池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

「12音技法」は、いらんかぇ~

2006-10-20 | 作曲/全般

12音技法…便利なツールです。最近、色んな応用法に気づき、ますます重宝してます。
音大などの先生によっては、音列の作成・操作方法を1年生にも教えてしまうそうですが、僕の作曲の先生は一切教えてくれませんでしたので、今更ながら、かも知れません。
しかし必要に迫られ、なんとかしなきゃ、と自分に合ったやり方を見つけたのは、人に教えられるより良かったと思います…見つけてしまえば「なあんだ!」というような物ですが。
人から教えられた物は自分の創作ではないので、プロならそのまま使う訳にはいきません。教えられた事が多ければ多いほど、プロとしてやってはいけない事が増えていく。
留学などして何人もの先生についた人など、もっと大変でしょう。教わった事をそのまま日本で紹介する貿易商をする積りはないでしょうし…。
何にも教えない先生は一番良い先生です。ただその場合、先生の作品の追従者(コピーマシン)に成り下がる危険性があるのですが(自戒をこめて)。

さて、僕が我流で開発?した12音技法の応用法。
例えばティンパニーの4つの太鼓(E・A・D・G とする)を1回ずつ叩く場合、何通りの叩き方があるか。
ex) - E・A・G・D/ E・D・A・G/ A・E・G・D…で、まず3通り。
答…4の順列なので4×3×2×1=24通り。
これを書き出し、適当に選んでいけば不規則な音型の羅列が出来るわけです。
もし、そういう操作無しにいちいち考えていたら時間がかかってしょうがない。長くは書けず、演奏したらあっという間に終わってしまう。物足りない、変化が早過ぎる。
僕みたいな作曲家は音符の「大量消費者」ですので、これで能率がぐんと上がりました。

これは和音にも、旋法にも応用出来ます。ただし、リズムに関しては原則的に機械的な操作はせず、頭で考えます―リズムは最も生理的、根源的なものですので。
そんな時は、これが現代音楽の作曲家か?と思うくらい(伝記の作曲家の一場面にでもなったかの如く)気持ちを高め、ハーッ、ハッ、ハッ、ハハッ…などと息を吐き、メトロノームでテンポを確認しながら作曲するのです。

作曲教室の生徒の一人は12音技法での作曲に、「目から鱗!」。無調の技法に関しては僕自身が教える立場になっても二の足を踏んでいましたが、レッスンの度に「無調の作曲は、今やっている和声を終了してからでないと、だめですか?」と質問され、言われて見れば和声学と12音技法は、それほどリンクしてはいない、と気づかされ、思い切って教えることにしました。
「現代音楽作曲技法」と言うには古すぎるものの、どんなボンクラでも分かるマニュアルが出版されている程には一般化されていないので、結局、独自のカリキュラムを随時作る、という…率直に言えば、行き当たりばったりのやり方になりました。
まず、12音音列の作り方。気を付ける点。その反行形の作成。それらを12の調に移調した一覧表を作る(逆行形は、右から左に読めば良い)。
その音列を元に、単旋律を作る、カノンにする、和声的な伴奏を(非和声的に)付ける。
―ここまで要したのは、たった3週間、つまりレッスン3回。

あゝ無調!音楽の「学級崩壊」よ!
調性の音楽を縛っていた規則そのものが無くなれば、正しさも無ければ誤りも無い!やりたい放題。その上何か高尚な音楽を作曲したような気分になれる。
参考に、12音技法で《作曲》された、シェーンベルクのピアノ曲、Op.23、25の2冊を貸しました。
(写真:技法への入口、実家の最寄り駅から)



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