躁の川。

ソワソワして何も手に付かない。

毎日ドキドキして眠れない。

恐怖とも違う。

興奮とも違う。

脳味噌が無意味に赤くなる。

テンポが走る。

制御しなくては。

新しい音が、鳴る。

失恋をバネに。

メルカノから返事が来なくなった。

何がいけなかったんだ。

上手く世間話をしてたのに。

興味の無い事色々調べて話を合わせてたのに。

垣間見せるダークサイドは女の子にとって魅力的だと思っていたのだが。

引かせてしまったか。

オレの腐った性根を見抜かれたか。

嘘をつかなきゃ女の子となんか付き合えない。

オレ何にも持ってないもんなぁ。

頭も悪いしなぁ。

根暗だしなぁ。

今オレに片思いしてる女の子とかいないのかなぁ。

かなり間口を広げて受け入れられるんだけどなぁ。

物好きが現れるのを待とうか。

酔ってすぐ脱ぐとかはもうやめとこ。

あー手料理食いてー。

被害と加害。

マウンテンバイクのサドル盗られた。

あれ純正のヤツもう手に入らないのにーー。

クイックリリースが危険な事は重々承知だったんだが。

グランジやタイオガじゃカッコつかねーしなぁ。

くっそー。

治安悪ぃーなぁ。

まぁ、持ちつ持たれつか。

パンが無いのならお菓子を食べればいいしなぁ。

って納得いくかよ。

地球の呼吸。

今夜も雨が降る。

汚れた世界を洗い流すように。

今夜もオレは泣く。

こころに空いた穴を満たすように。

弱くて不完全な自分が愛おしい。

あんな事でしか世界と繋がれないアナタを救いたかった。

アナタにとっての悪を殺して王子様になりたかった。

地球の上でオレらは転がる。

命の上で命が踊る。

命の中で命が爆ぜる。

アナタはバカだからオレじゃない誰かを選ぶのだろう。

長い時間の一瞬にすがってオレは生きていくんだろう。

会いたい。

地球の呼吸を感じる程、寂しい思いがここにあるのに。

アナタはオレの事を忘れる。

特別な一人になれる要素がオレには無かった。

その感情が愛ではなかったとしても。

アナタのこころに残りたかった。

やはり殺しておけばよかった。

見逃してきた命達には後悔ばかりが残る。

地球がオレに呼応する。

死を克服する。

死の克服。

それは死を受け入れるという事。

死を見つめ、死を考え、死を知る。

最後の日は必ず来る。

死を拒むでもなく、望むでもなく、ゆるやかに待つ。

生に執着する必要は無い。

死を恐れる必要も無い。

それが痛みや苦しみを伴うものであったとしても。

苦痛を感じるのは、快楽を感じるのと同じ所。

楽しみに待つのもいい。

生きているオレ達は、死の処女であり童貞なのだ。

まだ見ぬ世界に期待するのは正常な本能だ。

命は産まれたときに死ぬ権利を得る。

誰にだって死ねる。

平等に死ねる。

今を守りたい気持ちも分かる。

長い時間をかけて積み上げたものは惜しくなる。

関わった命に対して責任を感じる事もあるだろう。

だがしかしそれらに追いつめられる必要は無い。

死にたくなったら死ねばいい。

その死が連鎖的に他者の不幸を招いたとしても。

それは悪い事じゃない。

ちょっと分かりにくいかもしれないが、生に価値があるように死にも価値があるのだ。

唄うのもいい。

絵を描くのもいい。

文章を残すのもいい。

リストカットするのもいい。

写真を撮るのもいい。

セックスするのもいい。

ケンカするのもいい。

褒めるのもいいし、けなすのもいい。

現世を堪能するのもいいし、捨ててしまうのもいい。

命に価値を感じる事は、紙幣なんかに価値を感じるのと一緒。

発達した脳味噌が作る現実という名のまやかし。

世界は素晴らしくもあり、くだらなくもある。

人類は賢く愚かである。

死を克服するという進化の選択。