池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

猫母仔

2006-03-12 | 家族・子供の頃

小学校から高校までの間に3~4回猫を飼った。
僕が幼児のころ数ヶ月間親代わりになって育てて下さった、幼稚園の先生からいただいたのが初めての猫。
「新居」にすぐには馴染まず、家の裏に隠れてしまい、よく探した。慣れると素直な、おとなしい猫だった。
1年ほど経ってその猫の実家に連れて帰ると、母猫としばらくじっと対面し、徐々に近づき、においを嗅いですり寄った。
その猫はやがてお腹をこわし、父が口の隙間からスポイトを差しこみ毎日薬を飲ませていたが、死んでしまった。
僕は自転車の荷台に乗せ、来光川の川原に行き、毛布にくるみ、寝床にしていたダンボール箱に入れて埋葬した。

いなくなると程なく、不思議に誰かが子猫を家の前に置いていく。
顔を出すと足にまとわりつき、帰ろうとしない。帰る場所も無い。牛乳を与えるとおいしそうにぺちょぺちょ飲む。
じゃれさせると距離を取り狙いを定め、お尻をプルプル振り、弾丸のように飛び出した。僕らは大喜びした。
お風呂が大嫌いで、お湯に入れられるとわめき、暴れ、抵抗した。
「一度くらいは仔を産ませてあげましょう」との親の計らいで、不妊手術はせず、やがて妊娠した。

発情期の猫というのは、まるで人?が変わったようになる。
一日中、心ここにあらず、といった風で、そわそわし、視線は定まらず、人の言うことも聞かず、もだえ、絶え間なく腹の底からうなされた声を発する。
鳥や動物の、繁殖期のパワーはすごいものだ。ハチドリなどが時速100キロで飛んだり、命がけで闘ったり、精巧な巣を作るのもみな、繁殖期の行動。
ヒトには繁殖期がない代わりに、そういうすごさも失ったのか…?

その猫はヒト並みに、たった1匹だけ産んだ。ハツカネズミのように白く、小さかった。
どこに行くにも首根っこを優しくくわえて連れていた。排泄物もすっかりきれいに舐めあげた。
仔猫はお風呂で体を洗われる時、気持ち良さそうに目を閉じておとなしくしていた。それを見た母猫はそれ以来、洗われる時にわめいたり、抵抗したりしなくなった。
家は書道教室をやっていたので、生徒たちに見せると喜ばれた。「ずっと飼っている訳にはいかない」と親に説得され、かわいいうちに、と仔猫は生徒に譲られた。
母猫は探し回った。



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