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(株)創建築 アーカイブ2006~2011をお引越し

住まい創りと自然環境への思い

2023-11-27 05:08:37 | 建築 structure

住まい創りと自然環境への思い

いきなりですが、食事をする時、食材の産地は気になりませんか?

お米ならコシヒカリがいいとかあきたこまちだとか。

でも、自分の家の木材、もしくは現場で使う木材の産地はどこか気にしたことがありますか?

 

今回の話は、「地域材のススメ」と「人工林と自然環境」になります。

 

「地域材のススメ」

木造建築の住まいで使う木材(構造材・羽柄材・造作材)、国産材・地域材についてです。

自分の仕事において使用していたのは、震災前は栃木・茨城・福島の県境の八溝山周辺で伐採される「八溝の杉」を構造材の柱材、岩手・福島の「地松」を構造材の横架材・梁材に、羽柄材・造作材も国産材を使っていました。震災後は、構造材・羽柄材・造作材全てを宮城の地域材「栗駒杉」か「三陸沿岸」の杉をのみを使用しています。

ところでこの木材ですが、皆さんは建築用の国産材の自給率ご存じですか?

建築用以外の木材需給全体でみると、

約80年前の1955年以前は100%、2002年に最低の18.8%となり2022年は40.7%まで自給率回復しました。

木材需給全体ではなく、製材用・合板用の建築資材のみを2022年の木材需給構成でみると、

国産材製材用1294万㎥(49%)・輸入丸太・輸入製品製材用1333万㎥(51%)・製材用全体2626万㎥(100%)

国産材合板用 491万㎥(50%)・輸入丸太・輸入製品合板用 491万㎥(50%)・製材用全体982万㎥(100%)

使われる木材の半分は輸入材である事が分かります。

国内で使う製材用・合板用全ての供給は難しいかもしれませんが、国産材の保有量は相当あります。

注記:日本の人工林の推定年間成長量1億㎥以上(立木材積)、木材需要量は8000万㎥程度(丸太材積)。

歩留り5割程度でも製材用・合板用の4000万㎥は十分まかなえるだけの資源量が存在する。

建築用以外は輸入で致し方ないと考えれば、国内で使う製材用・合板用全ての供給は可能。

なぜ国産材が50%しか使用されていないか?

お客さんがどうしても輸入した木材がいいという事ではなく、建築側の都合だと思います。

輸入住宅ハウスメーカが国産材を使用するわけがなく、そして残念ながら、プレカット業者に木材仕様等を丸投げする事しかできない建築会社は、JAS規格及びJIS規格があれば輸入木材でも構わないという事だと思います。

吉田兼好は徒然草の中で「家づくりは夏をもって旨とすべし」と書いていました。日本の家・住まい創りの構造・仕様は時代と共に大きく変わりはしました。しかし、最も大事な架構(骨組み)である柱や梁などの構造材にはやはり、地域の気候風土に合った国産材・地域材にすべきで、羽柄材や造作材も全てなら申し分なしであります。

「地域材のススメ」の理由は、環境負荷が小さい、そして何より地域経済にも貢献するからです。

個人的には無垢材利用が大切で、構造材にLVL等集成材を使用した建築などは邪道だと思います。万博リング屋根とかは全く理解不能で、伝統構法を継承する側からすると、伝統を履違えた木造建築に他なりませんし、国産材の無駄遣いだとしか思えません。

図表は一般社団法人 ウッドマイルズフォーラムさんより引用

「人工林と自然環境」

日本の森林面積の約6割1500万haが天然林、約4割1000万haが人工林、戦後拡大造林政策でスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、トドマツなど針葉樹を植樹しました。

人工林は下刈りや枝打ち、間伐などの手入れをしない「森林放置」は、木にも土にも良くない影響を与え、深刻な環境破壊をもたらします。

建築の仕事している以上、人工林への依存は否めませんが、自然環境をできるだけ破壊したくありません。

これまでも、ゴルフ場開発や、震災後の太陽光メガソーラー発電所、驚くことに宮城県大和町には、鳥獣の生息環境を保全することが求められている鳥獣保護区内に「大和富谷メガソーラー発電所」があります。多くの利権により大切な天然林が失われています。

近年ではキャンプブームによるオートキャンプ場、そしてグランピング施設など、自然を求める気持ちとは裏腹に、娯楽のために自然を破壊しています。

これらは、野生動植物の生息の場に深刻なダメージを与え続けています。

林野庁も環境省も既得権益に左右され、守るべき自然環境を蔑ろにする森林破壊の黙認、口先だけのSDGs(持続可能な開発目標)ではなく、環境負荷低減への取り組みに反する施設や行為には、罰則や刑事罰、環境税を課税するなど厳しく対応をして頂きたいと心から思います

「地域材のススメ」とは言ったものの、社会生活の基盤である建築の主要な資材として「人工林」が必要ですが、環境負荷の事実は認めざるを得ません。せめて野生動物の生息地において、住処・餌の確保に影響が出ないよう、生物多様性の保全を理解した、「人工林と自然環境」への取組みを建築業界として行う必要があると思います。

建築が環境破壊を招いているわけではありません、人が招いているだけです。

人による生物多様性の損失、その損失を解決できるのも人

この半世紀で人類は43億人増え80億人、でも野生生物の個体数は平均69%減少

年間におよそ4万種類もの生き物が絶滅、80億人が意識を変えられれば解決できるかも・・・

Untangled: 生物多様性の損失はなぜ起こり、私たちは何ができるのか?(日本語字幕)

 



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