酒寄進一さんにも敬意を表する。どの作品も日本語訳への違和感が全くなかった。
あれこれ考えさせられるテーマであるにもかかわらず、爽やかな読了感に満たされるシーラッハだった。他の作品も読みたい。