NiU「鳴滝塾」

産官学民が連携して地域課題の解決策を探ろうと
新見公立大学に設置されています

第30回鳴滝塾

2018-06-09 | ☆定期講座
 6月9日(土)~10日(日)、広島県庄原市総領町で開かれた第36回「逆手塾」に鳴滝塾として参加しました。
 逆手塾は和田芳治さん(第25回鳴滝塾講師)が主宰し、熊原保さん(第29回鳴滝塾講師)も主要スタッフとして活躍されています。
 今回の逆手塾のテーマは「食べ物 食べ事 拡命」。広島県はもとより、福岡、香川、東京、京都、石川、兵庫、熊本から72人がエントリーし、鳴滝塾からも5人が参加しました。会場の「ふるさとセンター田総(たぶさ)」は廃校を利活用した簡易宿泊・研修施設で、講演や食事は講堂で行われました。
 講堂のステージ隅には有名な「落書きだらけの白いピアノ」があり、遠来者をひときわ歓迎していました(落書きの中には永六輔さんのサインとメッセージもありました)。
 

     落書きだらけの白いピアノ         永六輔さんのサインとメッセージ
 ゲストスピーカーもそろい、メンバー数人がギター伴奏でオリジナル曲を披露。午後1時、熊原さんが「里山をキーワードに、この地に生きる喜びと幸せを実感できるよう、ネバーギブアップで」と開会あいさつ。宮崎文隆事務局長が施設のガイダンスを行いました。
 

   開会を待つゲストスピーカーたち   「ここは地球のど真ん中…」と歌う塾メンバー
 

    開会のあいさつを述べる熊原さん        ガイダンスする宮崎さん
 
 和田さんの長男・和田周大さん(中国地域創造研究センター)の司会進行で、リレー講演が始まりました。
 メインゲストは、「子どもが作る“弁当の日”」を提唱している竹下和男さん(香川県)。竹下さんは、共働き世帯の増加や教員の働き方改革などを背景に午前中だけの「時短」が進んでいる小学校の運動会の原因の一つに「弁当問題」があると指摘。「朝早く起きて弁当を作り、ましてや雨天中止にでもなれば翌日も作らなければならない」というわけです。
 
 講演する竹下さん
 子どもが料理に関心を持ち始めるのは5歳がピーク=下図=で、台所に立ちたがる子どもに「料理を作って食べることが楽しい」と思う心を育てることが大切だと述べられ、映画やドラマになって感動を呼んだ「はなちゃんのみそ汁」(安武信吾著)の紹介もありました。
 

 
 続いて、日本で唯一の動物園用飼料生産販売会社を経営する西窪武・あけみ夫妻(京都府南山城村)が登場し、武さんは「自然環境に応じた食べ物の摂取が大切」と説かれ、「食べ物をエサのように食べている肥満のアメリカ人」と渡米見聞も話されました。あけみさんは4人の子育て体験を語られました。

     子育て体験を語るあけみさん=左=と食べ物とエサの違いを話す武さん
 次に、〝比婆のやまん婆〟〝ひばん婆お富〟の異名がある小林富子さん(庄原市東城町)が登場しました。
 
 講演する小林さん
 比婆郷土料理研究家でワニ料理の達人でもある小林さんは、「大地の恵みを食卓へ」をコンセプトに、知恵と技と経験で農村女性の起業をサポートしてこられた。「女性が頑張る8つの〝かあさん茶屋〟」=下図=の営みを紹介して、「女性の力を表に引き出す積極的な生き方」を、迫力ある「アイ・ラブ・ワニの歌」を交えて提唱されました。
 ワニとは広島県北の方言でサメのことで、広島県北の食文化にサメが登場したのは、海に遠い内陸部の地形に起因している。サメの身体組織には尿素が蓄積されていてサメは体液の浸透圧を調整するために尿素を用いている。そのために腐りにくく、海より遠い三次・庄原地域まで運ぶことができたといわれている。
 

 
 ※この日の夕食交歓会で、小林さんは新見市哲多町蚊家の出身、新見市内には多くの親類縁者があることがわかりました。
 
 さらに、NPO法人「いのちの応援舎」の創設者で助産師の山本文子さん(香川県高松市)が登場し、「食べることは命と同じように大切。食事は命とお乳の素」と力説されました。
 
 講演する山本さん
 締めくくりは、熊本大学名誉教授で(社)トクノスクール・農村研究所理事長の徳野貞雄さん(福岡県北九州市)。「<安くておいしい><安全で安い>を実現するために競争してくれというのはおかしい。<何を食べるか>よりも<誰と食べるか><どう食べるか>だ」などと食の根本を見据えた話を展開されました。
 
 講演する徳野さん
 午後5時、リレー講演が終了。「食べ物 食べ事 拡命」を満喫した4時間でした。夕食交歓会の準備が進められるなか、エコストーブの実演が行われました=写真。夕食に出されるご飯とスイーツピザが作られました。
 

 
 夕食交歓会は、逆手塾名物の〝おじさんフォーク〟でスタート。ずらり並んだ山里料理や各地の地酒を口にして参加者全員がスピーチを行い、鳴滝塾の郷木章コーディネーターも〝鬼サミット〟や〝鬼だらけの里〟などこれまでの営みを話し、来年の逆手塾(6月8日~9日)の新見での開催を確認、会場の別所アウトドアスポーツセンターを紹介しました。
 

 

 
 郷木コーディネーター

 
 一夜が明け、山里の新鮮な空気を吸って朝食。卵かけご飯のおいしいこと。
 参加者全員の「私の想いを聞いてください! 」がスタート。鳴滝塾の公文裕巳代表(新見公立大・短大学長)ら新見勢4人もマイクを持ち、来年の「逆手塾in新見」をアピールしました。
 午前11時過ぎ、佐渡島から駆けつけた藻谷浩介さん(日本総研)は、会場の講堂内を飛び交うツバメのつがいを見て、「これを都会の子どもたちに見せたら、夫婦仲のよさがよく分かる」とひとこと。佐渡市と東京23区の高齢化率と生活保護率を比較して、東京と地方の豊かさを論じられました=写真

 
 昼食は、ふるさとセンター田総から車で約30分のレストラン「コージーガーデン」(社会福祉法人優輝福祉会が運営する障害者就労支援施設)で、藻谷さんと一緒に野菜バイキングをいただきました=写真
 

 



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