池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

7のゼクエンツ

2006-02-17 | 演奏審査・音楽講師育成

今月も音楽教室の新任講師の研修を行いました。ピアノ講師だけでなく弦・管・声楽の講師も対象というのと、ピアノの演奏法を考える上でも有意義との理由で、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 第1楽章(Grave)」の分析と演奏法―をプログラムに入れ、ピアノで弾きながらレクチャーしています。
モチーフの発展のさせ方、緩急の設計、楽器の極限なまでの使い方、音楽の崇高さ…といった観点から、自分ならどう演奏するか、しかもそれをピアノでどう表現し得るか、と。

この曲の終盤で7の和音の連鎖になります。7の和音というのはド・ミ・ソ、にシを加えた形で、じっとしてはいられず、はやく普通の三和音に戻ろうとする性質のある和音です。
それなのに7の和音がまた別の7の和音、それもまた別の7の和音…とドミノ倒しのように続いていくのが7の和音の反復進行―ゼクエンツ(英語ではシークェンス)と言われるものです。
この技法は、バッハはもとより、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、シューマン、ブラームス、ラフマニノフ、ブルックナー、スクリャービン…と、あらゆる時代の作曲家がクライマックスで使った常套手段です。
常套手段…作曲家として恥ずべきことでしょうか?
歴史に残る、そうそうたる作曲家が、皆「この手法は良い!」と認め、受け継いできた技法であり、だからこそ音楽が調性で書かれている限り、時代の趨勢にも負けず、最後まで生き抜いたのです。
反抗・反発・破壊もチャレンジなら、継承・保守もそれに負けない「冒険」だと思います…。

そんな話をいつもこの部分に差しかかるとするのですが…今回は、もう一つおまけがありました。
ジャズ・ピアノの講師が、「枯葉―Les Feuilles Mortes」の解説をしたのです。
この曲は、まるまる7の和音の連鎖だけで出来ているんですね!しかもベースはド・ファ・シ・ミ・ラ・レ・ソ…と、ただただ規則的に、階段のように…。



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