NiU「鳴滝塾」

産官学民が連携して地域課題の解決策を探ろうと
新見公立大学に設置されています

地域共生「鳴滝塾」Ⅰ①

2020-10-24 | ☆定期講座

 
 10月24日(土)午後2時から新見公立大学地域共生推進センター講堂で、第1回地域共生推進センター「鳴滝塾」を開いた。前半はコロナ禍のため延期されていた地方創生にいみカレッジの総会(鳴滝塾50回の総括-報告と考察-)が行われ、後半は岡山大学地域総合研究センターの三村聡センター長(教授)を招いて特別講演「地域資源としての大学」が行われた。

拍手で迎えられる三村聡教授
 三村教授は「今の時代は、どの方向へ進んでいったらよいのか見えない。予測が困難な時代、答えがない時代に直面している。ただでさえ見えにくい社会なのに、激甚災害やコロナ禍で、もっと見えにくい社会になっている。そのような中で、少子高齢化社会にどう向き合っていくのか。また、社会の中に入り込んでいるAIやビッグデータにどう向き合い、どう活用していくのか。日本では1年間に、交通事故で亡くなった人より自殺者の方が多い。これを〝貧困〟といわないのか。食べ物だけが〝貧困〟ではありません。日本人は餓死する人はありません。そういった〝先進国病〟的なことも含めて地域社会を、新見を、どのようにして次の世代へバトンを渡していくのか。それを真剣に考えなければいけない」と問題を提起した。
 そして人口動態や東京一極集中などについて話し、「小中校の時代から地域を愛する気持ちを育む。地域の良さを知る。なかなか分からないものだが、地域がいかに素晴らしいか、地域の資源を含めて教えていく」と児童生徒への「地域学」の重要性を話し、「(過疎など)新見市全体を市民の皆さんがどこまで本気で考えているのか。(互助を含めて)自分自身、何ができるのか。一人ひとりが自分のまちを守る覚悟を持っているかどうか。(公助を合わせて)そこの議論が大切になってきます」と述べた。

講演する三村聡教授
 新見市の人口推移を示して「新見公立大学の地域資源としての人材育成」に触れ、「次の時代を担う若者を日本国中から集めて育てる。新見のフィールドで実習してもらい、さらに障がい者も含めて安心安全に暮らせる社会をつくろうというのが地域共生推進センター。建物だけではない。人に魂を入れる。こういう取り組みをいよいよスタートさせた。自助・互助・共助という中に、どれだけ大学が資源として入れるか。大学は最高学府として、専門知識を身につけながら社会に役に立つ人間をつくっていくというのが使命です。
 看護・介護・保育をもっている大学が地域にあるというのは、ものすごいこと。しかも市民が入れる建物(地域共生推進センター・学術交流センター)が大学にある。あすの地域を守るのは、…子どもや孫にバトンを渡すのは、…私たちのツケをそのまま子どもたちに渡してはいけない。本気にならんといかんのです。それぞれの人たちがどういう力で、どういう役割だったら果たせるのか。力を結集しなければならない。崖っぷちです」
 三村教授は新見市内で実施している岡山大生ら学生による森林ボランティア活動や様々な事例を紹介し、「国は財政が非常に厳しいので、地方自治体に今までのような補助金を出せません。頑張る自治体に出す。首長が霞が関、永田町へ行って予算を取ってくる時代ではない。国は、自主的かつ主体的に夢を持って前向きに取り組んでいる自治体を支援する。地方創生に金の魔法の杖はない。市民の皆さんが何をするか考えないと、まちは元気にならない。高梁川流域ほどポリシーがあって結合している地域はない。歴史と文化に市民のプライドがある。これを子どもたちにきちんと伝える。そういう議論を始めよう。自助・共助・公助とは何なのか。もう半歩進めませんか。主役は皆さんです。自助です。その絆の総体でまちをつくれば、……辛抱のしどころです」などと話した。
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