ジルコニウムの夜。

2006年03月17日 05時26分01秒 | Weblog
何を捜していたんだろう?

何かを捜して歩き始めたような気がするが、その何かを忘れてしまった。
意識が朦朧としている。
「えっと・・。」
僕はひとりごちて、記憶の糸をたぐりよせる事を試みたが、すぐにやめてしまった。億劫だ。心身共にひどく疲労していた。
頭の中にもやがかかったみたいに思考回路が寸断されている。

「まぁいいか。」
開き直って、僕はその場に腰を下ろした。
”忘れる”という現象は人間の持つ優れた機能のひとつだ。
そしてその機能の優れている点はオートメーション化が施されている点であり、忘れようとして忘れるのではなく、時間の経過とともに忘れるべくして忘れるのだ。
この情報が氾濫している社会で、この忘れる機能が携わっていなければ世にはもっと誤作動を起こす人間が溢れているはずである。
そう、忘れるということは人間の持つ防衛本能なのである。
などと僕は自分の頭の悪さに適当ないいわけを思いついた事に満足し、上着のポケットからタバコを取り出し火をつけた。

つづく
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